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映画:パシフィック・リム アップライジング ~惜しい!もう1作!~
「エイリアン2」という映画がある。
宇宙でしっとり怖いホラーをやったリドリー・スコット監督の大傑作「エイリアン」の続編なのだが、SFクリーチャーを相手にした戦争モノへとジャンルシフト。ツボを押さえた燃えポイントを各所を配置し「コマンドー」ばりの準備シーンを見せたかと思えば最後にロボットVSエイリアンをぶつけるという、ジェームズ・キャメロン監督らしいサービス精神の権化のような映画になった。1作目とは全く異なる魅力を持った最高の続編映画の1つと断言できる。どちらも両監督の色が強く強く出ているからだ。
今回は「エイリアン2」と似た境遇、強烈な作家性を持つ映画の続編である
パシフィック・リム アップライジング
の感想を書いていきたい。
雑感へ行く前にまず、簡潔にでも「パシフィック・リム」という作品の偉大さに触れておきたい。巨大ロボットVS怪獣をハリウッド体制で映画にした、してくれた歴史的な1作だ。これまでも怪獣映画、巨大ロボット映画はあるにはあったがパシリム並みに巨大なロボットと巨大な怪獣を滅茶苦茶デカいと感じられるように映し、とんでもなくカッコよく撮ることに焦点を当てて作られた映画は他にないだろう。カッコよすぎるデブオタク監督、ギレルモ・デル・トロに足を向けて寝られるロボットオタク、怪獣オタク、特撮オタクはいない。
パシリムが如何に偉大な作品であるかについて詳しく知りたい方は次のブログ記事を読んでみて欲しい。また、上述の太字事項について詳しく書かれた箇所を下に引用する。
この作品はよく「ロボットと怪獣が戦うだけの映画」と評されるけど、単にそれだけではないと思っている。その「だけ」を気持ちよく成立させるために、人物関係やプロットの無駄を削ぎ落とし、非常に洗練された流れで観ている側にモヤモヤを抱かせず真っ直ぐに拳を握らせるように構成されているからだ。「ドッカン!ドッカン!はい終わり」、ではない。その「ドッカン」を、いかに本気で魅せるか。そのために、「ドッカン」以外の部分にも相当に気が配ってある。だからこそ、この映画は単なる「映像すごかったね」だけではない魅力に溢れているし、その界隈の人々の心をガツンと掴んだ。
そんなパシリムの5年ぶりの続編が「パシフィック・リム アップライジング」だ。
デルトロが監督しない、スター・ウォーズのジョン・ボイエガとスコット・イーストウッドが主役、東京に集結する新世代イェーガー達のあまりのカッコよさ、及び動きの軽さ、何よりも劇場長編初監督の方が手掛けるという事実……不安と期待が入り混じった中で迎えた鑑賞体験は、はっきり言って、微妙なものだった。
ロボットや怪獣たちのキメ映像では前作に劣り、かといってロボットアクションでは「トランスフォーマー」シリーズに劣る。どうしても、似た作品群の強烈な個性に埋もれてしまう。「続編」としての作り方にも粗があるのは確かだ。
しかし、だがしかしだ。駄作と言って切り捨てることは絶対に出来ない。スティーヴン・S・デナイト監督が抱く「俺のやりたいパシリム」は痛いほど伝わってきたからだ。巨大特撮をCGでやることに拘ったデルトロとは違い、ハチャメチャにカッコいいロボットアニメをやろうとしたのだと思う。
今回は悪点と良点について、それぞれ触れていくことにする。まず悪点だが
①キメ映像までのタメがない
②キャラ立てが弱い
の2つが個人的には大きいマイナスだった。逆に言うと、前作はこの2点があまりにも上手かったのだ。
最初に①について。今作でのキメ映像といえば予告でも散々使われていた、4体のイェーガーがそろい踏みして戦闘態勢をとる場面だろう。前作では良くも悪くも主役ロボットであるジプシー・デンジャーが目立っていたので、これはいい差別化である。が、そこまでのタメや前振りが全くないのだ。全てがあっさりと進行していく。
