映画:大統領の陰謀 ~ジャーナリズムとヒロイズム~
こんにちは。光光太郎です。
今回は午前十時の映画祭で鑑賞してきたポリティカルサスペンス
の感想をサクッと書いていきたいと思います。
史実を扱った重い映画…であるのは勿論のこと、しっかりと「分かりやすい面白さ」が徹底されている娯楽作品でしたよ。
前書き
実は「ペンタゴン・ペーパーズ」をレンタルした時にまとめて借りて観ようと思ったんですが、途中で寝ちゃったんですよね…疲れもあって…。
でもこのままじゃいかん!と一念発起し、午前十時の映画祭も終わってしまうということで、朝早起きして映画館で鑑賞。一切飽きない面白さだったですよ!!!!!
解説
午前十時の映画祭サイトから引用すると…
1972年、ウォーターゲート事件の真相を追い、最終的にニクソン大統領を辞任に追い込んだ二人の新聞記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの取材活動をサスペンスフルに描いた実話の映画化。脚色のウィリアム・ゴールドマンはレッドフォード主演の『明日に向って撃て!』に続き、2度目のオスカーを受賞した。
監督はアラン・J・パクラ。史実を基にした法廷劇「アラバマ物語」の監督ですね。
主演はプロデューサーも務めたロバート・レッドフォードと、ダスティン・ホフマン。前者は名作西部劇「明日に向かって撃て!」「スティング」後者は「卒業」「わらの犬」「パピヨン」等で既に大スターになっており、現在進行形の政治問題を誰もが知るスターでやるという意欲作だったわけですな。
これを今日本でやるとすると…不正統計問題や記者締め出し問題を、菅田将暉と高橋一生でやる!といった感じでしょうか。
ポリティカルサスペンスンの傑作にしてジャーナリスト映画の傑作なので、後世の作品に多大なる影響を与えています。「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」や「スポットライト 世紀のスクープ」等が分かりやすいですね。
カトリック神父達が長年に渡り子供達へ性的虐待をしていた事実と、それをひた隠しにしてきた教会を暴いたボストングローブ紙「スポットライト」チームの地道な努力と活躍を描いた大傑作。第88回アカデミー賞作品賞受賞。
鑑賞後ツイート
毎度、言いたいことは大体ツイートしてるんすよ。
午前十時の映画祭「大統領の陰謀」観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
毎回思うけど無茶苦茶綺麗…。3〜40年近く前とは思えない。Rレッドフォードのカッコよさは全く新しい。会話シーンは単純な切り返しだけど、緊張ほぐれ突破口を演技で見せる為だ。外面の行動は地味だが、細部と心はカッコいい。映画館で観てよかった。
スポットライトもそうだけど、ジャーナリズム映画は難しそうに見えてもしっかりエンタメになるんだな。巨大な悪、泣かされる人々、寄り添い暴く記者…この構図が既にヒーローものだけど更に現実事件を題材に出来るから、確実にそこにあったヒロイズムをロジカルに描くことが出来る。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
「大統領の陰謀」
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
浅学だからウォーターゲート事件はWSの題材だとかざっくりしか知らないけど、面白さは目減りしない。取材相手との駆け引き、取るべき裏付け、次の手掛かり…その場その場を面白くする要素が必ずあるし、全部繋がる。ロジカル面でも人情面でもカタルシスがあるしね。
「大統領の陰謀」
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
陰謀面よりとにかく細かい所作の感想が多くなるけど、ダスティンホフマンが鼻から全力で煙吹く所とか、興奮し過ぎて倒したコップ戻すとか、ホフマンが落としたタバコの灰?をレッドフォードが払うとか、もうそういうのが全部好き。そこら辺にいる人が持ちうる正義。
「大統領の陰謀」
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
現実の巨悪=権力に脅かされている人々は、記者達に対して懐疑的だし圧力あるから何も言えない。でも本当は果たすべき正義があると確信しているから、記者達は彼等の希望を何とか紡ごうとあの手この手で証言を得ようとする。感謝するシーンは無いが、正義という一念で繋がっている。
公開当時は全く分からなかったが、あのロバートレッドフォードがWSであの役を演じることの意義よ。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年3月1日
分かりやすい面白さ!
現職大統領の犯罪行為を暴き辞任に追い込んだ政治物語と聞くと「なんだか難しい話だな…」としり込みするかもしれないが、そんな問題は全くない。確かに名前しか出ない登場人物が滅茶苦茶いるし事情が込み入っているんだが、問題は全くない。
理由は2つ。目的が全くブレないこと。駆け引きが面白いこと。
「今何をしているのか」「何がゴールなのか」は明確で、前者は「情報集め」後者は「ウォーターゲート事件の記事を出すこと」だ。劇中で何度も言及されるのでぶれることはない。最初から最後までマジでブレない。
主役の記者2人は、余りにも弱弱しい「情報集め」のピースを足で集め、「ウォーターゲート事件の記事を出すこと」へ繋げていく。このピースが埋まっていく快感、それが無に帰す絶望、それでも食らいついていく信念…題材は政治的でもお話の筋と構成は王道のエンタメだと思う。
そして、駆け引きだ。情報筋から情報を集める聞き出すシーンが延々と続く本作だが、その殆どが心理的駆け引き、つまりサイコロジカル・バトルなのだ!
まず、記者2人はウォーターゲート事件にまつわる情報…人名等を聞き出したい。しかし、相手は政府陣の監視下にあるし事が事なため、なかなか提供してくれない…ここをどう切り崩すか?ブラフをひっかける?感情に訴える?話術で落とす?粘り勝ち?
この心理戦を映す際は単純な切り返しが多い。全く同じ構図で何度も何度も記者と相手を映し変える。しかしこれには意味があるのだ。同じ構図が繰り返されることにより、態度の変化、こわばった感情の綻び、絶望から一筋の希望へと変わる瞬間の表情を切り取っているのだ。正に演技合戦!照明が殆ど当たらず姿が真っ黒なディープスロートも、確かに「演技」をしていると分かる!!
