映画:スーパー戦隊MOVIEパーティー ~完璧なクロスオーバー・ドラマ~
こんにちは。
光光太郎です。
今回は最新+旧+未来のスーパー戦隊達+プリキュアが競演した映画の感想です。
■リュウソウジャーと私
まず少し前置きを。
今作は現在放映中のスーパー戦隊「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(以下リュウソウ)と、一作前の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(以下ルパパト)とがクロスオーバーし共に戦うお話だ。題名の通りルパパトは怪盗と警察にそれぞれ戦隊がいるので3つの戦隊がチームアップすることになる。更に初めての試みとして、次回作「魔進戦隊キラメイジャー」のエピソードゼロが同時上映され、最後にオマケとしてプリキュアと共演しダンスを踊る!!
劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー/魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO【スーパー戦隊MOVIEパーティー】 SPOT映像(30秒)
ところで私はリュウソウを殆ど観ていない…。確か夏あたりまでは追っていたが、あまりにも進まないメインストーリーと寒すぎるギャグの数々に参ってしまい、仕事が忙しくなったことも重なって段々遠ざかっていった。なのでリュウソウがTVにおいてどんな魅力がありどう映画に活かされているかを記すことは出来ない…が、2019年夏に公開されたリュウソウ映画は非常にカッコよく、楽しんだ記憶がある。
『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer/騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE』予告
お話はまぁアレなんだが、とにもかくにもカッコいいシーンがてんこ盛り。映画の大スクリーンでヒーローを観ること自体興奮するが、変身シーンから名乗り戦闘に至るまで全てが震えるほどカッコよかった。下記ツイートにもある通り、演者のスタイルの良さが映画の大スクリーンに映えまくりなのだ。鋭く光る銀色が強調されるスーツやプロップも抜群にカッコいい。
劇場版リュウソウジャー、観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年8月1日
こんなにもスクリーン映えする戦隊だったとは!!そういや全員手足長いもんなぁ…。とにかく変身前後どっちも無茶苦茶カッコよかった!巨大戦の三段跳びもビビった!大満足!!
(話は微妙!!!!!)
なので私の中でリュウソウは「映画でカッコよくなる戦隊」というイメージが強い。
■ルパパトと私
続いてルパパト。こちらは1年通して鑑賞しスーパー戦隊の中でも屈指の名作だと断言出来る。敵組織をあくまでも盛り上げ要因と割り切り、2戦隊の関係性燃えを押しまくったことによる濃密な人間ドラマが見どころだ。大切なものを取り戻す為に邪道を進む怪盗と、平和を守る為に正道を貫く警察。それぞれに譲れない思いがあり何度もぶつかるものの、時には互いに影響し合って成長したりもする。
販促の都合上怪盗側のみがパワーアップを続けるが、精神面で危うさがある「子供」な彼らにはむしろ戦力増強が不可欠だったように思える。対して警察側はほぼ完成された精神と技術、何よりも職務への誇りを持つ「大人」なので、既存装備のみで安定した対処が可能であるとも考えられる。
邪道と正道、子供と大人、ヴィジランテと警察…幾重にも重なった対立構造が生み出すドラマだけでなく、斬新なカメラワークによる新しいアクションシーンの創出も見逃せない見どころだ。
劇場版ルパパト、戦隊映画史上最高傑作。ドラマも特撮もアクションもゲストも何もかもが極上で、ニチアサ夏映画という贔屓目抜きにして抜群に面白かった。共闘ネタは先にTVで最高なのやってたから心配だったけど、別な回から要素引っ張っての激熱なレッド共闘に燃え泣く。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2018年8月4日
あと単体の映画も滅茶苦茶面白い。是非本編の15話「警察官の仕事」位まで観てから鑑賞してみてほしい。
■理想的なクロスオーバー!魂を継ぐ!