原因を考えてみよう。前作のタメで印象的だったのは、香港決戦におけるジプシー・デンジャー登場までの流れだ。2機のイェーガーは倒されストライカー・エウレカも電磁パルスを受けて行動不能。絶体絶命の危機に動けるのはアナログで原子力のジプシーだけ!強烈なバックライトを浴び、満を持して戦場へとやってきたジプシー。ライバルキャラの「いけぇ!ジプシー!ぶちのめせぇ!!」からテーマ曲が流れての、ジプシーとレザーバッグの戦闘開始!!!!何度見てもブチ上がる最高のシーンだ。
絶体絶命の状況、ジプシーだけが立ち向かえるというお膳立て、登場シーンの外連味、台詞による応援、そしてテーマ曲…すべてが混然一体となった見事なタメだ。
では今作のキメ映像までの流れはどうなのか?東京での怪獣軍団との戦いが続く中、敵に洗脳されたニュート博士によって小型怪獣が解き放たれる。3体の怪獣と無数の小型怪獣達は合体をし、超合体怪獣へ変貌を遂げた。唖然とするメンバーを鼓舞するジェイク。各イェーガー達は各々の武器を取り出していく。そして超巨大怪獣めがけて突撃!!ここからが本当の戦いだ!
あれ、文字に起こすと無茶苦茶熱い場面だな…(笑)。今作は見せ場がありすぎて1発の爆発力が弱くなってしまったのかも。この前にも、東京へ降り立ってからの集合シーンがあったし。そこからそろい踏み突撃まではあまり時間が空いていないし…。やはり「あっさり」という言葉が出てきてしまう。キャラクター描写、ロボット描写、怪獣描写共にキメ映像までの積み上げが不足しているので「あっさり」と見えてしまうのだ。
これは②のキャラ立ての弱さにも関わってくる。
続いて②だ。前述した通り、ロボット=イェーガー描写もキャラクター描写も非常に薄い。そもそも主役機であるジプシー・アベンジャーですらあっさりと出てくるので、全く盛り上がらない。そもそも何故ジプシーなのか?ジプシー・デンジャーの後継機なのかどうかすら語られないので、単なるマシンにしか見えないのだ。他の3機、セイバー・アテナ、ブレーザー・フェニックス、ガーディアン・ブラーボも序盤にちょろっと出るだけで、後は最終決戦になってしまう。
前作の脇役3機体もさほど活躍したわけでは無かったが、ペントコスト司令官による熱のこもった解説と明確に差別化されたデザインラインと単色カラーリング、「最強の3機」という設定、そして何よりも「必殺技」によって、ジプシー・デンジャーに負けない魅力があった。
今回の3機も序盤に解説はあるし必殺技もあるし、活躍シーンはむしろ前作よりも増えている。なのに、全く目立っていない。思うに、各々が何に長けたイェーガーなのかがよく分からないからだろう。設定はあるのかもしれないが、上手く見せられていない。ジプシー・アベンジャーとセイバー・アテナはともかくとして、ブレーザー・フェニックスとガーディアン・ブラーボは武器が異なる同系機に見えてしまう。「最強」という枕詞が無くなり単なるイェーガーになってしまったことも痛い。この4機が揃えば絶対に地球を守ることが出来る!!とは、思わせてくれないのだ…。集合場面をキメ映像にするならこういうお膳立てが絶対に必要だったはずだ。
ロボットが薄ければパイロットも薄い。ジプシー・アベンジャーに乗る2人とアマーラ以外は完全に空気だ。せっかく日本から新田真剣佑が出演しているというのに、台詞殆ど無しな上にスクリーンにも姿を見せない。ロシア人女性パイロットは少し目立っていたけどそれが決戦に活かされることはないし、他のパイロットは霞同然。せめて髪型くらい全然違うやつにしてくれ!!!もはやロボットを動かすためのおまけになってしまっている。
前作ではジプシー・デンジャーとストライカー・エウレカ以外のパイロット達は今作以上に出番も台詞も無かったが、どう見ても裏稼業の親分と女将さんにしか見えないロシア人夫婦(奥さんの方がメインパイロットだし年上!!)三つ子の中国バスケットボーイズと、出た瞬間に強烈な個性を放つ面々だった。最強の風格を漂わせる人物達だったのだ。今作のパイロット達は殆どが訓練生なので歴戦の勇士と比べるほうが酷なのかもしれないが、だからこそ強烈なキャラ付けが必要でしょうよ!!!!!!ゲーム感覚でイェーガー乗るやつとか、めっちゃ機体にペイントするやつとか、エロい写真ばっか貼ってるやつとか、そういうのでもいいんだよ!!!!!!!(パイパイ弄りはキャラよりも言葉が勝った)
