光光太郎の趣味部屋

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映画:アラジン(2019) ~アクションアクション!あ、これポリコレです。アクション!~

こんにちは。光光太郎です。

 

「シンデレラ」「ジャングル・ブック」「美女と野獣」「ダンボ」と、往年のアニメ作品を実写化しまっくているディズニー。1作も観てないですが正直「ネタ切れか…」と辟易していました。しかし、認識は間違っていたと痛感させられました。やはり観ずに批判してはいけない!

というわけで今回は

 

アラジン

 

の感想を書いていきたいと思います。ディズニーとは思えないボンクラ要素が満載だ!字幕で観たよ。

 

実写版『アラジン』 映画パンフレット

www.disney.co.jp

 

 

■鑑賞後ツイート

 

■前評判最悪➡公開後高評価ばかりに

「アラジン」が実写化されるという知らせ、予告を観た時は不安しかなかった…。突っ立ってる場面ばかりだしセット感丸出しだし、コスプレ大会に見えてしまった。青いウィル・スミスも散々ネタにされ、映画ファンからの評判も良くなく、あの実写「ダンボ」の後ということもあり、これはスルー案件だな…と思っていたわけです。どうせまたポリコレ祭りなんだろうなとね!子供の頃からビデオで観まくっていた「アラジン」を台無しにするんじゃないかと!

 

しかし、いざ公開されてみると一般層から大好評、そして映画ファン達からも絶賛が相次ぐ状況に!アラジンよりもゴジラを観ろよ!と憤っていましたが、これは観なければならないと思って行ってみると…まぁ本当に楽しかった!確かにポリコレが過ぎるシーンもあるが、とにかく元気で楽しく逞しく、観た後は誰もが笑顔になれる作品でしたよ。こういう実写化なら大歓迎だし、過去の実写作品も観てみないとなと反省しました。

 

■監督がガイ・リッチー!?

今作の監督は、まさかのガイ・リッチー。公開後に初めて知りましたが、その衝撃たるや…だってガイ・リッチーとディズニー作品って全く結びつかないじゃないですか。前作が「キング・アーサー」ですよ!?確かにスラムのガキから王になる話だけど(笑)。

キング・アーサー(吹替版)

 

一番有名でヒットもしたのは「シャーロック・ホームズ」2作でしょうか。

シャドウゲームはともかく、1作目は外連味満載のアクション&ブロマンス要素が楽しかった!

シャーロック・ホームズ(吹替版)

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム (吹替版)

 

個人的に好きなのは「コードネームu.n.c.l.e」!

カッコいいスーツ&ドレスにウットリ出来ますし、反目と協力のバランスが絶妙なバディムービーは楽しいの一言!カラーデザインも鮮やか、サントラも最高!是非続編を作って欲しいシリーズですよ。

コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)

「コードネームU.N.C.L.E.」 オリジナル・サウンドトラック

 

直近の過去作を振り返ってみても、とてもディズニー作品に取り上げられる監督とは思えない…(笑)。

しかし、思えば「アラジン」はディズニーアニメの中でも身体的アクション見せ場が多いですし、何より盗賊の話ですのでガイ・リッチーにはぴったりの題材だったんですね。「ダンボ」にティム・バートンというのは納得の人選でしたが、こういった意外性と適正とを両立させた監督選びを続けて欲しいものです。

 

ガイ・リッチーが監督ということでボンクラ要素が期待される今作ですが、更にボンクラ度を高める要素として挙げられるのはジャスミン役のナオミ・スコット!彼女はあの「パワーレンジャー」でピンクレンジャー=キンバリーを演じていたんですよ!監督はアクションケレン畑のガイ・リッチーで、ヒロインはスーパーヒーロー。そしてジーニーにはエイリアンを殴り電車を止められるウィル・スミス!ボンクラ映画文脈が詰まりに詰まっているのが実写版「アラジン」なんですな。

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■アクションしまくるアラジン!

前述した通りアラジンは盗みや洞窟からの脱出などアクションシーンが多い作品なんですが、今作はそれに輪をかけてアクションがモリモリになってます。え!そこアクションいる?みたいな所でもアクションをさせる!ランプ取るのにロッククライミングしたり、雪国でアブーを助けるためにアクションし始めた時は正気を疑いましたね。

 

ガイ・リッチー節炸裂な盗み、アグラバーを駆け巡るパルクールはアクション映画として見ても全く遜色がない楽しさ!主役のメナ・マスードがどこまで演じているのかは分かりませんが、アニメ版アラジンを超える身の軽さは見事としか言えません。身体性によってキャラクターを表現するというのは「見た目ではなく中身」のアラジンならではでしょうか。ジャファーの設定を少し変えアラジンと完全に対を成す存在にすることで、テーマもより明確化されていましたね。

 

アラジンに限らず、ボディランゲージ(と変顔)がやたらと多い作品だったのもテーマに裏付けされた演出だったのかも。最高のボディランゲージ(と変顔)を披露してくれるのはジャスミンの侍女ダリアでしょうね。あんなハッスルポーズ久しく観てない(笑)。

 

しかしアニメから削られたアクションも多かった。普通のじゅうたんで飛び降りる、蛇ジャファーとのバトル(代わりに空中チェイスが追加)とかが無かったのは残念なところ。

 

アラジン (オリジナル・サウンドトラック / デラックス盤)

中央がメナ・マスード。髪をちょっとおろした姿が超イケメン。アラジンがずっと服を着てるのは、裸だとエッチすぎるからでしょうな。

 

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■ドラマを担うジャスミン

題名こそアラジンですが、ドラマ面で最大のエモーションをかっさらうのはジャスミン

 

 最近のディズニー&世流が否定しがちな「おとなしいお嬢様」では元々ない活動的なキャラクターですが、実写版ではアニメの要素を拡大解釈し上手く現代的な人物へ変化させていましたね。むしろアクション性を抑えめにしているくらい。(進んで棒高跳びはしないし、冗談や演技で策略めいたこともしない)ダンスはするけどね!

