映画:プロメア ~極彩色の大決戦!アクションアニメここに極まる!~
こんにちは。
です。
今回はTRIGGER×中島かずきの新作劇場長編作品
プロメア
の感想を書いていきたいと思います。スパイダーバース公開から間を置かずに日本で今作が公開された意義は大きいですね。
ネタバレするよ!
■鑑賞後ツイート
プロメア、観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
日本のアニメーション技術を知るためには絶対に観るべき1作だった。手描きのケレン味と3Dの自由度が完全融合し、理想的過ぎるヒーローメカアクションを見せてくれる!!レゴムービーを意識したであろう▲使いにはビビった!お話はまぁ…オマケだよオマケ。
プロメア、露骨すぎるマジンガーZパロには笑ったし、終盤のアクションはグレンラガンやキルラキルで何度も観まくってたやつで笑うし、え!そんな…そんなところまでするんか!なロマンスにも笑った!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
でもやっぱり中島脚本+今石監督で2時間映画はキツイぜ!!誰か止めろ!!!
グレンラガンやキルラキルでもそうだったけど、今石監督の作品ってかなり凄惨な暴力を描いてて音楽もシリアスなのに、早すぎるテンポと盛りすぎなアニメーションによってちょっとギャグっぽくも見えちゃうんだよね。それによって更に暴力性が増しているようで、凄く怖い。プロメアもかなりキツかった。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
プロメア、でもね〜〜〜やっぱり中島かずきは中盤から終盤への物語構成をもうちっと考えてくれねぇかな…。起承転転転転転転転転転結!!って感じだもん。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
今石監督が好きなのはね、ロボットじゃないんですよ…それを再確認できたんすよ、プロメアは…。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
■熱血最強の布陣
今石洋之×すしお×中島かずき×コヤマシゲト×澤野弘之、この座組はTRIGGERのみならず日本アニメの最強傑作である「キルラキル」と同じなんですよ。完全一致でないものの「Re:キューティーハニー」「天元突破グレンラガン」等は今石洋之×中島かずきの代表作でしょう。
3話に1回最終回があると評される熱血バトルアニメ
ロボットアニメはやっぱり最高だな!と思わせてくれた、人生を変えた作品
ケレン味たっぷりのアニメーションを手掛けまくる監督、今石洋之。ハルク大好き!!
最高のアクション作画マンすしお。Twitter面白い!
無理を通して道理を引っ込める熱い展開を書かせたら右に出る者はいない面白おじさん、中島かずき。仮面ライダーフォーゼもやってるぜ!ウルトラマンマックスでは「燃えつきろ!地球!」という脚本もやっている。
ベイマックスを手掛けた天才デザイナー、コヤマシゲト。トップ2!エウレカセブン!HEROMAN!サイバディ!キャプテンアース!ダーリン・イン・ザ・フランキス!全部のデザイン好き!
暑苦しい映像へ爽快壮大な音楽を被せやっぱり暑苦しくする澤野弘之。伸びのある歌唱、畳みかけるような合唱、押し迫るオーケストラ、かっこいい英語曲によってエモーショナルな展開にドンドンのめり込ませてくれる。カバネリやガンダムUCもこの人なので、その力量たるや恐るべし。
それぞれ単独でも鼻血が出るほど熱く面白いものを手掛けているのに、皆集まってアクセルしか踏まない様な作品を作ったらどうなるか…超熱くて面白くて、それでいて現行の技術力を数段上に押し上げるような作品が出来るに決まっている!!!!そしてそれは実現していた!!!!!!
「プロメア」は間違いなく、日本アニメーションの歴史に残るでしょう。前述した通り、アニメーションというものを格段に進化させた「スパイダーバース」の公開後1年以内に日本からこういった作品が出たことを、誇らしく思いますよ。お話やバランスは全然悪癖だらけだけどね!!!
今石洋之監督のみならず数多くのアニメーターに影響を与えた金田伊功の傑作の一つ。滑らかさよりもメリハリ!ガニマタ!フレア!