①と②についてツラツラ書いたわけだが、結局のところ、監督の力量不足なのだと思う。途中顔面のアップで繋いでた苦しい場所もあったし。ネットフリックスの大名作「デアデビル」において、タメもキャラ立ても見事に成し遂げた監督でも、劇場長編初監督作品ではこうも違うのか。
悪点がかなり長くなってしまったが、次は良かった点についてだ。
①オブシディアン・フューリー
②真昼のロボットアクション
③Mt.フジ
個人的には①が今作最大の良点だ。正体不明の謎のイェーガー。最新鋭機のジプシー・アベンジャーを圧倒するその強さ。シドニー襲撃における獅子奮迅の活躍には本当に痺れた。シベリアで割とあっさりやられてしまったのにはガッカリしたが、とにかくオブシディアン・フューリーが出てくるシーンは全てが最高だ。前作のクリムゾン・タイフーンを思わせるメカならではの挙動も良い。
真っ黒な敵ロボットといえば「鉄人28号」のブラックオックス。ジプシー・デンジャーの機体色が鉄人と同じ青だったので猶更だ。味方に似た黒い敵で思い浮かべるのはパンフレット等でも触れられているニセウルトラマン達だろう。ロボットであるという点では「ウルトラマンゼアス」のウルトラマンシャドーが近いか。
しかし、私が連想したのは、ゴジラだ。巨大な黒い怪物が海からやってくるといえば、嫌が応にもゴジラをイメージしてしまう。通信妨害をした際に出した背中のフィンは背ビレの様に見えた。何より、オブシディアン・フューリーが最後にやられる場所は氷山も見えるシベリアの極地。場所は異なるが「ゴジラの逆襲」でゴジラが氷山に閉じ込められたことと「キングコング対ゴジラ」において北極海の氷山から目覚めたゴジラのことを想起せざるを得ない。怪獣王とライバルロボット達へのオマージュを捧げた漆黒のイェーガーを嫌いになることなんて出来ないんだよ!!!
さて②だが、ここは雨降りしきる夜の戦いばかりだった前作との違いをハッキリと押し出してきた所だ。陽光がバキっと差し込む中でのロボットと怪獣の戦いは、さんざんっぱら文句を言ってきたが、やはり興奮してしまう。陰影を重視した前作は特撮的、パキっとした明るさとアクロバティックな動きが目立つ今作はアニメ的と言われているが、正にその通りだろう。無限の未来がある若き新世代達の戦いであるということも合わせて表現出来ている。底抜けの明るさ、アメリカ映画らしい馬鹿っぽさや軽さは、間違いなく今作の良点だ。
また、今作は惜しげもなく何度も何度もロボットアクションを出してくれる。前作は地に足付いた戦闘が多かったが、今回はビームや剣や大玉や電磁ムチ、仮面ライダーフォーゼ並みのロケットパンチ、大気圏突入パンチなど外連味が全開だ。監督はロボット自体の魅力よりもそのアクションに重きを置き、そこをこそ今作の見せ場にしたかったのだろう。
③は、大いに笑わせてもらった。劇中終盤で明らかになる衝撃の事実。なんと怪獣たちは出現した当初から日本の富士山を目指していたのだ!!!!Mt.フジ!Mt.フジ!と連呼する状況を笑うなって方がおかしい。
レアアースが云々と理屈づけられるが、これはどう考えても怪獣特撮ロボットものを生み出し続けてきた日本へのリスペクトに他ならない。怪獣が出るなら日本、ロボットが戦うなら富士山麓!パシリム世界の東京(どうみても中国っぽい)のすぐ裏には富士山があるのだ!!!!これはもう「マジンガーZ」へのオマージュだろう。「ゴジラ対ヘドラ」かもしれないけど。
悪点と良点を振り返ってみよう。
悪点としては、描写の積み上げによる映画的カタルシス不足。
良点としては、オブシディアン・フューリーとロボットアクション、そして富士山だ。
短く書くことを信条にしたこのブログで既に4000字近く書いてしまったので、そろそろ結びたいと思う。とにもかくにも、「パシフィック・リム」という奇跡的な作品に続編が出来たこと、アップライジングを盛り上げるために日本で様々な良コラボが行われたことを素直に喜びたい。「パシフィック・リム」は今やギレルモ・デル・トロの手を離れて、オタク表現者達によるメディア、国内外を巻き込んだ現象となりつつあるのだ。私は今後も、この現象を応援し続けたい。
てか……
ネットフリックスでアニメシリーズを作ってくれ!!!!!!
