光光太郎の趣味部屋

Twitter感覚で趣味や心情、言いたいことをつらつらと。

映画:大統領の陰謀 ~ジャーナリズムとヒロイズム~

こんにちは。光光太郎です。

 

今回は午前十時の映画祭で鑑賞してきたポリティカルサスペンス

 

大統領の陰謀

 

の感想をサクッと書いていきたいと思います。

史実を扱った重い映画…であるのは勿論のこと、しっかりと「分かりやすい面白さ」が徹底されている娯楽作品でしたよ。

 

asa10.eiga.com

大統領の陰謀 (字幕版)

 

前書き

実は「ペンタゴン・ペーパーズ」をレンタルした時にまとめて借りて観ようと思ったんですが、途中で寝ちゃったんですよね…疲れもあって…。

でもこのままじゃいかん!と一念発起し、午前十時の映画祭も終わってしまうということで、朝早起きして映画館で鑑賞。一切飽きない面白さだったですよ!!!!!

 

解説

午前十時の映画祭サイトから引用すると…

1972年、ウォーターゲート事件の真相を追い、最終的にニクソン大統領を辞任に追い込んだ二人の新聞記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの取材活動をサスペンスフルに描いた実話の映画化。脚色のウィリアム・ゴールドマンはレッドフォード主演の『明日に向って撃て!』に続き、2度目のオスカーを受賞した。

 監督はアラン・J・パクラ。史実を基にした法廷劇「アラバマ物語」の監督ですね。

 

主演はプロデューサーも務めたロバート・レッドフォードと、ダスティン・ホフマン。前者は名作西部劇「明日に向かって撃て!」「スティング」後者は「卒業」「わらの犬」「パピヨン」等で既に大スターになっており、現在進行形の政治問題を誰もが知るスターでやるという意欲作だったわけですな。

 

これを今日本でやるとすると…不正統計問題や記者締め出し問題を、菅田将暉高橋一生でやる!といった感じでしょうか。

 

ポリティカルサスペンスンの傑作にしてジャーナリスト映画の傑作なので、後世の作品に多大なる影響を与えています。「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」や「スポットライト 世紀のスクープ」等が分かりやすいですね。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (字幕版)

ロバートレッドフォードが出演したMCU作品。超絶大傑作。

スポットライト 世紀のスクープ (字幕版)

カトリック神父達が長年に渡り子供達へ性的虐待をしていた事実と、それをひた隠しにしてきた教会を暴いたボストングローブ紙「スポットライト」チームの地道な努力と活躍を描いた大傑作。第88回アカデミー賞作品賞受賞。

 

鑑賞後ツイート

毎度、言いたいことは大体ツイートしてるんすよ。

 

分かりやすい面白さ!

現職大統領の犯罪行為を暴き辞任に追い込んだ政治物語と聞くと「なんだか難しい話だな…」としり込みするかもしれないが、そんな問題は全くない。確かに名前しか出ない登場人物が滅茶苦茶いるし事情が込み入っているんだが、問題は全くない。

 

理由は2つ。目的が全くブレないこと。駆け引きが面白いこと。

 

「今何をしているのか」「何がゴールなのか」は明確で、前者は「情報集め」後者は「ウォーターゲート事件の記事を出すこと」だ。劇中で何度も言及されるのでぶれることはない。最初から最後までマジでブレない。

主役の記者2人は、余りにも弱弱しい「情報集め」のピースを足で集め、「ウォーターゲート事件の記事を出すこと」へ繋げていく。このピースが埋まっていく快感、それが無に帰す絶望、それでも食らいついていく信念…題材は政治的でもお話の筋と構成は王道のエンタメだと思う。

 

そして、駆け引きだ。情報筋から情報を集める聞き出すシーンが延々と続く本作だが、その殆どが心理的駆け引き、つまりサイコロジカル・バトルなのだ!

