映画:プロメア ~極彩色の大決戦!アクションアニメここに極まる!~
こんにちは。
です。
今回はTRIGGER×中島かずきの新作劇場長編作品
プロメア
の感想を書いていきたいと思います。スパイダーバース公開から間を置かずに日本で今作が公開された意義は大きいですね。
ネタバレするよ!
■鑑賞後ツイート
プロメア、観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
日本のアニメーション技術を知るためには絶対に観るべき1作だった。手描きのケレン味と3Dの自由度が完全融合し、理想的過ぎるヒーローメカアクションを見せてくれる!!レゴムービーを意識したであろう▲使いにはビビった!お話はまぁ…オマケだよオマケ。
プロメア、露骨すぎるマジンガーZパロには笑ったし、終盤のアクションはグレンラガンやキルラキルで何度も観まくってたやつで笑うし、え!そんな…そんなところまでするんか!なロマンスにも笑った!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
でもやっぱり中島脚本+今石監督で2時間映画はキツイぜ!!誰か止めろ!!!
グレンラガンやキルラキルでもそうだったけど、今石監督の作品ってかなり凄惨な暴力を描いてて音楽もシリアスなのに、早すぎるテンポと盛りすぎなアニメーションによってちょっとギャグっぽくも見えちゃうんだよね。それによって更に暴力性が増しているようで、凄く怖い。プロメアもかなりキツかった。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
プロメア、でもね〜〜〜やっぱり中島かずきは中盤から終盤への物語構成をもうちっと考えてくれねぇかな…。起承転転転転転転転転転結!!って感じだもん。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
今石監督が好きなのはね、ロボットじゃないんですよ…それを再確認できたんすよ、プロメアは…。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月12日
■熱血最強の布陣
今石洋之×すしお×中島かずき×コヤマシゲト×澤野弘之、この座組はTRIGGERのみならず日本アニメの最強傑作である「キルラキル」と同じなんですよ。完全一致でないものの「Re:キューティーハニー」「天元突破グレンラガン」等は今石洋之×中島かずきの代表作でしょう。
3話に1回最終回があると評される熱血バトルアニメ
ロボットアニメはやっぱり最高だな!と思わせてくれた、人生を変えた作品
ケレン味たっぷりのアニメーションを手掛けまくる監督、今石洋之。ハルク大好き!!
最高のアクション作画マンすしお。Twitter面白い!
無理を通して道理を引っ込める熱い展開を書かせたら右に出る者はいない面白おじさん、中島かずき。仮面ライダーフォーゼもやってるぜ!ウルトラマンマックスでは「燃えつきろ!地球!」という脚本もやっている。
ベイマックスを手掛けた天才デザイナー、コヤマシゲト。トップ2!エウレカセブン!HEROMAN!サイバディ!キャプテンアース!ダーリン・イン・ザ・フランキス!全部のデザイン好き!
暑苦しい映像へ爽快壮大な音楽を被せやっぱり暑苦しくする澤野弘之。伸びのある歌唱、畳みかけるような合唱、押し迫るオーケストラ、かっこいい英語曲によってエモーショナルな展開にドンドンのめり込ませてくれる。カバネリやガンダムUCもこの人なので、その力量たるや恐るべし。
それぞれ単独でも鼻血が出るほど熱く面白いものを手掛けているのに、皆集まってアクセルしか踏まない様な作品を作ったらどうなるか…超熱くて面白くて、それでいて現行の技術力を数段上に押し上げるような作品が出来るに決まっている!!!!そしてそれは実現していた!!!!!!
「プロメア」は間違いなく、日本アニメーションの歴史に残るでしょう。前述した通り、アニメーションというものを格段に進化させた「スパイダーバース」の公開後1年以内に日本からこういった作品が出たことを、誇らしく思いますよ。お話やバランスは全然悪癖だらけだけどね!!!
今石洋之監督のみならず数多くのアニメーターに影響を与えた金田伊功の傑作の一つ。滑らかさよりもメリハリ!ガニマタ!フレア!
こちらも是非に
■アクションアニメの到達点
とにかく今作はアニメーションが凄いんですが、特筆すべきは冒頭のアクションシーンでしょう。YouTubeで一部公開されているので是非観てみてください。
これ、本当に「一部」なんですよね~。ここからでも分かるのは「動きまくるカメラワーク」と「メリハリとパースの効いたケレン味ある画」とが完全一体となっていること。グリグリカメラが動くパートは恐らくCGなんでしょうが、一時停止しても「2Dアニメーションの一枚絵」として成り立つ程の違和感の無さです。2Dアニメと3DCGとがシームレスに繋がることによってアクションやドラマの連続性が高まりますし、何よりも「奥と手前」を駆使したメリハリある空間演出が堪らない!2Dと3Dの合体はキルラキルでも使われていましたが、今作では更に更に多くのアイデアがある上に描画自体も向上しているから、進化が一目瞭然。
見応えのあるアクションが序盤からぶち込まれますが、実はそのどれもが見やすいように設計されています。今作ではどのキャラクターも基本は直線的に動くので、視点が動いても「何が起こっているか」「何を見ればいいか」を迷うことはないでしょう。いや、終盤はちょっと迷うな(笑)。
あと触れておきたいのは、▲と■のによる表現!!