こちらも是非に
■アクションアニメの到達点
とにかく今作はアニメーションが凄いんですが、特筆すべきは冒頭のアクションシーンでしょう。YouTubeで一部公開されているので是非観てみてください。
これ、本当に「一部」なんですよね~。ここからでも分かるのは「動きまくるカメラワーク」と「メリハリとパースの効いたケレン味ある画」とが完全一体となっていること。グリグリカメラが動くパートは恐らくCGなんでしょうが、一時停止しても「2Dアニメーションの一枚絵」として成り立つ程の違和感の無さです。2Dアニメと3DCGとがシームレスに繋がることによってアクションやドラマの連続性が高まりますし、何よりも「奥と手前」を駆使したメリハリある空間演出が堪らない!2Dと3Dの合体はキルラキルでも使われていましたが、今作では更に更に多くのアイデアがある上に描画自体も向上しているから、進化が一目瞭然。
見応えのあるアクションが序盤からぶち込まれますが、実はそのどれもが見やすいように設計されています。今作ではどのキャラクターも基本は直線的に動くので、視点が動いても「何が起こっているか」「何を見ればいいか」を迷うことはないでしょう。いや、終盤はちょっと迷うな(笑)。
あと触れておきたいのは、▲と■のによる表現!!
バーニッシュを▲、世間を■として、様々な表現に▲■が使用されている。炎や灰は極力▲のみで描画されているし、プロメポリスは碁盤の目の様に■いし完全に平行だ。バーニッシュ側か世間側かでレンズフレアも区別される徹底ぶり。レゴムービーか!
この▲■表現の最たるものはOPでしょう。▲■のみで、これは二者対立の物語であり■が▲を支配していること示し切っている。ここでもう、ウットリしてしまった。まるでソウル・バスによる美しく制御されたOPシークエンスを観ている様な感動があった。
映画『レゴ®ムービー』本予告【HD】 2014年3月21日(金・祝)公開
全てをレゴで表現した狂気の傑作
ソウル・バスが手掛けた「サイコ」のOP
今作が技術とセンスがつぎ込まれた博覧会のみで終わっていないのは、アニメーションと物語と声優陣の熱量とが完全に一致しているからでしょう。どうだ!凄いだろう!?ではなく、熱くするべきだからこそケレン味ある映像にする!心たぎらせる映像だから声の演技も熱くなる!この熱さは作品作りの必然であり、混ざり合って炎となった「プロメア」はアクションアニメの一つの到達点!!!
■単純に熱くなれるストーリー
中島かずき脚本を楽しむコツは、とにかく勢いに身を委ねることだ。
整合性よりも勢い。引き算より足し算乗算。バランスよりも一点特化。突発的に始まる陰湿な暴力。過剰に熱く文量が多すぎる名台詞の数々。それらを(強引に)まとめ上げ無理を通して道理を引っ込める物語として、分かりやすく楽しみやすい娯楽作品に仕上げてしまうその手腕には脱帽するしかない。また、粗雑に見える物語展開の端々にロジカルな展開や豊かな語彙に基づく台詞等を潜ませてくるのも侮れない。
今作でもそんな中島節は全開で、ガロとリオというW主人公を軸に「奴隷解放もの」「バディもの」のカタルシスが満載なストーリーになっている。そしてやはり最後は、自分と他者とを信じきって貫き通した道の先にある希望を見せてくれる。黒幕との非常に分かりやすい対比構造はグレンラガンを思わせるが結末は真逆だし、中島かずき作品の中でも屈指のキレで〆るラストからのエンドクレジット入りには心の中で大拍手ですよ。
まぁでも、中盤から終盤にかけて6転位するクライマックスの連続は流石に疲れるし、結局バーニッシュの差別問題は有耶無耶になって終わるし、その割には差別問題に結構踏み込んだ描写をするし…劇場長編アニメとしてのバランスは良くない。これは「劇場版天元突破グレンラガン 螺巌編」や「ニンジャバットマン」でも感じた共通の欠点だ。
熱いお話もそれに応えすぎる映像も大変結構だが、次回のタッグ作品では少しバランサーも入れてマトモなクライマックスにして欲しい…でないと日本のマイケル・ベイって呼ばれるぞ!!!