正直言って本編よりも面白い予告
落涙必死の名コラボの数々
\奇跡のコラボ続々‼️/
— パシフィック・リム 公式 (@PacificRim_JP) 2018年4月13日
日本屈指の天才アニメーター、#大張正己(@G1_BARI )さんがイェーガーを描く✨『#パシリム』愛がひしひしと伝わる、超胸アツなコラボアートが解禁‼️‼️
▼大張正己さんコメントはコチラhttps://t.co/lctFRVfpTs#パシリムおかえり pic.twitter.com/wdkojEiIht
\『#パシリム』最新作 公開記念❗️/
— パシフィック・リム 公式 (@PacificRim_JP) 2018年4月12日
matoさん(@mozu_hayanie )による、TVアニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」の公式4コマ漫画「だーりん・いん・ざ・ふらんきす!」にイェーガ―が友情出演✨
【#パシリム応援特別版】を『#ダリフラ』(@DARLI_FRA )のTV放送に合わせて投稿していきます👍 pic.twitter.com/gYrjbPZHWI
\💥KAIJU級のコラボが実現💥/
— パシフィック・リム 公式 (@PacificRim_JP) 2018年4月11日
『#パシリム』『GODZILLA 決戦機動増殖都市』連続公開記念✨イラストレーター #天神英貴 氏によるスペシャルコラボビジュアルが解禁‼️#アニゴジ 歴代最大ゴジラ<ゴジラ・アース>とイェーガー軍団が今にも激突⁉️
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『#パシリム』とバンダイ「#カードダス」、夢のコラボが実現✨
— パシフィック・リム 公式 (@PacificRim_JP) 2018年3月23日
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オモチャ!!!
映画:フレディVSジェイソン ~フレディfeatジェイソン~
「エイリアンVSプレデター」という映画がある。
エイリアン、プレデターという大人気2大SFモンスターを対決させる夢のような映画であり、中学生の自分の心を掴んで離さなかった名作である。エイリアンの怖さ、プレデターのカッコよさが見事に描かれていたからだ。観たいものを魅せてくれたからなのだ。
今回はそんな夢の競演系映画
フレディVSジェイソン
の感想をつらつらと書いてみよう。
雑感としては、もはや全く怖くないんだが、とにかく観客が「楽しい!」と喜べるように計算されたサービス精神溢れる「上手い」映画だなと。
そもそも私はジェイソンが出てくる「13日の金曜日」も、フレディ登場の「エルム街の悪夢」も、それぞれ1作目しか観たことがない。しかもジェイソンの1作目は……おっとこれはネタバレかな?つまり私は、大人気2大ホラースターの作品群を殆ど観たことがないのだ。フレディと言えばクロマティ高校、ジェイソンと言えばステイサムという現代映画っ子の私でも「フレディVSジェイソン」は非常に面白く観ることが出来た。
何故かといえば、頭空っぽ知識皆無の状態で観ても楽しめるような新設設計になっているからだ。冒頭はフレディの自己紹介から始まり「夢の世界で殺しをする」という少々トリッキーな設定を懇切丁寧に説明してくれる。また、彼にとって今何が問題なのか?何をすれば問題解決出来るのか?を1から10まで全て説明してくれる。このような初心者優遇措置が上映時間中常に行われるので、門外漢でもすんなりルールと話を理解できるのだ。
