映画:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 ~自分に立ち向かえ~
こんにちは。
光光太郎です。
ジャンルに入り込む決定的なきっかけは、なんにでもあるだろう。私の場合「ホラー映画」にあたるのは「イット」だ。
このジャケットに、いや、イットを演じるティム・カリーが怖すぎて惹かれたのをよく覚えている。小学生の頃、ブックオフでね。
音楽、編集、メイク、顔芸、全てが「怖さ」を産む最強のオープニングシーンにやられたものだ…大学生の頃だったか…。
さて、というわけで、遂に公開となった上記「イット」リメイク版の続編「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」。(クソ長いタイトルだな…)
これに万全の態勢で臨むためにも、前作の「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の感想を(引用多めで)書いていくぜ~~~~!!!!!
「イット それが見えたら終わり」を観た。傑作ジュブナイル爆誕。
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 4, 2017
ホラー描写は(極上の)お化け屋敷のノリだけど、それはこれが恐怖を主題にしたホラー映画ではないから。本作の主題は「成長」であり恐怖はそれを描く上での道具だ。キモは他者や自分自身に対する恐怖を見つめ立ち向かう物語にある。
あと、TV映画版と比べて第二次性徴要素がかなり強かった。明らかに「キャリー」オマージュなところも含めて。まぁ、男の子達にとっては、しゃあないっすわ!!!! pic.twitter.com/oLQDf77ZWP
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 4, 2017
「イット」映像がいちいち凝りに凝られてたからまるで「美化された少年時代」っぽく見えたな。すんなりと大切な思い出として消化されていく感じ。
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 6, 2017
そもそも原作小説はスティーブン・キングが手掛けた「IT」。キングと言えば映画になった小説が無茶苦茶多い作家である。シャイニング、キャリー、ペットセメタリー、ミザリー、マングラー、ミスト等、ホラー怪奇ばっかりのイメージがあるがジュブナイルものの名作「スタンド・バイ・ミー」も彼の作品だ。先に挙げた「キャリー」も青春要素が色濃いし「シャイニング」も子供が出てくる。「炎の少女チャーリー」なんてのもある。
キング作品は「恐怖×青春」という構図が多いのだろう。現在世界中で人気の怪奇ジュブナイルドラマ「ストレンジャー・シングス」もキングの影響下にあると言われているし、やはり「恐怖×青春」なのだ。
では青春における恐怖とは何なのか?それはトラウマであり、親であり、病気であり、後悔であり…子供たちが「他者とは共感しえないと思い込んでいる何か」ではないだろうか。
TV映画版からの素晴らしい変更点としてバスルームでの事件がある。半端じゃない量の血を出すことで同じキング原作の「キャリー」を意識させるし、第二次性徴への不安や恐怖のメタファーであることが分かりやすくなっている。スマートだ。
更に唸ったのは、その後にルーザーズクラブでその血まみれのバスルームを掃除するシーンをいれたこと。自分自身への不安や恐怖を見つめて友達と共に立ち向かうという、この映画の主題を示しきった超絶名シーンだと思う。
子供たちは視野が狭いし、地元に縛られ家に縛られ自由が無い。日々自分を悩ます「何か」に抗うことは難しい。だからこそ彼らはクラブを作り、一緒に行動し、恐怖に立ち向かっていく。上記のシーンはそれを端的に示しているだろう。
いじめっ子のリーダーも親からの圧力、それに負ける自分を紛らわす為に徒党を組んでいたのかもしれない。しかし彼は抗うのではなく、屈しているだけだった。
人にはそれぞれ怖いものがあるし理解もされないが、皆で協力すればそれに負けないことだって出来るんだ!という、非常に熱くシンプルなストーリーが、リメイク版「イット」の最大の魅力だ。
逆に言えば今作の恐怖要素、ペニーワイズは早々に「克服すべきもの」であることが分かる、つまり存在理由が付いてしまうので、あまり怖くない。いやビックリはするし超キモいけど、怖くはない。正直TV映画版の方が何倍も怖い。というか、ティム・カリーの顔が怖い。冒頭の動画観れば分かるだろ??
あ、でも序盤の「後ろでずっとデブを見つめてるピンボケババァ」は怖かった!黒沢清映画みたいでさ…。
あと今作の面白ポイントと言えば、引用されまくるポップ・カルチャーだ。音楽は分からないが、スーパーマンの話題が出たりする。
そーーーーいえば、「イット」で極厚眼鏡の子がやってたゲームって「ストリートファイター」の最初のやつだよね!2からの格闘ゲーじゃなくてベルトスクロール式の1!
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 11, 2017
とにもかくにも、「恐怖を感じてしまう自分」に立ち向かう美しい青春ジュブナイル映画だったということだ!続編は169分あるらしいが、楽しみだ!