■嘘でありリアルなメカニックの魅力
主人公ガロやリオを始めとしたキャラクター達が生き生きと動くのは勿論ですが、私が推したいのは魅力的なメカニックたち!!バーニングレスキュー達の各種レスキューマシンは「トミカヒーローシリーズ」を思い起こさせます。前線基地かつ消防車な「メガマックス」と、空中から現場を把握する「スカイミス」の組み合わせなんかもグッときますね。
パワードスーツは収納や輸送、着脱、作業用ギミック等が盛り込まれており、しっかりと「運用されるメカ」のリアリティがある。フィクショナルな世界観、ありえないアニメーションの中にこそ実用性を盛り込むというのは、グレンラガンやキルラキルでも多く見られた手法ですね。
ただ終盤に登場する巨大ロボットの描き方や役どころを見るにつけ、やはり今石監督は巨大なロボットが行うアクションにはあんまり興味ないんだろうなと思いますね…。どちらかと言うとミニマムなメカニズム描写にこそ関心があるのでしょう。だからこそ、人間サイズのアクションと巨大すぎないメカニズムアクションとが掛け合わされた冒頭のアクションシーケンスが今作最高のシーンになっているのだ。
■俳優声優陣の熱演
本職声優以外を起用するのはジブリや細田アニメ等で顕著な手法ですが、なんとゴリゴリのサブカルオタク向けアニメ会社であるTRIGGERが手掛けた今作でも、主役三人は俳優さんが声を当てています。
日本かぶれの主人公カミナガロ・ティモスに松山ケンイチ、炎を操る放火組織マッドバーニッシュのボスのリオ・フォーティアには早乙女太一、プロメポリスの執政官クレイ・フォーサイトには堺雅人と、かなりの業火俳優陣だ。
最初はかなり不安だったが、実際観てみると見事なハマりっぷり。しかも「今石洋之×中島かずき」作品にぴったりの熱演!考えてみれば松ケンは「デトロイトメタルシティ」やってるし、早乙女太一は舞台役者だから声量はあるだろうし、堺雅人はオーバーアクトで成り上がってきた人だから、熱い叫びが求められる今作には合っている。松ケンは熱い口上を見事に捲し上げるし、早乙女太一はエロい上に後半どんどんデレ演技に拍車がかかる(アニメも)し、堺雅人は誰もが堺雅人に求めることをやりきっていた。
映画秘宝のインタビューでも中島かずきは「第一希望のキャストが揃った」と言っているし、元々劇団☆新感染の舞台に出ていた方々らしいから、勝手知ったる仲だったんでしょうな。
俳優陣で言うと、プロメス博士役を演じる古田新太も「パワーレンジャー」に引き続き上手かった。エンドクレジットで初めて分かった位。洋画吹替にもどんどん参加して欲しい役者さんだ。
本職声優陣はもうTRIGGER作品の常連といった感じで安定感も掛け合いも抜群。個人的には小西克幸(カミナ)や小清水亜美(キュアメロディ)の参戦が嬉しかった。グレンラガンやキルラキルから続く檜山修之の「しまったぁ!!」芸は今回もある。岩田光央はちょっと落ち着け。
■〆
さて乱雑になってきたのでそろそろ〆だ。
人生を決定的に変えた熱血ロボットアニメ「天元突破グレンラガン」から12年…その因子は確かに「プロメア」に引き継がれていた!ロボットはあんまり…あんまりだけど(笑)。熱さと勢いはカッコいい!諦めを押し付けられようが枠にはめられようが、心だけはまっすぐに燃やし続けろ!!子供の頃に受け取った熱いメッセージを、今作でも同じように感じましたよ。傑作!!!
あ、あと露骨なマジンガーZパロには笑いましたね。
いつもお世話になっているヒナタカさんの語り合いラジオ。引き算思考で作った!?マジで!!???!?