雑記:ヒッチコック傑作集を買って ~瞬発力と狂気の監督~
先日、ヒッチコック傑作集をAmazonで購入した。1930~1950年代の20作品が収録された超お得セット。画質よりも安さと量で挑むコスミック出版のDVDなので画質はそこまで良くないが、レンタルでも中々観ない作品が多いので思い切って買ってみた。
結果、大満足である!!!
さて、駄文ではあるが、今回はヒッチコックについて色々書いていきたい。
ヒッチコックとは
時たま無性に、ヒッチコック作品を観たくなる。別にクラシカルな映画ファンではないが、何故か数か月に一度「サイコ」や「鳥」を観ているだろう。
アルフレッド・ヒッチコックは「サスペンスの神様」と呼ばれる映画監督だ。映画史に残る、映画史を変えた傑作を何作も作っている。しかし評論家等に評価されたのは死後であり、如何に観客を楽しませるかに徹したエンタメ職人としてのイメージが強い。
光と影を用いた演出、登場人物の視点よりも心情を優先した主観映像、超クローズアップ、小物を映すカメラワークで状況を説明する等、数々のギミックを組み込んだ心情操作演出は今見ても色褪せることなく、数々の映画監督達に影響を与えている。
ここら辺は「サイコ」ブルーレイの映像特典で詳しく説明されているので、是非観てみて欲しい。確かレンタルでも観れる。
ヒッチコックとの出会い
ヒッチコック作品を初めて観たのは、大学生時レンタルで観た前述の「サイコ」。ホラー映画、スリラー映画の古典として何度も名前を目にしていたので「そろそろ観てみるか」位のテンションで観た気がする。超オシャレなOPにグッと引き込まれ、無駄のないストーリーにのめり込み、シャワーシーンでは思わず目をそむけた…無茶苦茶面白かった!この後ヒッチコック作品を追っていったのだが、同時にタイトルデザイナーであるソウル・バスにものめり込んだ。あのスタイリッシュな世界を一度スクリーンで観てみたかった…!
瞬発力
その後「裏窓」「鳥」等を観ていった。別に全編全部面白いというわけではないけども、どっしり構えたカメラワークでコツコツ積み上げられていくドラマに挟みこまれる合成特撮ドッキリカメラワーク音楽モリモリのショックシーンが堪らなく楽しい!!
「裏窓」のあの!!!見た瞬間!!!!
「鳥」の!!ジャングルジム!!!!!!
「知りすぎていた男」の教会!!!!ケセラセラ!!!
映画に限らずエンターテインメント作品には「瞬発力」が欠かせないと思うのだが、正にヒッチコックは「瞬発力」を最大限に生かせる作り手だろう。
常人と狂人に宿るサイコを描き続けた監督
ヒッチコックと言えばやはり「サイコ」が有名。サイコパスものの決定版にして元祖、映画史を変えた一作と呼ばれ続けているが、勿論ポッとこんな傑作が生まれたわけではない。ヒッチコック作品では以前からサイコパスと思われる人物が何度も登場している。「疑惑の影」や「白い恐怖」「見知らぬ乗客」が顕著だろうか。その集大成にして無駄をそぎ落としまくった人物が「サイコ」のノーマン・ベイツだ。
また、狂人のサイコパスさだけでなく、一般人が秘める狂気をも描いている。前述の「見知らぬ乗客」は秘めたる狂気を開放してしまった悪夢の様に見えるし、「救命艇」では極限状態の集団心理は凶行に結びつくことをまじまじと見せつけてくる。
特別な人物がサイコパスなのではなく、映画を観ている観客に「お前もサイコパスかもよ?」と指を突きつける…楽しませるだけでなく真にゾッとさせるのも得意なのがヒッチコックなのだ。
ヒッチコック初期作品を観てみよう!
さてそろそろ結びにいこう。これまで触れてきたヒッチコック作品達は1950~60年代のものが多い。つまり、今回購入した傑作集に収録されているような戦前戦中戦後直後の作品達をほぼ観たことがないのだ!「サイコ」に通じる様々な演出手法、ドラマ構築はどう築かれてきたのか?時代の波にどう乗ってきたのか?合計1964分、総まとめAVみたいな長尺を乗り切るぜ!!