光光太郎の趣味部屋

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映画:この世に私の居場所なんてない ~行って帰って落ち着いて~

今回の記事は前ブログ(今でも現ブログの3倍くらいアクセスがある悔しいぜ!)からのお引越し記事です。

唐突かつ今更な映画感想ですが、これかな~~り好きなんですよねぇ。ではでは。

 

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こんにちは。

光光太郎です。

 

最近やっとNetflixに加入しまして、映画やアニメや特撮を見まくっております。特にTRIGGERのアニメの一気見やつまみ見をしてますね。

 

今回はそんなNetflixのオリジナル映画作品

 

この世に私の居場所なんてない

 

の感想を書いていきたいと思います。コンパクトにまとまった傑作でした!

 

 

www.netflix.com

 

■あらすじ

「ブルー・リベンジ」「グリーンルーム」の俳優メイコン・ブレアが監督・脚本を手掛け、第33回サンダンス映画祭審査員グランプリを受賞したクライムサスペンス。孤独な女性がふとしたことから恐ろしい犯罪の世界に巻き込まれていく姿を、ブラックユーモアを散りばめながら描く。看護助手として働く平凡な女性ルースは、不運続きの冴えない人生にうんざりしていた。ある日、彼女がひとりで暮らす一軒家に空き巣が入り、ノートパソコンや祖母の形見である銀食器が盗まれてしまう。すぐに警察に通報したものの、刑事は戸締まりを怠ったルースの不注意を指摘するばかりで、まともに捜査してくれない。業を煮やしたルースは、近所に住むマーシャルアーツオタクの青年トニーに協力してもらい、自ら犯人探しに乗り出す。「乙女の祈り」のメラニー・リンスキーが主演を務め、彼女の相棒トニー役をイライジャ・ウッドが演じた。共演に「ドント・ブリーズ」のジェーン・レビ。(映画.comより引用)

 

■雑感

これぞ、いい映画を発見できた喜び!

休日に「そういえばマイリストに入れてたな…」と思い寝っ転がりながらTVで観ていたんですが、いつの間にか身を乗り出して声を挙げながら観るほどにのめり込んでいました。

興味を引っ張り続ける工夫に満ちていたので、配信作品=TV等で注意散漫な環境で観る映画というのを意識して作られている気がします。

また、SNSを用いずにSNS世代を批判しているような映画でした。

ざらついた画面も特に理由は分からないけど好き!

 

■話したいポイント3点

①ぐいぐい引き込む

②ホラー演出

③勝手に行って帰ってくる話

 

① ぐいぐい引き込む

無駄のない序盤、絶え間なく話が進んでいく中盤、急展開する終盤によってこちらの興味を常に引いてくれます。ここまで飽きずにだれずに観られた映画はいつぶりだろうか…。

 

全体的にテンポが異常に良いんですが、序盤はその中で細かい演出を積み重ね主人公ルースのキャラクターを表現してくれます。

排気ガス出しまくりの車に、商品を落としたり微妙に割り込む客に、ムカつく患者に…常に何かに対してイラついているんですが、自分で何かをするわけでもない。そして極めつけは「親指を舐める」ですね。しかもバーでファンタジー小説を読みながら…これ一発でルースの幼児性が分かります。知り合いの子供にお話を読み聞かせている途中に思い出しガチ泣きするのも相当キてますね…。

 

そして絶え間なく話が進む中盤。

ルース自身が空き巣事件を調査し始めてからは短い間隔で必ず新展開が、しかも唐突に起こっていくので本当に面白い!しかし、息つく暇もなくというわけではなく、ふらふらしてたら偶発的にあっさりと事態が起こっていく感じなんです。そこで観客はビックリするんですが、同時にルースやトニー、劇中のキャラクター達も驚くので、そのシンクロ感も心地よかったですね。まぁ、バイオレンスな事態もいきなり起きるんですがね。人体はもろいなぁ…。

 

人体のもろさ、偶然の残酷さに超ビックリした直後から急展開していく終盤。

これは本当に本当に突然始まるので、声を挙げて驚きました。ここでは若干テンポが遅くなるんですか、いきなり状況に連れ込まれて何がなんだか分からない感覚をルースと共有しているので、鑑賞思考は止まることがないんですよ。そこにまた突発的に、偶発的に、むしろ危害を加えた本人が一番引いているような惨劇が起こってからはもう更に事態が混濁し、もはやグロッキー状態に。そうなった後に、とてもシンプルで優しく落ち着いた結末になるんですよ…。テンポの緩急が本当に面白い映画です。

 

テンポの速さを重点的に話してきましたが、これは極力無駄な説明を省いているからなんですね。勝手に身の上を語らせるのではなく、会話の中からこちらが意図をくみ取っていきます。現実の人間は勝手にペラペラ説明したりはしないですよね。それがこの映画の面白さであり、子供が世界に触れていくというテーマにあった演出でもあります。

 

 

② ホラー演出

今作には、明らかに恐怖を煽るカメラワークがあります。スリラーではなく完全にホラーです。無音になり、何かが起こる予感を残してカメラを右に回し(ルースの動きと一緒)元の位置に戻すと何かがいる!というのが何度も何度も何度もあります。ワンカットで緊張を煽ってくるので怖いんですよ…。カメラを回したらバッ!という突発性もあり、ワンカットなのでじりじりとにじり寄ってくる感じでもあり、観客は脅威に気付いているのにルースが知らないでいることのハラハラ感もありで…ここでも興味を引っ張ってくれます。

 

また、このカメラワークもテーマと関連してるのでは?と思います。この世界には様々な事態が同時進行しているけども、私たちは知る由もなく、知った時に突然起こったと思い込んでしまうと。

 

 

③ 勝手に行って帰ってくる話

今作はまさに表題の通り。話自体がルースの空回りに終始していると言えます。

自責による空き巣被害に始まり、勝手に自主調査を行って、勝手な理屈で「自分が嫌だと思うこと」を回りに当たり散らして、あまつさえ死者も出し、また勝手に戻ってくると。見識が狭いからこそ世界を大きく見てしまっていた彼女が、話の中で世界や人間を知り、自分自身を知っていきます。最終的には、なんでも言えて支えてくれる友達がいる「私の居場所」の幸せを噛みしめる。自分の足で立ち、半径1メートルをしっかり見て生活できるようになるんですね。

 

最後に彼女は自身の感情の為でなく、自分を助け続けてくれたトニーの為に、初めて誰かの為に動きます。もともと彼女は看護系の職についていたわけですが、この事件を経て自分の職の意味も見いだせたのではないでしょうか。

ただ、ルースの愚直で独りよがりな正義感を完全否定しているわけでもないんですね。トニーとの出会いもこれがきっかけですし、最後の最後でも強調されています。

 

 

■最後に

世界を知り自分を知る、規模も上映時間も非常にコンパクトにまとまった傑作映画だと言えます。何よりも色んな時に思い返したくなる映画です。イライジャ・ウッドも良かった!あとゲロ!ゲロロロロロロロ!!もはやゲロショットガン!

 

これを観るためにNetflixに入ってもいいと思いますよ!

 

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