しかし私の様に頭空っぽホンワカパッパな奴は飽きやすい。説明だけではつまらねぇ!と駄々をこねそうなものだが、今作は説明をこなしつつ5分に1回位のペースで新展開、新舞台をぶち込んでくる。つまり、短いスパンで殺人ショーとスクリーミングを楽しめるのだ!ジャンルムービーとして期待することを惜しげもなく差し出されて、楽しくないわけがない。
タイトル通りにフレディVSジェイソンと化していく終盤はドラマが若干ダレるのだが、超能力を駆使するフレディとシンプルに強くタフなジェイソンという、技と体の戦いが泥臭くも面白い!事前にフレディとジェイソンそれぞれの弱点を明示してあり、人間側もバトルに参加するので「誰が誰をどう倒すか?」の視点でも楽しめる。ジャンルムービーだからという言い訳をせず、見せ方伝え方を非常に整理しているのだ。
そして最後には、両作品の1作目しか観ていない私でもわかる「お約束」をしっかり入れてくれる。超凡なサービス精神を示し切って、最後は底抜けに明るく終わる。ご立派!!!!としか言いようがない。
褒めばかりだが、もちろん悪点も多い。ご都合展開ばかりだし何よりも「怖くない」。頭空っぽで観るべきとは言ったが、ジャンルムービーを観るというリテラシーは必要だろう。
さて結びだが、今作は夢の競演系映画として「エイリアンVSプレデター」並みに面白かった。何より両者をきっちりと目立たせ引き立たせて終わっている。それぞれのナンバリングシリーズも観ていきたいぜ!
映画:ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル ~アバター通してブレックファスト~
「ブレックファスト・クラブ」という映画がある。
土曜日に補修を命じられた高校生5人組が、その日一日を共に過ごして語り合い「自分とは何か?」についての作文を書くというストーリーだ。5人はキング、クイーン、オタク、ゴス、不良と、いわゆるスクールカーストにパチリとはまっている。これは、そんな彼らの思春期を切り取った映画であると思う。彼らの語りが悲痛で堪らないが、若いからこその希望もみえる。とある学校の土曜日、図書館での朝から夕方までしかない物語だが、若者にとっては人生を変えうる時間になるんだなと。
「ブレックファスト・クラブ」が確立した「個性の異なる若者同士の交流」というフォーマットはその後数えきれないほど、かつ世界的に、映画やドラマ、アニメに影響を与えてきた。「仮面ライダーフォーゼ」「ピッチ・パーフェクト」「パワーレンジャー」……そして本年2018年にもブレックファスト的と言われる映画が公開された。それが今回の題材である
ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル
だ。元々は1982年に発行された絵本であり、1995年には映画化されている。今作はその続編らしいが絵本も1作目も観ていないので悪しからず。あと、今回は珍しく日本版サイトの方が凝ってて面白い。
雑感としては、ゲームをプレイする=自分ではない何かになれる経験と捉えた成長物語なんだが、登場人物ほぼ全員が突然悟り出して成長するので、心と言葉の殴り合いで少しづつ歩み寄る「ブレックファスト・クラブ」とは似ても似つかない。ジュマンジにきて10分位で仲良くなるし、そもそもいい子だった子達が本来のいい子性を発揮し出しただけにも見えてしまう。主人公やその親友は割と最後までぐずるのだが、あっさりと片付く。薄い。あまりにも薄すぎる。青春の痛みや自分と世界との矛盾について上っ面しか知らない人が考えた話のように思う。
目玉のアクションも全てがどっかで見たようなもの。勢いもド迫力ではなく迫力といった感じでいまいち弾けてくれない。逆に弾けるのは人体であり、そのハジケっぷりはファミリームービーとは思えないほどに過剰だったのでそこは最高だった。
