光光太郎の趣味部屋

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映画:BLEACH ~最悪のオチに勝てるか?~

仮面ライダー好きとして、仮面ライダー俳優は応援したくなるもの。クウガオダギリジョーをはじめ、電王の佐藤健、Wの菅田将暉、ドライブの竹内涼真等、ドラマや映画やバラエティーに出ているとつい見たくなる。

 

そんなわけで今回は、仮面ライダーフォーゼ組の福士蒼汰吉沢亮真野恵里菜が出演した

 

BLEACH

 

の感想を書いていきたいと思う。原作未読、アニメを尸魂界編まで観た位のBLEACH弱者だが、楽しめた…かな…?

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

 

作品情報

監督:佐藤信
脚本:羽原大介
   佐藤信
原作:久保帯人BLEACH
製作:和田倉和利
製作総指揮:小岩井宏悦
出演者:福士蒼汰(フォーゼ)
    杉咲花
    吉沢亮(メテオ)
    真野恵里菜(なでしこ)
    小柳友
    田辺誠一
    早乙女太一
    MIYAVI
    長澤まさみ
    江口洋介
撮影:河津太郎
編集:今井剛

 

監督、撮影、編集はいつものトリオ。最近だと「アイアムアヒーロー」が抜群に面白かった。ゾンビ映画の中で「多数のゾンビと殲滅戦」を描いたのは世界で見ても珍しいのでは?

bright-tarou11253350.amebaownd.com

以前書いた感想ブログ。そういえば長澤まさみとはここでも組んでますね。

 

雑感

もともとキャスト目当てに観たからか、その面では大満足。福士蒼汰はフォーゼの如月弦太朗とは異なるタイプの不良、捻くれながらも熱いものを持つ優しい不良としての黒崎一護を好演していたと思う。そもそも、オレンジの髪が全く違和感なくまとまっているってのが凄いのだ。

映画 BLEACH 写真集 DEATHBERRY DAYS DOCUMENT

一護を死神にした張本人にして相棒となる朽木ルキアを演じる杉咲花は、とにかくもう全力で役に向き合う。本来のルキアは100歳を超える人物なので落ち着いた先駆者といった感じだが、今回は一護と同年代の女の子の様な一生懸命さがある。頑張って出してるな!という高音の声と、頑張ってるな!という表情等、観客が「頑張ってるな!」と見守りたくなるキャラクターになっていた。

 

メインの二人以外も好演揃い。仮面ライダーメテオ、朔田流星を演じていた吉沢亮はあの時を思わせるライバルキャラ、石田雨竜として登場。最初こそ一護に突っかかり物陰から観察するものの、緊急時には思わず助けてしまうのも流星そのまんまで、戦闘中にいつ「ホワチャ~~~!!!!」と言い出すか心配になる位だ。

吉沢亮 ファースト写真集 『 はじまり。 』

 

意外にもハマリ役&映画の深みをグッと増す存在として欠かせないのが、一護の父を演じる江口洋介と怪しい古物商である浦原を演じる田辺誠一

 

まず江口洋介だが、ドラマとかで見る江口洋介そのまんま。荒っぽくも優しい色男だが少し三枚目な父親役なのだが、どう見てもいつもの江口洋介。しかし、通常運転の江口洋介だからこそ、突飛な設定だらけの今作にリアルなドラマを持たせている。妻(長澤まさみ)の墓前でビールを飲むシーンが顕著だろうか。そういえば医者っていう設定はなくなったのかな?

 

続いて田辺誠一。元キャラが持つ怪しいオッサンの雰囲気に寄り添いつつ、飄々としたお調子者ではなくどっしり構えた大人というアレンジを加えている。物語を振り返ってみると「意味深なことを言うオッサン」にしかなっていないのが残念だが、彼の本領発揮は尸魂界編以降なので、これも仕方なしか…。

 

他にも、チャドにしか見えない小柳友、絶妙なムチムチ感(同期談)で井上織姫を演じる真野恵里菜、狂犬の阿散井恋次を体技込みで演じる早乙女太一、誰がやっても文句を言われるであろう朽木白哉をルックスで再現したMIYAVI等、総じてキャスト陣は好演だった。

 

白黒漫画を実写映像へ変換した映像

www.youtube.com

予告編でも印象的だったコントラスト強めの撮影は、特に夜間と室内において使用された。明暗のエッジが効いた映像は単純にカッコいいが、これは白黒漫画のコントラストを実写映像へ置き換えるという試みだったように思う。ルキアが室内に突然現れるシーンや一護が初めて死神となるシーンが最も顕著だ。

惜しむらくは、これが最終決戦においてほぼ用いられていないことだろうか。グランドフィッシャーとの決戦や死神たちとの戦い自体は迫力があったが、もうちっと照明にメリハリをつけて欲しかったところ。