というわけで大分ルパパト派として鑑賞してきたわけだが…大満足…非常に大満足だった…。「ルパパトの魂を継ぐリュウソウジャー」の物語を60分弱でほぼ完全にやりきっていたと思う。ルパパトのメイン脚本家にしてエモさ神の香村純子さんが手掛けているからだろうか。
あらすじを引用すると…
ギャングラーの残党“ガニマ”により、ティラミーゴたち騎士竜が、金庫に閉じ込められてしまった!。騎士竜を助け出すために、ガニマと戦うリュウソウジャーたち。しかし、金庫に囚われた騎士竜の力を発動したガニマのパワーに圧倒されてしまう。ガニマを追うバンバとトワの前に現れる国際警察の圭一郎。戦いで傷ついたコウに快盗として協力する魁利。囚われた騎士竜たちに危機が迫る中、期せずして出会うことになった3大スーパー戦隊。この冬、騎士・快盗・警察が入り乱れる熱くクールなバトルを見逃すな!
https://www.toei.co.jp/movie/details/1215760_951.html
前作の残党と現行の敵組織が協力し強くなったのでこっちもチームアップだ!という、オーレンジャーVSカクレンジャーから連綿と続く王道のあらすじである。マンネリと言ってもいいが、要は強力な型の中でどう撮り直すか?どんな物語を語るかというのがこのシリーズの面白さなのだ。
VS第一作。このムキムキのイラストが堪らない!!!
本当の第一作はこれだろ!という声に応えて。
今作での語り方は前述した通り「ルパパトの魂を継ぐリュウソウジャー」だ。
リュウソウジャーは地球を守る使命を持った一族であり警察側に近い立ち位置であるが、そんな彼らの仲間がギャンブラーに囚われたことで「地球の平和か仲間の命か」という選択を迫られる。怪盗警察両方の立場を兼ねることになるので、ルパパトの基本プロットである「お宝を取り戻した上で倒す」をなぞることになる。つまり、彼らが巡った葛藤をリュウソウも経験することになるのだ。
地球を守るためには敵を倒さないといけないが、倒すと囚われた味方の騎士竜も死んでしまう…怪盗達からは「正しさの為に望みを捨てるのか?」という問いを受け、警察側からは「貫くべき本当の正しさは何のか?」の体現を見せられることで、リュウソウジャーは正しさを超えた自分なりの騎士道…助ける方法が見つかるまで何度でも立ち向かい守り続ける道を見つける。
ルパパトが築き上げてきた強固な葛藤ドラマを利用しリュウソウジャーならではのヒーロー論を展開したわけだ。できるわけないとかしょうがないじゃない!やりたいことも使命も全部やるんだよ!!!!という啖呵切りには、やはり、泣いてしまう。困難な障害も何もかも把握したうえで、それでもやるんだ、理想を目指すんだという心意気を銀幕で観ると、やはり、泣いてしまう。
■ルパパトの続編である
泣いた泣いたと書いたが、この「泣き」は如何にして導き出されたのか?勿論リュウソウジャーの決意もあるが、何よりもルパパト続編としてのドラマ要素の積み重ねによるものが大きい。今作は紛れもなく、ルパパトのその後なのだ。
まず怪盗側ルパン側の物悲しいその後にやられた。TV本編終了後なので各々大切な人を取り戻しているはずなのに、一切出てこない…透真は婚約者と距離を置き、初美花は友人が描いた漫画を買うのみ、魁利に至ってはお兄さんの話すらあまり出ない…3人全員寂しさと影を持った表情をしており、幸せ満開の生活でないことが伺える。ううう…。
対して警察パト側は、揺るがぬ決意を持ち仕事に取り組む毎日を送っている様。市民を守る盾となること、つまり戦隊メンバーも守ることに一切の迷いがない圭一郎はいつも通り(だからこそ泣く)。警察において一番若手の咲也は「警察官の仕事」で見せた警察官としての誇りを更に高めていた。リュウソウジャーの中でもアウトローよりのトワとバンバも、警察二人の正義の魂に感銘を受けていたと思う。
そうなんだよ…パトレンジャーは現実世界において大人が実践できるであろう正義の味方像をとことん考え抜き、適切な距離感を保ち押し付けることなく描いているからこそ素晴らしいんだよ…!!そこに仕事魂も加わるから、より現実的なカッコよさが増すわけ。パトレンジャーを観て警察官を目指したり、誰かを守り救う仕事を目指す子供たちが必ずいるだろう。それだけ、パトレンジャーのヒーロー観は人の胸をうつのだ。変わらない姿を映す続編の素晴らしさよ…。
VSチェンジャー+グッドストライカー、くっそデケェ。子供持てんのか心配になるくらいデケェ。最高。 pic.twitter.com/dG6BqgDcVe
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2018年3月3日
玩具成績は振るわなかったらしいが、デカいオモチャは最高なのだ。
他にも本編エピソードを連想させる小ネタの数々や一瞬ながら気の利いた台詞の数々など、とにかく細かいところまで続編であることを意識させる要素がてんこ盛り。なので今作はルパパトファン必見だ!!!