分かりやすいエンタメの全体構成と、ワンシーンワンシーンで魅せていく演技合戦と心理戦。例え事件の概要を知らなくとも、要素の連なりだけで楽しむことが出来る。なんとウェルメイドな作りだろうか。2時間30分位あるけどね!!
てかロバート・レッドフォード、イケメン過ぎない??????
ジャーナリズム、ヒロイズム
鑑賞中、この映画はヒーロー映画だなと思った。弱者を支配する巨大権力と立ち向かうヒーロー…この構図がピタリと当てはまるなと。ただ、これはヒーロー視点に立った物語ではなく、彼らが意図せずに救っていく弱者視点のヒーロー譚だ。
ウォーターゲート事件に関わった人々は、何も進んで不正を行おうとした人々ばかりではない。巨大な力に抗えず意思に反して協力した人々は、どれほど自分の無力さを呪い、どうにもならない世界に絶望しただろうか…。
そんな人々の元へ記者2人、 カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードは赴き、事件について聞いてゆく。最初は相手にしなかった…漏らせば自分が危険になるし、言ったとしてももみ消されるだろう…だがこの2人の情熱はどうだ?真摯さは?しつこさは?この2人には権力を貫き真実を白日に晒すチャンスがあるのではないか?ほんの少しの希望を抱き、彼らは情報を伝える。直接的にせよ間接的にせよ、確かに伝える。正義に絶望した人達が、再び正義を信じる眼差。この関係性にこそ、本作をヒーロー映画足らしめている。
しかし、記者達はそんなことは微塵も感じていなかっただろう。彼らが終始抱いていたのは、真実を明かすというジャーナリスト魂だ。劇中でそれを高らかに語るシーンはなく、スクープをすっぱ抜く姿勢のみ描かれるが、あきらめずに追い続ける姿には「戦う意思」を感じずにはいられない。隠匿された欺瞞がある。暴くべき真実がある。ならば、どんなことをしてでも突き止める。人を利用してでもなんでも、公表すべき責任があるのだと。
前述したツイートの通り、ジャーナリスト映画は非常にストレートなヒーローエンタメになりやすい構図を持っている。一歩間違えれば偏向を促す危険なヒロイズムになるが、スポットライトにしても今作にしても、必ず「虐げられた弱者」の視点がある。彼らが経験する地獄を間接的に見せる。ジャーナリズムとヒロイズムを見事に融合させているからこそ、この2作品は大傑作となっているのだろう。
映画館で観ようぜ!
散々褒めちぎってきたが、自宅鑑賞時に爆睡したことも事実!!
テンポがいいとは言えないし何と言っても絵柄がパッと見地味なので、映画館で観ないと集中できないかも。集中して観るからこそ活きる演出ばかりなので、是非とも午前十時の映画祭でやってる今のうちに、映画館で観て欲しい!!
安いし行ってみようぜ!近くに劇場があるのなら!!特にMCUファンは必見だ!!!
鑑賞前、鑑賞後には解説動画を是非。
「スパイダーマン:スパイダーバース」についてネタバレ無し+バレ有りで語り合ったぜ!
こんにちは。光光太郎です。
前回の記事(特撮:東映版スパイダーマンの魅力 - Brightter)でも触れた通り、遂にスパイダーマン映画の最新作にしてフィルロード&クリス・ミラーのコンビ最新作
スパイダーマン:スパイダーバース
が上映開始!!仙台でも先行上映あったんで初日に観たら…以前より色々話しているヒナタカさんから「スパイダーバース語りしようや!!!!!!!!!!!!!!」と誘われたのでスパイダーセンスの反応速度よりも早く参加の返信。
ヒナタカさんとは何度か映画語りしてるけど、今回が一番熱量があったと思う。光太郎は話すのも好きだが、熱く語る人の話を聞くのはそれ以上に好きなのだ。
ってなわけで、早速聴いてみて欲しい。前半は未見の方も安心なネタバレ無しトーク、後半はバレありでの熱いテーマトーク、名場面トークをしております!光太郎は話す内容を事前に用意してないからグダグダです。許してくれ!!!!
大体こんなことを話してますよ
0:00~ 作品説明
1:16~ 数々の映画賞受賞!!
3:15~ ソニー・ピクチャーズ・アニメーションについて
4:40~ コミックスをアニメにする、凄まじい拘り
9:00~ フィルロード&クリス・ミラーコンビの作家性① 過去作
13:00~ デッドプールとスパイダーマンは何故軽口を喋りまくるのか?
14:30~ フィルロード&クリス・ミラーの作家性② スパイダーマンのテーマをどう語るのか?
17:00~ 本業声優さんの吹替版がアメイジング!!な理由の数々(小野賢章、宮野真守、悠木碧等々…)
23:00~ ネタバレ無しパートの総括
※以下はネタバレありトークの内容になるんで要スクロール!!
24:30~ 細かい伏線とちょっとした台詞の妙
30:20~ スパイダーマンのヒロイズムと、今作ならではのスパイダーマン像
32:40~ 今回のヴィラン、キングピンについて(彼が殺したのはマイルス世界のピーター・パーカーですね)
39:00~ いまいちポイント
44:30~ マンガを舐めるな!メッセージの熱さ、スタン・リー追悼
48:20~ 「大いなる力には大いなる責任が伴う」の現代解釈
50:00~ 多すぎる小ネタ
56:00~ マイルスのおじさん、アーロン・デイヴスの尊み
58:20~ 総括! 技術も凄いが丁寧な物語りが冴えわたる傑作だ!!
いや~~~これ書くためにずっと聴きなおしてたけど、熱いね!語りきった!!絶対吹替も観るぜ!!