バーニッシュを▲、世間を■として、様々な表現に▲■が使用されている。炎や灰は極力▲のみで描画されているし、プロメポリスは碁盤の目の様に■いし完全に平行だ。バーニッシュ側か世間側かでレンズフレアも区別される徹底ぶり。レゴムービーか!
この▲■表現の最たるものはOPでしょう。▲■のみで、これは二者対立の物語であり■が▲を支配していること示し切っている。ここでもう、ウットリしてしまった。まるでソウル・バスによる美しく制御されたOPシークエンスを観ている様な感動があった。
映画『レゴ®ムービー』本予告【HD】 2014年3月21日(金・祝)公開
全てをレゴで表現した狂気の傑作
ソウル・バスが手掛けた「サイコ」のOP
今作が技術とセンスがつぎ込まれた博覧会のみで終わっていないのは、アニメーションと物語と声優陣の熱量とが完全に一致しているからでしょう。どうだ!凄いだろう!?ではなく、熱くするべきだからこそケレン味ある映像にする!心たぎらせる映像だから声の演技も熱くなる!この熱さは作品作りの必然であり、混ざり合って炎となった「プロメア」はアクションアニメの一つの到達点!!!
■単純に熱くなれるストーリー
中島かずき脚本を楽しむコツは、とにかく勢いに身を委ねることだ。
整合性よりも勢い。引き算より足し算乗算。バランスよりも一点特化。突発的に始まる陰湿な暴力。過剰に熱く文量が多すぎる名台詞の数々。それらを(強引に)まとめ上げ無理を通して道理を引っ込める物語として、分かりやすく楽しみやすい娯楽作品に仕上げてしまうその手腕には脱帽するしかない。また、粗雑に見える物語展開の端々にロジカルな展開や豊かな語彙に基づく台詞等を潜ませてくるのも侮れない。
今作でもそんな中島節は全開で、ガロとリオというW主人公を軸に「奴隷解放もの」「バディもの」のカタルシスが満載なストーリーになっている。そしてやはり最後は、自分と他者とを信じきって貫き通した道の先にある希望を見せてくれる。黒幕との非常に分かりやすい対比構造はグレンラガンを思わせるが結末は真逆だし、中島かずき作品の中でも屈指のキレで〆るラストからのエンドクレジット入りには心の中で大拍手ですよ。
まぁでも、中盤から終盤にかけて6転位するクライマックスの連続は流石に疲れるし、結局バーニッシュの差別問題は有耶無耶になって終わるし、その割には差別問題に結構踏み込んだ描写をするし…劇場長編アニメとしてのバランスは良くない。これは「劇場版天元突破グレンラガン 螺巌編」や「ニンジャバットマン」でも感じた共通の欠点だ。
熱いお話もそれに応えすぎる映像も大変結構だが、次回のタッグ作品では少しバランサーも入れてマトモなクライマックスにして欲しい…でないと日本のマイケル・ベイって呼ばれるぞ!!!
