光光太郎の趣味部屋

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映画:デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム

久々に観たが、とても楽しい40分間だった。
仮想と現実、更に田舎と都市とを行ったり来たりしながらも一切だれることなくタイムリミットサスペンスを成立させつつ、インターネットから現実世界への影響を徐々に拡大させて恐怖を煽り核爆発危機で最高に盛り上げ、最後には距離を越えた想いを描いてスパッと終わる。細田守監督の演出と、脚本の吉田玲子による巧みな構成と会話劇が炸裂しまくった最高の40分間だ。


シリアスとギャグが交互…というより同時にくるのもいい。ネット世界での戦いはシリアスなのに対抗しようとする現実ではどこかとぼけたやり取りが続く。仲間が集まれない理由は子供らしくて笑えるんだが少ない戦力で戦わざるを得ないサスペンスにもなってて上手い。危機に駆けつけるため頑張るが、実際やってるのが島根の田舎でパソコンを見つけるという朗らかな場面なのもギャップを際立たせてる。
ディアボロモンが引き起こす災害も妙に身近なものが多く、メイン観客である子供達でも分かる危機かつギャグになっていた。スーパーの売価がおかしくなるとか電話がひっきりなしにかかるとか……システム的には深刻だがみみっちい事態ばかり怒るのが恐ろしくも可笑しい。基本笑いの絶えない映画だが、だからこそギャグを越えて完全にシリアスになる終盤が絶望的になるのだ。上手い。上手すぎる。

こういったシリアスとギャグの緩急は、短い尺であるものの枚挙にいとまがない程詰め込まれていた。短いからこそ、観客、特に子供達の興味関心を強く牽引する必要があるのだろう。デジモンファンで無くとも状況だけで分かる展開が殆どなのも、映画として後世にまで名を残す理由だろうか。


最終的に演出もドラマも、距離感のギャップに集約させているからこそ強い軸が生まれているのだと思う。心と心の距離、現実世界での物理的な距離、ゼロ距離なインターネット、そして現実世界とインターネットとの距離………これを越えて何かが届いた時に物語は動きカタルシスが起きている。上手い。上手すぎる。


2000年代当時のインターネット環境をとてもリアルに描いているから(今はNTTなんて台詞は出ないだろ笑)、そこら辺の知識がないと少し分かりづらいかもしれない。逆に分かるとあまりの細かい描写に驚きつつ笑うのは確実。brave heartの扱いがなんなのかよく分からないのと選ばれし子供達が勢揃いして戦わないこと、島根ディス、危機感無さすぎる大人以外は欠点らしい欠点がない映画だ。やっぱ細田守監督は脚本他の人に任せた方がいいよ!