あと忘備録として鑑賞後のふせったーもメモしておこう。
だれもが辛い経験をしてるし、誰もが絶望に落ちかける。でも、そこで折れて人に迷惑をかけたらそれはヴィランだ。踏ん張って立ち上がり、同じ痛みを抱える人、抱えそうになっている人を助けるのが、スパイダーマンだ。
スパイダーバースのキングピンが「ヴアネッサ…」って言うところとか、妻や子供との写真がポンポン出てくるところ、泣くなという方が無理。
スパイダーバース、アメスパ2信者としては遂に「グウェンの」手を掴めたところでもうアカンかったですよ。
それじゃあ、本公開時にもスパイダーバースを観よう!
吹替版主題歌も嫌いじゃないよ。
特撮:東映版スパイダーマンの魅力
こんにちは。光光太郎です。
スパイダーマンに血肉を捧げてきた私にとって、待ちに待った映画「スパイダーマン:スパイダーバース」が遂に(先行)上映開始!!!
と言うことで、以前のブログで書いたスパイダーマンとのファーストコンタクトの記事をお引越しじゃ~~~~~!
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光光太郎です。
先日に引き続き、私の幼少期に痛烈な印象を残した特撮ヒーローについてサクッと書いていきたいと思います。
本日ご紹介するのは
です。
アメコミ映画といえばスパイダーマン、という位、アメリカのヒーローとして印象強いスパイダーマンですが、2002年の映画から遡ること24年前、この日本で特撮ヒーロー番組として放映されていました。
権利関係等の問題で長らく日の目を見ることができなかった作品ですが、1978年という一般的なCGもない時代に、ビル登りやロープアクション等のケレン味溢れる描写を数多く打ち出しました。そのアクションで原作者スタン・リーに「スパイダーマンの映像化作品としてずば抜けた傑作」(意訳)と言わしめています。また、スパイダーマンで有名な腰を落としたポーズは、この東映版から逆輸入された要素でもあります。日本の映像作り、ヒーロー作りは、後続のスパイダーマン映画に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
レオパルドンは引き継がれませんでしたが…。
この腰を落とすポーズは東映からの逆輸入!
戦隊ロボ&フォーマットの始祖
追記※映画には出なかったが本家アメコミにはバンバン出てるぜ!
ですが、レオパルドンという「巨大ロボット」や作品フォーマット、そして音楽は後続のバトルフィーバーJ、スーパー戦隊シリーズに脈々と受け継がれていくことになっていきます。
(因みに、バトルフィーバーJも「キャプテンアメリカ」や「ミスアメリカ」といったアメコミから着想しています。ジャッカー電撃隊で途絶えていたスーパー戦隊の復活に、アメリカの様々なヒーローが関わっているというのは面白いですね。)
まぁこういったマメ知識レベルの細々としたことや作品の素晴らしさに関しては、上記のリンクで詳しく説明されているのでそちらをご参照下さい。また、「超合金の男」という本にはこのスパイダーマン(東映)に関する様々な経緯が企画者目線で語られているので、そちらもご参照ください。名著です。
では、ここから私の幼少期とスパイダーマン(東映)の関係について書いていきたいと思います。
先日の記事でも書いた通り私の父は特撮好きで、スパイダーマン(東映)の第一話と宮内洋氏が出た回、そして劇場版が入ったビデオを持っていました。私もそのビデオを繰り返し繰り返し、本当に繰り返し見ていました。今でいうBGVレベルです。
何故これほどゾッコンになったかというと、
①特徴的な主題歌
②怪奇性の強いハードなストーリー
③最強ロボ、レオパルドン
という三つの要素にやられてしまったからだと思います。順に色々と書いていきます。
①特徴的な主題歌
「熱い、渋い、かっこいい」
三拍子そろった素晴らしい主題歌です。作曲しているのは渡辺宙明さんです。説明不要の大先生ですね。個人的には「マジンガーZ」のOPがとても印象的な方です。OPの映像も素晴らしいですね。後述しますが、この作品の怪奇性を強く押し出した表現や、レオパルドンの変形描写がしっかり描かれているところが良いですよね。
この日本版スパイダーマンは、冒頭において殺された父親の復讐のために「鉄十字団」との孤独な死闘に身を投じていくことになります。その悲劇性、孤独さを表すEDと歌詞、そしてアメリカらしさ炸裂のOP音楽は、幼少期に聴いても、今聴いても、心が熱くなります。
②怪奇性の強いハードなストーリー
スパイダーマン(東映)を思い返してみると、明朗活発としたヒーローという印象は全くありませんでした。そもそものモチーフが「クモ」ですしね。
冒頭で父親が死に、主人公と「宇宙でたった二人の兄弟」というスパイダー星人ガリアも死んでしまい、復讐の為に不気味で残酷な「鉄十字団」に戦いを挑んでいく…暗い。暗いんです。とっても暗く、ハードです。