■キラメイジャーは…
さて、続いては同時上映のキラメイジャーエピソードゼロの話を書きたいところだが…正直何故付けたのか分からない程内容が薄い!世界観やキャラ紹介などやることは多いのにテンポがやたらと遅く見せ場も少ない。これに30分近くかけるならいつも通り60分位にして特別料金上映にすればよかったのに…いや、そうしないための同時上映なのか?
しかし、キラメイジャーにおけるレギュラー芸人枠、古坂大魔王のコメディアンっぷりを堪能できたのは良かった。常にVRゴーグルを付けさせられているのはどうかと思うが、恐らくアドリブであろう台詞の数々が滑っていない。透明人間かな?には思わず吹き出してしまったし、唯一の大人として頼りがいある雰囲気も出ていたと思う。単純にガタイが無茶苦茶いいってのもあるだろうが…(笑)。とにもかくにも本編を観てからだな!!でも今の時代に女性だけホットパンツの制服ってのはどうなんだろうな…。
(杉田王の顛末やピンクの天然女王様キャラ等、結構Mっ気を感じるのが心配だぜ…)
■高度なリテラシーが要求されるプリキュアコラボ
今回誰もが驚愕した、戦隊×プリキュアのコラボ。ポスターに掲載されたのを見た時は正気を疑ったが、実際観てみると更に狂気の沙汰というか…観客に結構なリテラシーが要求されるカオスな内容だった。
エピソードゼロ終了後、キラメイレッドがいつもの屋上にて「先輩を紹介するぜ!」と言うと、突如キュアスターが登場!プリキュアが何のかという説明を全くせず、何故キュアスターを先輩と呼ぶのかも説明せず、いきなり思い出作りと称してスタートゥインクルプリキュアの後期ED「教えて...!トゥインクル☆」の映像が流れ始める!!しかもその中にキラメイジャーが現れる!!!
スーパー戦隊の映画を見に来たはずなのにいきなりプリキュアのアニメが始まるという流れに脳味噌が追い付かない。キュアスターは紹介されたもののその他4人は名前も呼ばれないので初見の人は謎に思うだろうが、そんなことはお構いなしで進む。
しかしTwitterを見ると劇場の子供達は結構盛り上がってるらしい…ヒーロー好きの女児、プリキュア好きな男子が各々の好みをオープンにしやすい流れが来ているのなら素晴らしいことだが、とにかく展開と映像が新次元過ぎて本当に追い付けない。説明してくれ…!!!
トリミングの関係か知らないが、字幕が画面下ギリギリの位置になってるのも気になって脳味噌がパンク寸前
映像が終わると「もっといいこと閃いたぜ!!!」と言い放ち、リュウソウレッド達が登場!そしてリュウソウEDのケボーンダンスを一緒に踊ることに!!キラやば~~☆
ルパパト、リュウソウ、キラメイジャーが一堂に会する壮観な画面のど真ん中に、スーパー戦隊映画のEDのはずなのに、センター手前にいるのは何とプリキュア達!!!しかも先ほどのキュアスター+4人に加えて、新しく2人追加されているではないか!!一切の説明も無しに!!!!!!
つまりこのEDを楽しむには
・プリキュアを知っている
・HUGっと!プリキュア、ヒーリングっど♥プリキュアを知っている
・この映画でダンスコラボしていることを知っている
等々様々な事前知識が必要不可欠なわけだが、キッズ達にとってこれらは常識であるという判断なのだろうか…。いやそれにしても本当に脈絡なくぶち込まれたコラボだった…是非来年もやって欲しいし、何なら夏映画で戦隊×ライダー×プリキュアでそろい踏みして欲しいし、秋のプリキュアオールスターズにスーパー戦隊が登場してもいいよ!
■〆
やたら長くなったのでここらで〆。
リュパパトだけ散々褒めたが、ルパンソウルの塗装が酷かったりドラマと戦闘シーンの緊張感が全く合ってなかったりやっぱりご都合主義だなと思う展開があったりと、微妙なところもある。しかしそれらが気にならない程(慣れてるとも言うが)面白かった。
エピソードゼロ形式は課題もあるが、プリキュアコラボ含めニチアサという枠内でまだんだ新しいことが出来ることを示してくれた、歴史的な一作であることは間違いないだろう。是非、観て欲しい!