 

盛り上がらない物語

キャスト、映像は良かったが、全体を振り返ってみると決して上手く面白い映画だとは言えない。

まずは序盤と終盤しか盛り上がらない物語構成。アニメを見てみると、元の話を上手く再構成し、グランドフィッシャーとの因縁や死神たちとの戦いにクライマックスを持ってくるのは上手いなと思うものの、虚たちとの戦いがほぼオミットされているので派手な戦闘があるのが序盤と終盤しかないのだ。戦闘がなくてもドラマで盛り上がればいいのだが、音楽流しっぱなしだったりテンポが悪くどんよりしたムードで進んだりといまいちパッとしない。そもそも思っていることの全てを台詞にしてしまうので情緒も何もない。

しかし、話の筋が一本通っていれば物語として面白くなるはず。だが、今作はその筋を最後の最後で台無しにしてしまう。

 

「守れなった男の物語」として最悪のオチ

実写版BLEACHは「守れなかった男の物語」として一本まとめようとしている。母を守ると約束したのに、逆に自分が守られ母を死なせてしまった……色んな者を助け守ろうとしてきた一護が再び守られていたことに気付き、今度こそ「必ず守る」ための戦いに赴く…という物語だ。

だからこそ、彼がルキアを守るために死神たちへ啖呵を切るシーンは燃えるし、猛特訓する様を応援したくなる。苦戦しながらもグランドフィッシャーを倒した時は思わずガッツポーズした。白哉に何度切られても喰らいつき、地べたを張ってでも意地を通そうとする姿には「ロッキー」を重ねずにはいられない程の熱さを感じた。

 

が!!!!!!!!

 

最終的には元の展開通りルキアに助けられ、一護は一命をとりとめるがルキアは尸魂界へ連行されてしまう。一護はまた、守られてしまった…。グランドフィッシャー戦のカタルシスも、白哉戦での食い下がりもぶっ飛ぶ尻すぼみ感。原作通りとはいえ、ここは映画ならではのオチを付けて爽快に終わって欲しかった。こんなどうにもならない話、これまでの物語が全部無駄になるような話を原作ファン以外が喜ぶとでも思うのか…。

 

この後はルキアに関する記憶が関係者から消されるのだが、映画オリジナル展開として一護も記憶を失ってしまう。しかし、教科書に書かれたルキアのメモをきっかけにして記憶を取り戻したような描写が入り、エンドクレジットへ。

 

正直、失笑である。何もなかったことになりました、チャンチャンな流れも噴飯ものだが(そうするならそうするで、もっと喪失感漂う感じにしてほしい。ここではさも全ていい方向に転がりましたという雰囲気になっている。)、こういう、ロジックも無しで思い出して終わりというのが一番腹が立つ。お前は「アメイジングスパイダーマン」か!!!!!!!!

 

結局のところ「守れなかった男の物語」は、再度守れず、再度守られるという最悪の結末で終わる。前述した通り、それで〆るならそれらしい演出と終わりにしてほしかった。原作ではこの後尸魂界編になるのでもう一度守るための戦いに赴くことになるのだが、それなら今回のお話は繋ぎ以外の意味はなくなってしまう。原作の死神代行編の結末をなぞるのではなく、映画オリジナルの展開して「守れなかった男の物語」をやり切ったり、ルキアとの友情で爽やかに終わったりと、色々出来たのではないだろうか…。

 

もう一度!守るんだ!という話に大いに心を熱くさせた分、冷や水をぶっかけられて意気消沈した絶望感が半端ではなかった…。

 

 

キャスト陣、最高。

映像、カッコいい。

アクション、見応え十分。

脚本、最悪。

結局、続編ありき。

興行収入、大コケ。

 

このコンビネーションは前年のワーナーによる実写版「ジョジョの奇妙な冒険」を思い起こさずにはいられない(あちらは脚本は良かったが)。どちらも最悪な映画とは全く思わないが、ヒットさせるにはパンチもサービスも不足していた。

 

もういっそのこと原作者を取り込んで、敏腕プロデューサーや監督との強力なトリオを組まないとどうにもならないのではないか?MCU等の大資本と比べるべきでないのは重々承知だが、本腰を入れてドラマアクション撮影プロデュースを行わないと観客が付いてこないのは実証されてしまっている。

 

だからこそ、ジョジョBLEACHも続編をぜひとも製作して欲しい。ここで終わらせるには惜し過ぎる。尸魂界編こそ、ルキア奪還という一本筋に乗せてアクションやバトルで物語を紡げるのだから。(斬月のオッサンは高橋一生大塚明夫さんで)

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