そして、敵怪人の造形は「恐怖、不気味」という言葉がぴったりなものばかり。幼心に、恐ろしげな音楽と演出によって怪奇性を帯びたそれらの怪人は、正に「モンスター」のように見えました。その強力な見た目の怪人に対してヒーローであるスパイダーマン(東映)はほぼ丸腰の全身タイツで戦わなければならないので、戦闘の緊張感は嫌が応にも増してしまいます。特に第一話の敵「マシーンベム暴君竜」は、5歳の私に大きなトラウマとあらがえないワクワクさを残してくれました。
丸腰徒手空拳で勝てるとはとても思えない…。この「どうやって勝つんだ…」感は、近年のスパイダーマン映画にも感じる魅力です。
③最強ロボ、レオパルドン
有無を言わせぬかっこよさ。
このレオパルドンはマーベル側からはすこぶる不評だったようですが、「超合金の男」でも語られていた通り、日本でのキャラクタービジネスにおいて「巨大ロボ」は外せない要素だったのでしょう。実際、劇中と同じ変形機構を持った「DX超合金 レオパルドン」は非常に売れたそうです。こうしたマーチャンダイズの手法を初めてキャラクタービジネスに持ち込んだのは、このレオパルドンをデザインした方なんです。大変面白い話なので、是非一度「超合金の男」を読んでみてください。名著です。
このレオパルドンに、幼少期の私はすっかりやられてしまいました。まぁ幼少期の私は「ロボットか怪獣が出ていない作品はクソ」という、偏りにも程がある価値観で生活していたのですが…。
やられた要因としては「色彩」と「異形さ」でしょうか。
黒を基調に黄色、赤といった、いわば「悪方の色」のヒーローロボというのが衝撃的でした。今の目で見てもこれが「子供向けヒーローロボット」とは思えない色合いです。
そしてパッと見でもわかる「異形さ」。グワッと裂けた口、蜘蛛の巣模様の胸やプロテクター等、恐ろしいとも言えるような造形の数々…。それに対して王道なスーパーロボット体型といったバランスを取ることで、言いようのない魅力を持った素晴らしいロボットになっていると思います。宇宙船形態の「マーベラー」も、その頭部にかわいらしさと神秘さを感じられる造形です。
まぁ細かいことはいいんですよ。前述した通り「有無を言わせぬかっこよさ」があるんですよ!一目瞭然でしょう?なので幼少期にやられていた私は、高校生になってから「超合金魂 レオパルドン」を買ってしまいました。このオモチャ、最高です。重いです。最高です。
こんな所でしょうか。
このスパイダーマン(東映)に触れていなければ、私がスパイダーマンというジャンル、そしてアメコミ映画に強い関心を抱くこともなかったでしょう。勿論、私は蜘蛛が好きですよ。
日本のヒーロー作品にとっても、スパイダーマンというジャンルそのものにとっても、そして私にとっても契機になった作品「スパイダーマン(東映)」でした。
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さぁ準備は出来たかな?それじゃ「スパイダーマン:スパイダーバース」を観ような!!!
映画:この世に私の居場所なんてない ~行って帰って落ち着いて~
今回の記事は前ブログ(今でも現ブログの3倍くらいアクセスがある悔しいぜ!)からのお引越し記事です。
唐突かつ今更な映画感想ですが、これかな~~り好きなんですよねぇ。ではでは。
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こんにちは。
光光太郎です。
最近やっとNetflixに加入しまして、映画やアニメや特撮を見まくっております。特にTRIGGERのアニメの一気見やつまみ見をしてますね。
今回はそんなNetflixのオリジナル映画作品
この世に私の居場所なんてない
の感想を書いていきたいと思います。コンパクトにまとまった傑作でした!
■あらすじ
「ブルー・リベンジ」「グリーンルーム」の俳優メイコン・ブレアが監督・脚本を手掛け、第33回サンダンス映画祭で審査員グランプリを受賞したクライムサスペンス。孤独な女性がふとしたことから恐ろしい犯罪の世界に巻き込まれていく姿を、ブラックユーモアを散りばめながら描く。看護助手として働く平凡な女性ルースは、不運続きの冴えない人生にうんざりしていた。ある日、彼女がひとりで暮らす一軒家に空き巣が入り、ノートパソコンや祖母の形見である銀食器が盗まれてしまう。すぐに警察に通報したものの、刑事は戸締まりを怠ったルースの不注意を指摘するばかりで、まともに捜査してくれない。業を煮やしたルースは、近所に住むマーシャルアーツオタクの青年トニーに協力してもらい、自ら犯人探しに乗り出す。「乙女の祈り」のメラニー・リンスキーが主演を務め、彼女の相棒トニー役をイライジャ・ウッドが演じた。共演に「ドント・ブリーズ」のジェーン・レビ。(映画.comより引用)
■雑感
これぞ、いい映画を発見できた喜び!
休日に「そういえばマイリストに入れてたな…」と思い寝っ転がりながらTVで観ていたんですが、いつの間にか身を乗り出して声を挙げながら観るほどにのめり込んでいました。
興味を引っ張り続ける工夫に満ちていたので、配信作品=TV等で注意散漫な環境で観る映画というのを意識して作られている気がします。
また、SNSを用いずにSNS世代を批判しているような映画でした。
ざらついた画面も特に理由は分からないけど好き!