まず、記者2人はウォーターゲート事件にまつわる情報…人名等を聞き出したい。しかし、相手は政府陣の監視下にあるし事が事なため、なかなか提供してくれない…ここをどう切り崩すか?ブラフをひっかける?感情に訴える?話術で落とす?粘り勝ち?

この心理戦を映す際は単純な切り返しが多い。全く同じ構図で何度も何度も記者と相手を映し変える。しかしこれには意味があるのだ。同じ構図が繰り返されることにより、態度の変化、こわばった感情の綻び、絶望から一筋の希望へと変わる瞬間の表情を切り取っているのだ。正に演技合戦!照明が殆ど当たらず姿が真っ黒なディープスロートも、確かに「演技」をしていると分かる!!

 

分かりやすいエンタメの全体構成と、ワンシーンワンシーンで魅せていく演技合戦と心理戦。例え事件の概要を知らなくとも、要素の連なりだけで楽しむことが出来る。なんとウェルメイドな作りだろうか。2時間30分位あるけどね!!

追憶 [Blu-ray]

てかロバート・レッドフォード、イケメン過ぎない??????

 

 

ジャーナリズム、ヒロイズム

鑑賞中、この映画はヒーロー映画だなと思った。弱者を支配する巨大権力と立ち向かうヒーロー…この構図がピタリと当てはまるなと。ただ、これはヒーロー視点に立った物語ではなく、彼らが意図せずに救っていく弱者視点のヒーロー譚だ。

 

ウォーターゲート事件に関わった人々は、何も進んで不正を行おうとした人々ばかりではない。巨大な力に抗えず意思に反して協力した人々は、どれほど自分の無力さを呪い、どうにもならない世界に絶望しただろうか…。

 

そんな人々の元へ記者2人、 カール・バーンスタインボブ・ウッドワードは赴き、事件について聞いてゆく。最初は相手にしなかった…漏らせば自分が危険になるし、言ったとしてももみ消されるだろう…だがこの2人の情熱はどうだ?真摯さは?しつこさは?この2人には権力を貫き真実を白日に晒すチャンスがあるのではないか?ほんの少しの希望を抱き、彼らは情報を伝える。直接的にせよ間接的にせよ、確かに伝える。正義に絶望した人達が、再び正義を信じる眼差。この関係性にこそ、本作をヒーロー映画足らしめている。

 

しかし、記者達はそんなことは微塵も感じていなかっただろう。彼らが終始抱いていたのは、真実を明かすというジャーナリスト魂だ。劇中でそれを高らかに語るシーンはなく、スクープをすっぱ抜く姿勢のみ描かれるが、あきらめずに追い続ける姿には「戦う意思」を感じずにはいられない。隠匿された欺瞞がある。暴くべき真実がある。ならば、どんなことをしてでも突き止める。人を利用してでもなんでも、公表すべき責任があるのだと。

 

前述したツイートの通り、ジャーナリスト映画は非常にストレートなヒーローエンタメになりやすい構図を持っている。一歩間違えれば偏向を促す危険なヒロイズムになるが、スポットライトにしても今作にしても、必ず「虐げられた弱者」の視点がある。彼らが経験する地獄を間接的に見せる。ジャーナリズムとヒロイズムを見事に融合させているからこそ、この2作品は大傑作となっているのだろう。

 

 

映画館で観ようぜ!

散々褒めちぎってきたが、自宅鑑賞時に爆睡したことも事実!!

テンポがいいとは言えないし何と言っても絵柄がパッと見地味なので、映画館で観ないと集中できないかも。集中して観るからこそ活きる演出ばかりなので、是非とも午前十時の映画祭でやってる今のうちに、映画館で観て欲しい!!

 

安いし行ってみようぜ!近くに劇場があるのなら!!特にMCUファンは必見だ!!!

 

www.youtube.com

 

鑑賞前、鑑賞後には解説動画を是非。

www.youtube.com

www.youtube.com