映画:見えない目撃者 ~善と悪の継承~
こんにちは。
光光太郎です。
引っ越して間もない頃、近場の映画館で観た1作の邦画。久しぶりの映画館での鑑賞だった。「サバイバル・ファミリー」の時もそうだが、久々に映画館へ行くと心に響く作品と出会うことがある。
「見えない目撃者」もそうだった。まさか「魂の継承」の話、もっと言えば「ヒーローについての物語」だとは思わなかったので、号泣してしまった…。
というわけで今回は「見えない目撃者」の感想をさらりと書きたい。物凄く観念的な話になる気がする。
視覚障碍者の元刑事、なつめは誘拐事件の「目撃者」となる。しかし目が見えない彼女の証言を警察はなかなか信じない。なつめは事件現場にいたもう一人の目撃者、春馬と共に事件解決の為に奔走するが…。というのがあらすじである。
■鑑賞後ツイート
「見えない目撃者」観た!
— 光光太郎 (@bright_tarou) October 2, 2019
滅茶苦茶面白かった!ご都合主義や台詞ペラペラはあるけど、物語と人物心情ががっちり噛み合ってるので不自然さはない。序盤から積み上げられたドラマ・カタルシスに思わず泣いた。アイデアもざまぁ!もゴア描写も満載!!でも二時間越えは長いよ!
諦めていたけども、何か、何か出来ることがあるはずだ。ささやかな、何かにすがるようなこの思いが継承されていく。これ、小説仮面ライダー1971-1973なんすわ。泣くやん?
— 光光太郎 (@bright_tarou) October 3, 2019
ドラマ部分で割をくう吉岡里帆だが、演技ととあるシーンの愛嬌、何よりもあの仁王立ち!!!カッコよすぎるぜ!!! pic.twitter.com/ztMNHF3cFu
— 光光太郎 (@bright_tarou) October 3, 2019
視覚障碍者が殺人事件を調査する、あまつさえ犯人と対決する…というとジャンル映画的な面白さを期待してしまう。勿論その面もしっかりあるが、何よりも素晴らしかったのは前述した通り「魂の継承」だ。正義の継承と、悪の継承である。主役の吉岡里穂=なつめはあくまでも伝える側であり、真の主役は受け手である高杉真宙=春馬だろう。
悪はたやすく伝播する。思いは関係なくただ悪を目撃するだけで、凶行へのロマンは継承されてしまい、その犠牲者はドンドン増える。気に入らない世界に対する独りよがりの反抗という非日常に浸るのは、確かに心地いいだろう。
見るだけ、ひとりだけ、誰かを傷つけるだけ…簡単だからこそ悪は継承されていく。
対して、正義の継承は難しい。そもそも現状では、正しさが望まれることは少ないのかもしれない。いや、大人が子供に正しさを示す機会が無いのかもしれない。なつめと共に嫌々ながら事件を追うことになる春馬は、親にネグレクトされ教師からは見放され、社会に絶望しきっている。将来の道も見えない。また、事件に関わった刑事の吉野と木村も、やっかいな事件故になかなか調査に積極的にならないでいる。
しかし、なつめは「人助け」という、絶対に正しい行いを春馬と刑事に行動で示し続ける。本当に事件があるかどうかは分からないが、そこに向ける正義の魂にどうしようもなく心が動くのだ。なつめ自身も、何もゆるぎない心を持っているわけではない。彼女自身もまた、再び燃え上がった心火へ必死にすがり、なんとか自分を保とうとしているだけだ。そのもがきを見た人もまた、心が静かに燃える。
助けを求める人がいる、自分にも何か、何か出来ることがあるはずだ…春馬と刑事達にも徐々に正義が伝播していく過程は、ヒーローを目撃した人もまたヒーローになるという「ヒーローについての物語」であり「スパイダーマン2」なのだ。信じたい綺麗事の寓話である。泣くしかない。
正しいことを行うのは難しい。強力な悪によって傷つけられ倒れていく人もいる。しかし、その戦いを目撃して正義を目指す人も確かにいる。倒れた人たちの魂は、確かに継承されたのだ。最後に春馬が言うセリフ、号泣です。
継承される正義の話、いやさ「ヒーロー」の物語としての決定版です。今作を観て真っ先に連想したのがこれ。