■話したいポイント3点
①ぐいぐい引き込む
②ホラー演出
③勝手に行って帰ってくる話
① ぐいぐい引き込む
無駄のない序盤、絶え間なく話が進んでいく中盤、急展開する終盤によってこちらの興味を常に引いてくれます。ここまで飽きずにだれずに観られた映画はいつぶりだろうか…。
全体的にテンポが異常に良いんですが、序盤はその中で細かい演出を積み重ね主人公ルースのキャラクターを表現してくれます。
排気ガス出しまくりの車に、商品を落としたり微妙に割り込む客に、ムカつく患者に…常に何かに対してイラついているんですが、自分で何かをするわけでもない。そして極めつけは「親指を舐める」ですね。しかもバーでファンタジー小説を読みながら…これ一発でルースの幼児性が分かります。知り合いの子供にお話を読み聞かせている途中に思い出しガチ泣きするのも相当キてますね…。
そして絶え間なく話が進む中盤。
ルース自身が空き巣事件を調査し始めてからは短い間隔で必ず新展開が、しかも唐突に起こっていくので本当に面白い!しかし、息つく暇もなくというわけではなく、ふらふらしてたら偶発的にあっさりと事態が起こっていく感じなんです。そこで観客はビックリするんですが、同時にルースやトニー、劇中のキャラクター達も驚くので、そのシンクロ感も心地よかったですね。まぁ、バイオレンスな事態もいきなり起きるんですがね。人体はもろいなぁ…。
人体のもろさ、偶然の残酷さに超ビックリした直後から急展開していく終盤。
これは本当に本当に突然始まるので、声を挙げて驚きました。ここでは若干テンポが遅くなるんですか、いきなり状況に連れ込まれて何がなんだか分からない感覚をルースと共有しているので、鑑賞思考は止まることがないんですよ。そこにまた突発的に、偶発的に、むしろ危害を加えた本人が一番引いているような惨劇が起こってからはもう更に事態が混濁し、もはやグロッキー状態に。そうなった後に、とてもシンプルで優しく落ち着いた結末になるんですよ…。テンポの緩急が本当に面白い映画です。
テンポの速さを重点的に話してきましたが、これは極力無駄な説明を省いているからなんですね。勝手に身の上を語らせるのではなく、会話の中からこちらが意図をくみ取っていきます。現実の人間は勝手にペラペラ説明したりはしないですよね。それがこの映画の面白さであり、子供が世界に触れていくというテーマにあった演出でもあります。
② ホラー演出
今作には、明らかに恐怖を煽るカメラワークがあります。スリラーではなく完全にホラーです。無音になり、何かが起こる予感を残してカメラを右に回し(ルースの動きと一緒)元の位置に戻すと何かがいる!というのが何度も何度も何度もあります。ワンカットで緊張を煽ってくるので怖いんですよ…。カメラを回したらバッ!という突発性もあり、ワンカットなのでじりじりとにじり寄ってくる感じでもあり、観客は脅威に気付いているのにルースが知らないでいることのハラハラ感もありで…ここでも興味を引っ張ってくれます。
また、このカメラワークもテーマと関連してるのでは?と思います。この世界には様々な事態が同時進行しているけども、私たちは知る由もなく、知った時に突然起こったと思い込んでしまうと。
③ 勝手に行って帰ってくる話
今作はまさに表題の通り。話自体がルースの空回りに終始していると言えます。
自責による空き巣被害に始まり、勝手に自主調査を行って、勝手な理屈で「自分が嫌だと思うこと」を回りに当たり散らして、あまつさえ死者も出し、また勝手に戻ってくると。見識が狭いからこそ世界を大きく見てしまっていた彼女が、話の中で世界や人間を知り、自分自身を知っていきます。最終的には、なんでも言えて支えてくれる友達がいる「私の居場所」の幸せを噛みしめる。自分の足で立ち、半径1メートルをしっかり見て生活できるようになるんですね。
最後に彼女は自身の感情の為でなく、自分を助け続けてくれたトニーの為に、初めて誰かの為に動きます。もともと彼女は看護系の職についていたわけですが、この事件を経て自分の職の意味も見いだせたのではないでしょうか。
ただ、ルースの愚直で独りよがりな正義感を完全否定しているわけでもないんですね。トニーとの出会いもこれがきっかけですし、最後の最後でも強調されています。
■最後に
世界を知り自分を知る、規模も上映時間も非常にコンパクトにまとまった傑作映画だと言えます。何よりも色んな時に思い返したくなる映画です。イライジャ・ウッドも良かった!あとゲロ!ゲロロロロロロロ!!もはやゲロショットガン!
これを観るためにNetflixに入ってもいいと思いますよ!
映画:PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」 ~スピンオフだよ全員集合~
こんにちは。
光光太郎です。
今回は大人気TVアニメシリーズの続編劇場版短編の2作目
PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.2「First Guardian」
の感想を書いていきたいと思います。前作「罪と罰」はツイキャスだったけども今回は書き言葉でっせ。
雑感
「サイコパスcase2」観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月16日
case1がサイコパスの魅力を凝縮させた言わばビギナー向けな娯楽作だったのに対して、今回は1期と劇場版との繋がりを全面におす正にスピンオフな作品になってた。
俺が好きな舌戦は皆無だが、格闘バトルアクションは大満足。
case2、正直お話は面白くないんだけど、1期のあのキャラクター達がまたやり取りしてるのを観てるだけで楽しい。青柳さんと征陸さんは涙を誘うし、ヒステリーギノは笑いと微笑みをかっさらう。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月16日
現代パートの朱さんは短い登場時間ながらいつもの強者っぷりをみせてくれるし、霜月もいい。
話は割とどうでもいいけど、スピンオフの醍醐味を詰め込んだ台詞の数々には唸らざるを得ない。
ツイートにある通り、case1はサイコパスシリーズのキモを凝縮させた内容だった。シビュラシステムの功罪、監視官と執行官のバディ感、絶対者『だと思い込んでいる』相手に対して知恵と度胸で打ち勝つ舌戦、ロジカルな支配と個人の心…新規客層の取り込みは勿論のこと、ファンに対しても「サイコパスの面白さ」を思い出させる作りだ。
TVシリーズや劇場版との連なりもそんなにないので、case1から観ても娯楽性では全く問題ない。 何よりも、シリーズ中随一のスカッとした終わりを見せてくれる。今思い返しても見事な1作である。
対して2作目の(ツイートと同じこと言ってんな…)「First Guardian」は、初っ端から過去シリーズとの連続性を炸裂させてくる。そもそもcase1の続編ではないという時系列にしてる時点で、新規ファン向けではない。が、古参ファンにとっては涎ダラダラなスピンオフ展開がてんこ盛りになっているし、実際ファンの間では無茶苦茶に評価が高い。なんせ2/17時点のフィルマークスでの平均評価(レビュー総数349)は5点満点中4.1点だ。レビュー総数ではケタ違いの差があるとはいえ、あの「カメラを止めるな!」と同じ点数である。
とにもかくにもファンを唸らせる関係性や台詞のオンパレードだ。しかし、お話自体はスピンオフのオマケみたいなもんで、冒頭から結末が予測できるもの。case1から、更に言うと劇場版から引き続き厚生省と他省庁とのきな臭い争いの面白さはある。
つまり今回のcase2は、とことんファン向けの作品なのだ。
そしてその狙いは大成功だろう。
THEスピンオフ
今作は現代パートと過去パートに分かれている。
最初に時系列を整理すると…
case2過去→TV1期→TV2期→劇場版→case2現代→case1
になる。前情報入れずに観たので、これを理解するまでに結構な時間がかかった。1期直前の過去パートがメインになるので、やはり1期ファンに向けた内容だと言える。現代パートはメンタル知恵戦最強の女、常守朱の凄みをピンポイントで描写したり、劇場版から霜月との関係性が改善(そばかすを隠すメイクも改善)していることを示したり、case3への繋ぎをする位なもん。あとは須郷さんがおっぱい大きい人のスカウトを蹴る位かな。
そして主要登場人物は次の通り。基本的に彼らが1期以降の展開を思わせる何かを喋ったり関係性を深堀するのがメインコンテンツで、メインのミステリー話は本当にオマケだ!!