■嘘でありリアルなメカニックの魅力
主人公ガロやリオを始めとしたキャラクター達が生き生きと動くのは勿論ですが、私が推したいのは魅力的なメカニックたち!!バーニングレスキュー達の各種レスキューマシンは「トミカヒーローシリーズ」を思い起こさせます。前線基地かつ消防車な「メガマックス」と、空中から現場を把握する「スカイミス」の組み合わせなんかもグッときますね。
パワードスーツは収納や輸送、着脱、作業用ギミック等が盛り込まれており、しっかりと「運用されるメカ」のリアリティがある。フィクショナルな世界観、ありえないアニメーションの中にこそ実用性を盛り込むというのは、グレンラガンやキルラキルでも多く見られた手法ですね。
ただ終盤に登場する巨大ロボットの描き方や役どころを見るにつけ、やはり今石監督は巨大なロボットが行うアクションにはあんまり興味ないんだろうなと思いますね…。どちらかと言うとミニマムなメカニズム描写にこそ関心があるのでしょう。だからこそ、人間サイズのアクションと巨大すぎないメカニズムアクションとが掛け合わされた冒頭のアクションシーケンスが今作最高のシーンになっているのだ。
■俳優声優陣の熱演
本職声優以外を起用するのはジブリや細田アニメ等で顕著な手法ですが、なんとゴリゴリのサブカルオタク向けアニメ会社であるTRIGGERが手掛けた今作でも、主役三人は俳優さんが声を当てています。
日本かぶれの主人公カミナガロ・ティモスに松山ケンイチ、炎を操る放火組織マッドバーニッシュのボスのリオ・フォーティアには早乙女太一、プロメポリスの執政官クレイ・フォーサイトには堺雅人と、かなりの業火俳優陣だ。
最初はかなり不安だったが、実際観てみると見事なハマりっぷり。しかも「今石洋之×中島かずき」作品にぴったりの熱演!考えてみれば松ケンは「デトロイトメタルシティ」やってるし、早乙女太一は舞台役者だから声量はあるだろうし、堺雅人はオーバーアクトで成り上がってきた人だから、熱い叫びが求められる今作には合っている。松ケンは熱い口上を見事に捲し上げるし、早乙女太一はエロい上に後半どんどんデレ演技に拍車がかかる(アニメも)し、堺雅人は誰もが堺雅人に求めることをやりきっていた。
映画秘宝のインタビューでも中島かずきは「第一希望のキャストが揃った」と言っているし、元々劇団☆新感染の舞台に出ていた方々らしいから、勝手知ったる仲だったんでしょうな。
俳優陣で言うと、プロメス博士役を演じる古田新太も「パワーレンジャー」に引き続き上手かった。エンドクレジットで初めて分かった位。洋画吹替にもどんどん参加して欲しい役者さんだ。
本職声優陣はもうTRIGGER作品の常連といった感じで安定感も掛け合いも抜群。個人的には小西克幸(カミナ)や小清水亜美(キュアメロディ)の参戦が嬉しかった。グレンラガンやキルラキルから続く檜山修之の「しまったぁ!!」芸は今回もある。岩田光央はちょっと落ち着け。
■〆
さて乱雑になってきたのでそろそろ〆だ。
人生を決定的に変えた熱血ロボットアニメ「天元突破グレンラガン」から12年…その因子は確かに「プロメア」に引き継がれていた!ロボットはあんまり…あんまりだけど(笑)。熱さと勢いはカッコいい!諦めを押し付けられようが枠にはめられようが、心だけはまっすぐに燃やし続けろ!!子供の頃に受け取った熱いメッセージを、今作でも同じように感じましたよ。傑作!!!
あ、あと露骨なマジンガーZパロには笑いましたね。
いつもお世話になっているヒナタカさんの語り合いラジオ。引き算思考で作った!?マジで!!???!?
雑記:外朝食で優雅タイムを楽しむ
こんにちは。
光光太郎です。
今回は映画の感想ではなく生活雑記を少し。
映画を趣味にすると、楽しみにしていた作品は公開初日の初回で観たい!とか、何とか安く抑えたいのでモーニングショーで観るかとか、何回か記事も書いた午前十時の映画祭に行ったりとかで、朝早くから映画館周辺で待機することがよくあります。
趣味以外でも、中途半端な時間から開始する仕事までの待ち時間とか、朝一発目に病院行った帰りとか、まぁ色々と「朝に時間を持て余す」機会が多いんですよ。
そんな時はやはり「ちょっといい朝食を食べたい…」と思ってしまうわけで。「優雅な朝食あこがれ」も相まって、ここ数年間は「美味しい朝食処」を探すことにちょっとハマっています。むしろ「あそこで朝ごはんを食べよう!」と思って早起きすることもしばしば…。
というわけで今回は、日ごろお世話になっている朝食処をご紹介したいと思います。
まず最初は駅前での待機時に非常にお世話になっている「上島珈琲店」!
何と言ってもミルク珈琲が抜群に美味い。普段はブラック派ですが、ここではほぼ必ず黒糖入りミルク珈琲を頼んでいます。(無糖やカフェインレスも美味しい)濃厚なミルクがベースでありコーヒーは風味アクセント位なので、コーヒーが苦手な人にもおススメしたいですね。
よく食べるのはトーストしたコールスローたまごサンドとコーヒーのセットで、価格は520円+税。結構がっつり食べられるので満足感はあります。ベーコンが噛み切れなくてちょっと食べづらいけどね!