そう、この映画はファミリームービーなのだ。にしては酷すぎる上に全く本筋と絡まない下ネタが多い。ドウェイン・ジョンソンのキスで爆笑を起こせる映画も今作位なものだろう。心はドン引きだったが喉が痛くなるほど笑った。
物語微妙、アクション微妙、ギャグ酷いとくれば物語全体の推進力作りも弱い。映画における推進力、つまり観客が抱く興味を持続させる力には次の3点があると思う。正直、このどれもが微妙だ。
①持続するサスペンス
②テンポよく新展開をつなぐ
③常にテーマと関連性を持たせる
まず①だが、これはタイムリミットだったりバレるかバレないかだったり、観客に提示した条件や限界を徹底的に煽ることでハラハラドキドキの状態を作るということだ。以前紹介した「トレイン・ミッション」や不朽の名作「ローマの休日」も、この持続するサスペンスを用いて常に観客の興味関心を集中させていた。今作ジュマンジでも「ライフが無くなったら死ぬかも」とか「宝玉を守り切る」とかのサスペンス要素はあるが、そこが全く持って生きていない。あったとしてもアクションシーンだけであり、通常シーンではサスペンスなんて言葉は消え失せる。よって①は満たされていない。
続いて②だが、これは満たしているだろう。ゲーム世界を活かした様々な展開がつるべ打ちだし、RPGや探索ゲームをプレイした人が綻ぶようなアルアルネタも随所に用意されている。次に何をすればいいかは毎度毎度丁寧に説明されるので話が分からなくなることもまず無い。まぁ、その展開自体がのっぺりしているのも事実だが…。
最後に③。口喧嘩するシーンはもちろん、アクションシーンでも随所に彼らのコンプレックスや暗部を垣間見ることが出来るが、正直描写が弱いしそれぞれがぶつ切りでぶち込まれてくるので120分かけての積み上げを感じることは難しい…。字幕の訳が少々堅苦しい、国語の教科書チックなものだったのが原因かもしれない。ブルーレイが出たら吹替えでも観てみよう。
さて、悪口ばかり書いてきたが勿論良い面もある。私の貧相な言語ボキャブラリから捻りだして褒めてみるぜ!
冒頭でも述べたが、ゲームをプレイする=自分ではない何かになれる経験と捉えた成長物語にしたことは、ゲームを題材にした作品として非常に真っ当だ。自分ではない誰かに自己投影をして、初めて見える世界があるからだ。劇中でヒゲデブメガネのおっさんになった自撮り大好き女子高生も言っていたが、自分を全てかなぐり捨てることによって自分以外が見えてくる。主人公と友人、主人公と捻くれいい子ちゃんも「ゲームキャラ」というフィルターを一枚入れてのコミュニケーションだからこそ歩みよれた。現在のネットゲーム文化の明部だ。
しかしこれは、ゲームだけに限ったことではない。誰かの視点に立って何かを知る、感じる、成長するというのは、映画を観たり本を読んだりといった、創作物に触れる行為そのものだ。いやそれだけではない。視点を変えれば世界も変わるという、まぎれもない現実でもある。
ゲームをプレイすることで、憧れの誰かになりきることで、ちょっと明るく振舞うだけで、世界は変わるし自分も変わる。なんて力強い普遍的なメッセージだろうか。幼少期からゲームをし、ゲームが蔑まれる時期を送ってきた身としては落涙モノの描き方だった。
結びとなるが、今回酷評気味になってしまったのは期待値を爆上げして観た私の自責である。もっとこう、同じドウェイン・ジョンソン主演の「センター・オブ・ジ・アース2」を観に行く位のテンションで行けば良かったのだ。ということで、「ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル」観るならこっちもセットで!!!!!