・須郷徹平
2期以降登場する執行官で、後に一係に配属される。過去パートでは国防軍の沖縄県名護基地に所属している。極秘の「フットスタンプ作戦」へ参加したことをきっかけに、大友事件に巻き込まれていく。趣味は筋トレ。割と若くてギノさんの6歳下。
ゴリゴリの軍人なので対人格闘術はずば抜けており、一係男性陣3人が束になってやっと勝てた相手を1人で打ち負かしている。
・征陸智己
一係の執行官で、監視官=上司である宜野座伸元の父親。シビュラシステム導入以前から大活躍していた凄腕刑事だが色相の悪化を受けて潜在犯となり、それが原因で家族(ギノさん)とは険悪。1期終盤で殉職するが、そのデカ魂と捜査術は一係へ、ギノへ受け継がれている。この「受け継がれる魂」こそが、今作のキモである。
case2では二係の青柳璃彩と共に大友事件調査のため沖縄へ派遣される。
そして、スピンオフ展開のほぼすべてを背負っているのが彼でもある。別れた妻への訪問、ヒステリーギノとの問答、先述したデカ魂の継承…奇しくも、彼に声をあて、2月に亡くなった有本欽隆さんを追悼するような物語になっていたこともあり、涙を搾り取られたファンも数多いだろう。
・青柳璃彩
二係の監視官でギノや狡噛とは友人。年も同じ。クールビューティー。1期でも2期でも好きだったのに…好きだったのに!!!!!
大友事件調査のため、一係の征陸智己と共に沖縄へ向かう。征陸さんが別れた奥さんに会えるように(無理くり)気を利かすナイスレディで、超カッコいいハイキックを決めてくれる。これを観るためだけでもいいから行って欲しい。
最初はペタンコだが、水落して以降いきなり大きくなる。なおアニメ本編では最初から大きい。
・一係の男性陣
若かりし狡噛、ヒステリーギノ、いつも通りの縢…彼らが登場し新しい台詞の数々を喋るだけで鑑賞料金分の価値がある。
受け継がれる正義
基本スピンオフの旨みのみで進む今作だが、最後の最後で熱いものがある。
大友事件の悲劇を目撃した須郷に対して、征陸は刑事を続けている矜持を説く。
現代の刑事は、最早システムが派遣する処刑執行人に過ぎず、そこに個人の意思は介在しえないように見える。それでも、その過程で正義や信念を見出し守ることも出来る。だからこそ、俺は今でも、誇りを持って刑事を続けているんだと。
その後須郷は潜在犯になり、征陸と同じ執行官となる。彼もまた「システムが派遣する処刑執行人」として最悪な状況にぶつかってしまうが、受け継いだ正義を糧にして立ち上がっていく。
改善しえないクソッタレな状況でも、人間の尊厳をこそ主張し守り通すことは出来るんだ…サイコパスシリーズに通底する激熱なテーマは、今作では健在だ。征陸が語った正義は須郷だけでなく、狡噛や常守、宜野座、そして面識がないはずの霜月まで受け継がれ、シビュラシステムへのカウンターとなっている。
ボンクラ要素
前回の記事でも触れたが、基本スタイリッシュで理知的なサイコパスシリーズは何故か劇場版になると中学生が大興奮するようなボンクラ要素をぶち込んでくる。今回は「ドローン戦闘機」と「格闘バトルアクション」だ!!!!
須郷さんは元々ドローンパイロットなので、前半はその腕を存分に見せてくれる。FPS視点が中心なのであんまりドローンは映らないんだが、あの、現行ドローンからは絶対そうは発展しねぇだろとなる、滅茶苦茶に線が多いドローン戦闘機を嫌いになれるわけはないのだ。
んで格闘バトルアクション。劇場版はいつもラストの見せ場は格闘バトルアクションになるが、毎回毎回新鮮なアクションを見せてくれるのだ。
今回はメインの格闘者3人のバトルスタイルが異なる。須郷は軍仕込みの実践的な格闘で、立ち技からのサブミッションで確実に仕留めるアクション。STF!!!
征陸はストロングスタイルで、思い一撃や荒々しい投げ技を使う。似てるのは「ラストスタンド」のシュワちゃんの格闘かな。case1のギノさんは義手を有効活用するけど、征陸さんは全然使わなかったな。
青柳さんは2人と比べて尺は短いものの、ハイキック1発でばっちり印象に残る。
case3は戦車や狡噛のナイフバトルがあるみたいなので、またもやボンクラ要素が強まるようだ。メイン観客は女性だと思うんだけどな…(笑)。でも俺は好きだぜ。
〆
さて、そろそろ〆だ。
とにもかくにもスピンオフに振り切った今作。case1でサイコパスを知って魅了された新規さんも、是非1期と劇場版だけでも観て、case2を観てみて欲しい。んで、最後は狡噛のcase3だ!!!