 

大きな変更点としては「自らが国王になることでアグラバーを良い国にしたい」という願いを持っていること、そして「黙っている王妃」でいることを求められていることでしょうか。高潔な精神を持っているものの、性別や立場で心を縛られているので活動的にもなれていない。実に現代ディズニー的な、#MeToo運動後のキャラクターといった感じですね。

 

そんな彼女が国家の危機を前に「NO!」と歌い出す!男どもを消し炭にしてやる!!!という気概のイメージ・ミュージカルを脳内再生した後に、極めて論理的かつ部下をよく見てきたからこその名演説をかます律令と心情とを両立した紛れもない「国王」としての姿に、彼女を捕らえているはずの衛兵は黙り、父である国王は笑みと共に涙を流す…。長年の願いを自らの力で発現させた、アラジンのテーマを体現する屈指の名シーンだと思います。

 

ただ、件のシーンで熱唱される「Speechless」があんまりアラジンっぽいメロディーでない、エキゾチックな曲調でないのはちょっとガッカリだったかな…曲や歌詞は凄い良いんだけど…。脳内シーンがかなり特殊な入れ込み方をされてるのも相まって、どうしても浮いてしまう。いやほんと良い曲ではあると思うんすよ!劇場では胸アツだったしさ!!

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ポリコレ的配慮を超え、逞しく高潔なキャラクターとなったジャスミン。しかしながら原点のアラジンらしい「愛のおとぎ話」としても見事な着地を見せてくれます。敢えて恋愛を強調しない作劇も良いですが、やはりディズニーには「信じたい本物の恋愛」を見せて欲しんですよね…世間から、そして自分自身で課していた抑圧を振り払い、シンプルに愛を伝え合う…その愛の成就があまりに美しくて、思わず周囲も見惚れ祝福してしまう…そういった「恋愛」を描いてくれているんですよ。

普通に結婚して普通に子供を産み育て円満な家族で暮らしたいという「願い」を真正面からやってくれたのも良かった…。

 

■ギャグと歌と涙をくれる魔人、ジーニー=ウィル・スミス

観る前に一番不安だったのはジーニーをどうするのかってこと。アニメだからこそ変幻自在なジーニーを実写にしてどうすんだよと!まぁ、杞憂でしたね。実際魔人形態は全部CGらしいので、グリグリ動いてましたね。声の演技とCGのメリハリによって、ウィル・スミスがはしゃぎ倒しているように見えるのもいい。アグラバーへ行って以降は、実写だからこその空間表現空間情報を活かし、更に摩訶不思議な映像にしていたと思います。

 

また、映像では変幻自在放つ台詞は破天荒なジーニーですが、心では自由を渇望しているという複雑な人物でもあります。ウィル・スミスはその絶妙なバランスを実像込みで?演じきっていました。今回のジーニーは歴代ご主人…つまりは人間への失望を抱いているドライさがありつつも、普通の人間としての暮らしに強いあこがれを抱いていたりと更に人間味が増しているので、実写表現にする意義が強まっていますよね。ジーニーは共感を呼ぶキャラクターとなった。

だからこそ、彼が自由を得る場面ではアニメ版とは真逆の、静かな演技演出となっていました。彼の願いもまた魔法の力ではなく、アラジンとの友情によって果たされた(王子ではなく友達)。

 

しんみりした感想ですが、彼が出てるシーンの8割はギャグシーンですから!安心して楽しんでいただきたい!ディズニーというよりはワーナー的なギャグやデッドプール的なメタネタ時代無視ネタがバンバン飛び交う!正にジーニーのギャグ!いきなり映画を巻き戻し「観客を映す」演出をしてきた時はマジでビビった!俺は本当にディズニーを観ているのか?「グレムリン2」じゃなくて!?

ラッパー経歴を活かしてラップ調の曲を歌いあげたり、どう見てもヒップホップなダンスを披露するのもジーニーだからこそ許される!

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「ウィル・スミスが演じるジーニー」として吹替する山ちゃん、やっぱりすごいぜ!

 

 

■キレキレのダンスを見よ!

ディズニーアニメと言えばミュージカルシーン、様々なアニメキャラクター達が踊り歌うシーンが見どころですが、実写版アラジンではダンスに特化!フレンド・ライク・ミーでもジーニーとアラジンが一緒に踊る!行進シーンでもウィル・スミスがどう見てもヒップホップ調に踊る!宮城パーティーでも踊る踊る!

更にラストも皆でキレキレのダンスをしまくって終わる!!!テンション高すぎる打ち上げエンディングなので、どうせならジャファーにも出て欲しかったよ(笑)。それくらいしてもいいテンションだもの!

 

ダンスというのは円舞である以上に、自己表現手段です。現在の教育カリキュラムではそういった方向性でダンスを取り入れているらしいですが、今作でのダンスシーンは正に内に秘めたパッションを表現するシーンとなっていた様に思います。

 

■〆

さて、そろそろ〆にしましょうか。

ネタ切れ実写、ポリコレ祭りと侮るなかれ(侮ってるのは俺だけか…)。アクションとキャラクター表現を一体にした見事な作劇、実写として再構成された魅力的なウィル・スミスジーニー、力強い「NOと言おうぜ!」メッセージと「信じたい愛」…非常に満足度の高い現代版アラジンになっていましたよ。次は吹替版でも観たい!「ライオン・キング」も観る…かな?(笑)

 


「アラジン」本予告編