映画:マンハント ~しずる感の教科書~
「君よ憤怒の河を渡れ」という映画がある。
日本版「北北西に進路をとれ」な豪華絢爛さであり、かつ砂埃と汗臭さが漂うド根性日本映画だ。不撓不屈の男高倉健、どうみてもヤクザな刑事原田芳雄、強すぎる意思と行動力を持つド根性令嬢中野良子……お話よりもキャストの熱演で引っ張っていた。音楽からテンションからどこをどう見ても東映っぽいが、松竹映画らしい大作である。
そして、中国で人気が高いことでも知られる映画だ。Wikipediaによるとこうだ。
この映画は中華人民共和国でも、1979年に『追捕』として公開され、文化大革命後に初めて公開された外国映画となった。公開は無実の罪で連行される主人公の姿と、文化大革命での理不尽な扱いを受けた中国人の自身の姿を重ね合わせて、観客に共感を持たせ大変な人気を呼び[3]、中国での観客動員数は8億人に達したとされ[4][5]、高倉健や中野良子は中国でも人気俳優となった[3]。
この映画に魅せられた監督の一人がジョン・ウーであり、彼の手によって超絶トンデモムービーとしてリメイクされたのが
原題「追捕 MANHUNT」である。今回の感想題材だ。
雑感としては、70年代東映のフィーリングに全てが支配されてしまったファンタジージャポンオオサカを舞台に、カッコつけないと生きていけない人々が織り成すアクションドラマが堪らなく楽しい。クソダサい演出、リップシンク完全無視、5万回位あるジャンプカットで頭は崩壊寸前になる。
つまり、間違いなく、これまでにない映像体験を楽しめるということだ。映画は魔法という言葉があるが、今作は正に魔空空間へと引きづりこんでくれる。単発で観ると本当にダサい演出を連発するのだが、超絶しずる感でクソカッコいい映像へと変える。しずる感への拘りは狂気の域だ。滴る汗、舞い散る羽毛、しなる枝、ひらめく桜、ぶっかかる水、マズルフラッシュ、翻る肉体、福山雅治の毛穴……………劇中のありとあらゆるものに過剰なしずる感がもたらされている。映像学校で教材にすべきだろう。
因みにしずる感とはこういうことである。「艶っぽい」ということかもしれない。
リメイク元である「君よ憤怒の川を渡れ」への敬意もふんだんに込められている。そもそも冒頭から『君よ、「君よ憤怒の川を渡れ」って映画知ってる?滅茶苦茶いいよね。俺好きなんだよ。え!君も好き!?いいね!』というボンクラな、しかし激渋カッコいい映画トークがぶち込まれている。しかもこのトークが物語のキーになるのだ。「君よ憤怒の川を渡れ」には人生を変える力がある、映画には人を救う力があるのだという力強いメッセージだと、私は思う。
また、今作は ヒッチコック作品を意識して作ったらしい。が、巻き込まれサスペンスという型と「知りすぎていた男」における銃をちょろっと出す演出位なもので、全体を観るとどう考えてもヒッチコック作品ではない。いや、巨大権力に翻弄される若者?という点では「逃走迷路」的でもあるか。
多言語入り乱れる面白さも忘れてはならない。登場人物達は日本語、北京語、英語を状況によって使い分けることによって、秘密を共有したり密かにメッセージを伝えたりしている。確か敢えて誤訳を伝えるギャグもあったはず。
多言語の登場は言語力の有無が映画世界に存在するということである。つまり、共通言語を持つ者同士でのみ成立するコミュニケーションや、通訳を挟んだ三者間コミュニケーションを描けたりする。これを上手く使うとサスペンスやコミュニケーションの面白さを何倍にも奥深く、リアルにすることが出来るのだ。「コードネーム U.N.C.L.E.」や「イングロリアス・バスターズ」「ワンダーウーマン」ちょい使いでは「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」なんかが上手いので、是非観てみて欲しい。
そろそろの結びに行く前に一つ言いたい。この魔空空間はオール日本ロケで作られている。恐らくシャリバンを意識しているのだろう。ガン&ブレードアクションなんて正にシャリバンだし。
なにより日本でもアクション大作を作れる程の場所があるのが素直に嬉しい。そしてその許可を出した大阪の偉い人、あんたは偉い!
