光光太郎の趣味部屋

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映画:ナバロンの要塞

007以前のスパイものにして戦争大作であり、非常にリッチな映画だった。ナバロン要塞の大砲の美しさ、ギリシャ建築の華麗さ、軍服等の着こなし…そういったものをうっとりと眺めるだけでも楽しい。2時間30分あっという間とは言えないが、「大脱走」をはじめとして、たまにはこういうの観たいね。

イギリスの戦艦を狙うナバロン要塞大砲を作戦までに破壊せよ!冒頭の説明シークエンスはテンポ良く進みキャラクター紹介もかねている。大脱走を思い出すな。そして今作のシリアスレベルも最初の盗聴騒ぎでしっかり見せて、準備は万端となったところで一発爆発。ここまでで30分。見事な序盤だ。

爆発自体はとても景気いいが、戦闘シーンはあっさりめ。しかし緊張状態が続く中で一瞬の隙をついた方が勝つというのはかっこいいのだ。何をして勝ったのか分かりやすく見せつつも瞬時に切り替えていく編集、軍人達の鮮やかな手際と落ち着きぶり……エンタメ的なカッコよさとシリアスさが融合している。

戦争での人間性の欠如というテーマもあるが、そうはいっても今結局のところナバロン大砲の素晴らしさにつきる。巨大戦艦の主砲みたいなデカイ大砲はスクリーンに実によく映える。しかも発射シーケンスまでじっくりやってくれる!装填に纏わるメカニカルな描写もさることながら、耳を抑えるのもキモだ。

グレゴリー・ペックはアクションのイメージが無かったが、若い頃はアクションもやっていたらしい。同じ脚本家の作品で「恐怖の岬」にも出てる。アンソニー・クインは劇中の活躍でMVPでしょう。デヴィット・ニーヴンのインテリ加減とスマートな体格も堪らない。この時代の大作映画は名優の姿や演技をじっくりと楽しむためのものだろう。