しかしcase1では実際に青森で再稼働が決まった原発を絡め、今回は沖縄の米軍基地キャンプシュワブ…3ではどんな時事ネタをぶち込んでくるんでしょうね。
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」について話したよ
こんにちは。光光太郎です。
今回はミュージカル映画のクラシック「メリー・ポピンズ」の54年ぶりの続編
メリー・ポピンズ リターンズ
について、ツイキャスでネタバレ感想を話してみました。
いや~~本当にね。ラスト数分前までは良かったんですよ。マジで。
なのに、物語の進行上全く必要のない描写のせいで、それまで積み重ねてきた全てのドラマやメッセージが嘘っぱちになってしまった。最悪。演者も映像も素晴らしかったのに、ラストのあれのせいで…ほんとによ…。
30分も聴けるか!って方には、感想ツイートとキャス用メモをどうぞ。何ならサントラ買ってもらうだけでもいい!!!!!
メリーポピンズリターンズ、吹替で観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
最強の女性、メリーポピンズを演じるエミリー・ブラントがとにかく最高。吹替だけでなくミュージカルもしてる平原綾香さんもアルティメット。特に拳のきいた歌唱は超あがる。
が………最後の悪役の扱いで全てがマイナスにひっくりかめ。最悪。
あんな前時代的な悪役の扱いしてたら、それこそ想像力の欠如した子供達が出てきちゃうよ。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
メリーポピンズリターンズ、メッセージと悪役の扱いが全く正反対なんだよな…。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
メリーポピンズリターンズ、吹替で観たんだけど歌唱シーンも全部吹替てるのね。最初は戸惑ったけどメリー登場後はもう最高オブ最高。流石本職の歌手であり、ミュージカルでもメリーを演じていた方だなと。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
そこは良かったのよ…そこはね。
メリーポピンズって結構厚着してるから筋肉あるかどうかは分からないんだけど、全編で貫かれる姿勢のよさ、ダンスシーンで際立つぶれない体の軸から見るに凄まじい体幹なはず。メリー役のエミリーブラントが筋肉バリバリだから、まぁそうだよね。カッコよすぎる。 pic.twitter.com/gzi2LjYWVl
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月2日
メリーポピンズリターンズのラスト、正気を疑ったのは、コリン・ファースの風船が舞い上がらなかったこと。悪役には子供時代も夢見ることもないと?やり直せないと?見方を変えても救われないと言いたいのか?わざわざそんな追いうちかけるの最悪すぎ。
メリーポピンズは教育要素が重要なのに「悪役と決められたやつはどんなに苛めてもいいし背景もなにもないんだ」ってオチにするのは、あり得ないでしょ。しっかり元の映画版みたか?銀行員だって救われてるだろ??
■スタッフ・キャスト
監督はロブマーシャル。
ディズニー映画「イントゥザウッズ」の監督をしてた。おとぎ話クロスオーバーもので、シンデレラ、赤ずきん、ジャックと豆の木、ラプンツェル等の物語とその後の「罪と罰」がクロスする。伏線とその回収を5分に1回行うような超絶テンポで進む映画であり、ひじょう~~~に疲れたのをよく覚えている。メリーポピンズリターンズは、そんなことはないが「罪と罰」をやりすぎてしまったかな…。
今作でメリー・ポピンズを演じるのはエミリー・ブラント。「イントゥザウッズ」にも出てたので、監督とはコンビ復活である。有名どころだと「ガールズ・オン・ザ・トレイン」とか「オール・ユー・ニード・イズ・キル」とかにも出てる。筋肉ムキムキのバトルレディであり、その素晴らしい体幹は最強の女、メリー・ポピンズを演じる上で役立ちまくっていることだろう。
日本語吹替は平原綾香さん。本職の歌手で、舞台でもメリーポピンズを演じている。
■1964年版「メリー・ポピンズ」のキモ
〇教育映画であること
子供には人生を楽しく生きる為の教育。勉学や社会ルールではない。
大人には育児教育。子供たちにどう接するべきか?子供と家を守る責任があるのはわかるけど、少し子供と遊んでみたら?
〇部外者と家族の関係性
問題を解決していくのはバンクス家の人々自身であり、メリーとバートはあくまでも部外者でしかない。最後、メリー・ポピンズはバンクス家の人々に気付かれることなく、空へ帰っていく。それに気づくのは同じく部外者であるバートだけ…。
さすらいのヒーローのようなこのもの寂しさが「メリー・ポピンズ」に深みを与えている。
〇最強の女、メリーポピンズ
1964年当時でも、今見ても、先進的な女性である。知的でありビジネスライクだが、毎日を楽しく生きるための、ほんのワンアイデアを教えてくれる。優しいというより、厳格さとユーモアを兼ね備えた、正に理想の大人。
■吹替え版が最高すぎる理由
〇メリー役の人が最高
平原あやかさんの拳の効いた音域の広い歌声に感激するばかり。
歌唱シーン以外でも凛としてメリハリの効いた声はメリーポピンズにぴったり。
正直この人のおかげで今作を楽しめたと思う。たったかた!
バートポジションであるジャックに声を当てるのは岸祐二(きしゆうじ)。レッドレーサー陣内恭介だ!!!!
歌が滅茶苦茶上手い!ゴーカイジャーで演劇やってるって言ってたのは本当だったのか!彼の超絶早口歌唱を是非聴いてくれ!!
〇早口言葉や言葉遊びの吹替えが完璧
「本は表紙じゃ分からない」「小さな火を灯せ」の、日本語への変換は圧巻。
英語の音的な言語的な面白さが前提にある歌であるはずなのに、それを日本語でも音的言語的に面白くなるように翻訳されている。聴き比べてみると分かるが、神業だ。
全く不自然じゃないしリズムもあってるし何より面白い!!面白いことが最高!!!