あと一つ、最後に言いたい。福山雅治と桜庭ななみが行った現場検証という名のプレイ、あれは何だったんだろう…。
さて結びだ。とにもかくにもアクションとしずる感で突っ走る体感時間10分の最強娯楽映画だと言える。娯楽性で言えば2018年4月現在でぶっちぎり今年ナンバーワンだ。劇場公開はもう終わっているのでブルーレイや配信をおとなしく待つべし。
映画:トレイン・ミッション ~娯楽映画の決定版~
「エスター」という映画がある。
怖い子供モノであり、サスペンス映画としてもホラー映画としても大傑作。TVでの鑑賞だったが2時間ずっと画面に引き込まれっぱなしだった。
「ロスト・バケーション」という映画もある。
86分でコンパクトに楽しめることがまず最高。単に水着美女がサメと戦うのではなく、限定された場所と悪化していく体調の中で生き残る、サバイバル映画でもある。しかし娯楽だけでなく、水着美女の成長物語、医者の意味についての物語だ。
「フライト・ゲーム」も。
冒頭から最後までずっと緊張感が持続するし、派手な見せ場もあるのでエンタメとして最高。監督が「エスター」で見せた「主役が悪者にされる恐怖」と、リーアムおじきの「ちょっとどうかしてるオッサン」の風貌がベストマッチ。
これら、まっとうな娯楽ジャンル映画を作り上げたジャウム・コレット=セラ監督の最新作にして最強最優最恐のおっさんリーアム・ニーソン最新作「トレイン・ミッション」(原題は「The Commuter」通勤するオッサンって感じか?)を観てきたので、Twitter感覚でネタバレ感想を書いてみよう。
ひとまず雑感としては、ザ・ジャンルムービーという感じ。1秒たりとも飽きさせない序盤がもう面白い。この監督は前述した3作でも序盤から一気に引き付ける手腕があったが、今回は時制を弄りまくるモンタージュと「超スピードで行き交う人々の中をとぼとぼ歩くリーアム・ニーソン」という面白動画で引っ張ってくれる。
そして緊張感続く中盤。金と引き換えに人探しの指令を受けたリーアム・ニーソンが通勤電車の中を駆け巡る。まずこの、汚く、狭く、暑苦しい「通勤電車」が最高だ。人種年齢性別身長服装しぐさ全てが雑多であり、乗客一人一人に生命力と自分勝手さが漲っていることがよく分かる。電車内でキョロキョロと人間観察をしてしまう経験は誰にでもあると思うが、その感覚を30倍くらい濃密にした人探しシーンは必見だ。必見と言っても序盤から中盤にかけてはそのシーンばっかりだぜ。
終盤では派手さを一挙集中でぶち込み、物語たたみに入る。序中終と見事すぎる「どっかで観た感」が満載だ。だからこその工夫とテーマが光るってのは仮面ライダーやウルトラマン等を観る感覚に近い。テーマは普遍的だが語り口が余りにもストレート過ぎて二昔前の映画っぽさがあるのもジャンルムービーらしい。嵌め込み車窓黒沢清イズム、ヒッチコックイズムも含めてそう思うのかも。というか今回は全体的にヒッチコックオマージュ(「見知らぬ乗客」「バルカン超特急」)が多いように思う。思い返すとジャウム監督(怪獣みたいでカッコいい名前だ)はヒッチコック式サスペンスを相当意識している気がする。
映像面についても書いてみる。狭い電車内で如何に動きある面白い画を撮るか?ってのは、それこそ「バルカン超特急」「ロシアより愛をこめて」を始めとして大昔から工夫され続けている分野だ。最近だと「スノーピアサー」「新感染」電車じゃないけど「フライト・ゲーム」辺りが素晴らしかったけど、今回は「こけおどしカメラワーク」が滅茶苦茶楽しい。ミクロからマクロへ、マクロからミクロへ、前車両から後車両へとグワングワンに動きまくる。撮影監督のドヤ顔が見え隠れするぜ!
そろそろ結びにいくが最後に一つ。ジャウム監督、あんた、「スパイダーマン2」大好きだろ。
さて結びだ。とにもかくにもジャンルムービーとしての面白さは折り紙付きなので、超絶大傑作を観すぎて疲れた映画脳の清涼剤として、サクッと楽しむ映画として、是非見に行って観てほしい。エンドクレジットの工夫はオールタイムベスト級に好きだよ。