■絵の中パート
CGはバンバン使われているが、何より目を引くのは体技と歌声、生のパフォーマンスだ。これは1964年版でも変わらない。
それでも、映像処理を施したシーンは最高だった。
CG処理+2Dアニメーションの融合で頭がくらくらする「絵の中に入る」シークエンスは絶句。衣装に何というか…なんだろうあの処理は…ラクガキ王国と言うか、戦場のヴァルキュリアと言うか。黒い実線のある、まるで絵に描いたような衣装。元々そういうデザインでもあり、まるでパラパラアニメのようなCG処理もしてる。
また、ディズニーの2Dアニメをスクリーンで観れるだけで感動だ。ディズニーの犬、ディズニーの馬…泣。後半のチェイスシーンは懐かしさで泣く。
「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1罪と罰」について話したよ
こんにちは、光光太郎です。
最近またツイートキャスティングを始め、ついさっきも
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1罪と罰
のネタバレ感想を話したので、よければ聴いてつかぁさい。
サイコパスは1期からハマり2期、劇場版と観てきたけど、実は今回の劇場版3作は「今更???」感が強くて…それでも非常に面白い、サイコパスらしい1作でしたよ。そして今回もいきなりボトムズとレイドになる・・・!
20分も聴けない!って方には鑑賞後のツイートと、話す用に準備したメモの抜粋をどうぞ。
「サイコパスSS 罪と罰」観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
おっ!正統派ディストピアSFサスペンスやんけ!!って思ったらやっぱりボトムズとレイドになっちゃった。最高です。
ファン向けのキャラ関係性萌えっつったらそれまでだけど、過去の自分と対峙した霜月が「社会正義の執行者」として自立する姿はカッコいい。
いや本当にねぇ……まさか生意気下僕ガールの成長に感動するとは……嫌いなキャラだったのに(笑)。常守とは異なり「完璧なシビュラ」を崇拝している彼女なりの、正義の味方としての心情と活躍ね。そこをロジカルさと少しの心情でみせる。このバランスが絶妙で、霜月にこれまで以上の深みがあった。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
サイコパスは前の劇場版でシラッドを取り入れたりと格闘アクションに重きを置いてるけど、今回の罪と罰でも新鮮で重く痛い格闘をしてたねぇ。いいよいいよ。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
サイコパス罪と罰、笑っちまったのがドミネーターが仮面ライダーのベルトみたく「どこから出した!?」状態になってたことね。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年2月1日
■雑感
サイコパスというアニメ作品に期待するもの、理屈を重ねまくる舌戦、その中に挟まれる人間の尊厳の主張は勿論、何故か映画になると際立つボンクラ要素も満載。終わり方も爽やかで、サイコパスシリーズでも屈指のエンタメ性とヒロイックさをもった作品。
■サイコパスシリーズ全体の魅力
見どころは、論理的な支配を行う社会システムと、その遂行者でありながら人間の尊厳を貫く朱達の知恵比べ、舌戦だ。
シビュラシステムによる統治で最大多数の最大幸福が実現している日本社会、つまり法律すら超越しうる安全システムの中で、あくまでも多くの人間が途方もない苦労を重ね積み重ねてきた法=平和への願いを守る為に戦う朱。頼りなさげな少女だった彼女が最強のディベートバトラー、凄腕デカとなっていく様がとにかくカッコいい。
今回は朱の後輩である霜月が、朱とは異なるものの、システムと個人との対比に葛藤しつつ成長する話。
■メインライター虚淵玄と、今回の脚本家、吉上亮
彼の作品なんにでも言えることだが、やはりブチ節全開。
とことんまで積み上げたロジカル台詞や観念的な対話、肉体的精神的に容赦のない展開の数々、人知の及ばない大きなシステムと相対する個人等といった特徴が、特に1期全編に渡って炸裂している。
吉上亮は映画脚本初挑戦であるものの、ずっとサイコパスのノベライズを書いてきた実力者。今更サイコパス・・・と冒頭で述べたが、小説はコンスタントに発行されていた模様。
■霜月の正義
今回霜月は、自分の写し鏡であるような存在、サンクチュアリの責任者…辻飼と対峙する。シビュラの下僕として、社会幸福の為に他者を利用しつくし自分は何もしない。切り捨てるべき人間は容赦なく捨てる。サンクチュアリでは潜在犯を洗脳して同調圧力を生み出し、逸脱した個人を排除する仕組みを作っていた。
霜月は監察官として、シビュラや執行官、潜在犯とそう向き合ってきた。
2期も、劇場版もそう。シビュラ=社会正義の傀儡として、法ではなくシステムを重視。
ただ、今回の霜月は違った。
この事件が彼女を変えたのか、劇場版後に成長したのかは分からないが、朱とは異なる、彼女自身が抱く正義=心に基づく自立した「刑事」「大人」の姿を見せる。実体のない同調圧力、システムのみに支配されるのではない。自身が信じる完璧なシビュラシステムを形作る為に、その執行者=正義の味方でいる為に、例えシビュラが相手だったとしても立ち向かう。
最後、にこやかに笑みを浮かべる彼女は、最早薄っぺらい嫌味キャラではない。
社会の仕組みを享受しつつ職務や心情の為に動く、深みのあるキャラクターとなったのだ。
ロジカルさを積み重ねてシビュラの不手際を詰める手腕はやはり、朱の影響を感じる。
■成長したおっさん、宜野座伸元
すっかり年長者ポジが板につき30ちょいとは思えない「おじさんオーラ」を放つ。朱に対してもそうだったが、今回の霜月との関係性は更にいい。霜月自体も信頼を寄せている様が伺えて、それだけでも2期から成長しているのが分かる。
狡噛さんの思い出は反則。