上島珈琲店は座席数が多いし店内の雰囲気もゆったりしているので、気持ちの良い朝食を取れるんですよね。「駅にちょい近」という立地のせいか混み過ぎることはほぼありません。
映画や仕事に行く前に30分位ゆったり出来るのは本当にありがたい。美味いコーヒーにサンドイッチ、kindleで読書、店内にかかる静かなジャズ…ああ、自分は今「優雅な朝食」を取っている…!!と実感できます。
因みにコールスローたまごサンドは572キロカロリー、ミルク珈琲(黒糖)Mサイズは158キロカロリー。合計730キロカロリーで「日清デカうま油そば」と大体同じ…。
さて、続いては石窯パン工房ばーすでい。
イートインスペースでコーヒー付き(500円以上買うとサービス)で食べることが多いですね。ここのコーヒーは酸味弱めの苦み強め…かな?ブレンドとアメリカンを選べるのが嬉しいところ。座席数は多いのでいつでもゆったり食べられますね。
開店直後だと焼きあがっているパンの種類は少ないですが、パリパリに焼き上げたチーズせんべぇパンや塩あんぱん、チーズちくわパンなどをよく食べています。パン以外にもタルトやマフィン等の種類も多く、ちょっと年齢層高めを意識した商品の数々を見るだけでも優雅な気持ちになります。
最後にご紹介するのはパンセ。
イートインスペースは極狭なものの、コーヒー無料というのがありがたい。苦み弱め酸味強めのコーヒーは総菜パンと相性がいい…かな?時々野外販売もしていて、冬場のビーフシチューの美味しさは絶品!!
ばーすでいとは対照的に、こちらでは子供向けファミリー向けのメニューが多い。雫みたいな形にパンパンにあんが詰まったあんぱんや激甘フレンチトーストなど、甘党なら見逃せないパンの数々も開店直後からそろっている。焼きたてパンは鉄板に乗せられまとめられているので分かりやすいのもいい。
よく食べる、というよりマストで食べるのはツナ詰めちくわパン。今まで食べたちくわパンの中でもぶっちぎりで美味い。ちくわにツナを入れ、その上にマヨネーズが少しかけられていたら美味しいに決まっている!
とまぁこんな感じで、コーヒーとパンのセットで外朝食を取ることが多いですね。費用は300~500円と少々値が張りますが、ほんのちょっとでも「優雅タイム」を味わえるのであれば安いもの。また、パン屋さんでは朗らかな家族連れを見かけることが多く、そこでも多幸感を感じてしまいます。行動圏内での外朝食も楽しいですが、旅行先や出張先でいい店を探したりするのも非常に楽しい。
う~ん良い〆方が思いつかない(笑)。仙台周辺で美味しい朝食処(特に和食)があったら是非教えてください!!Twitterでもなんでもいいので…。
映画:風と共に去りぬ ~絶望からのド根性、そして百合~
こんにちは。
光光太郎です。
午前十時の映画祭にて
を観てきました(5/19の話)ので、忘備録としてTwitterを中心に感想を残します。毎回言うけど、映像が超綺麗!!第二次世界大戦前の映画だよ!!???
■鑑賞後ツイート
風と共に去りぬ、前編観た。漂白されきった奴隷制度の描かれ方を除けば、壮大美麗な映像と衣装に圧倒されっぱなし。そして、まさかのど根性映画としてのカタルシス!
— 光光太郎 (@bright_tarou) May 19, 2019
風と共に去りぬ、4時間近いんだけどほぼ飽きることなく観れたな……撮影美術衣装がとんでもなく豪華で、それだけで見とれちゃう。そして要所要所のシルエット引き夕焼けの美しさ、逞しさときたら……!!昔から「女舐めんな!」「0から立ち上がるぜ!」ものはあったんだ!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) May 19, 2019
映画館で観た「風と共に去りぬ」の感動がじわじわときている。南部白人視点なので奴隷制度マンセーなのはキツいけど、、まぁ30年代の映画なんで……。暑苦しく泥臭く最低な南部を観たいなら「マンディンゴ」とか「ジャンゴ」を観ればいいし…。
— 光光太郎 (@bright_tarou) May 20, 2019
「風と共に去りぬ」に込められた熱さ、普遍性のキモはメラニーにあるんじゃないだろうか…。生涯をかけて性善説を貫き、愛に生き、正しさを体現し続けた彼女の姿は今観ても凛々しい。#唐突かつ今更な話
— 光光太郎 (@bright_tarou) May 22, 2019
■問題点と評価点を並行して語ろう
今作は奴隷制度の美化やKKK=クークラックスクランの正当化等が行われているために現代ではポリコレ観点から強い批判を受けています。実際観てみると、主従関係を良きこと化したり、黒人奴隷達を田舎者として描いたり、あまつさえ字幕で「~ですだ」という語尾を付けたりと散々な有様。上記の2作品や「それでも夜は明ける」「ブラッククランズマン」等を観ていると噴飯ものです。
ただ、今作が製作されたのは1939年なので、現在と倫理観が異なるのは当然でしょう。自由公民権運動が起こる20年近く前ですしね。私達が今触れている作品達も、数十年後には批判されるべきものになっているかもしれません。
過去と現在とを相対化し倫理観をアップグレードするには、「風と共に去りぬ」の問題点をあぶり出し批判することは絶対に必要です。しかし、それと映画の評価を貶めることとを同義にしてはいけない。現代にも通底する力強いテーマがありますし、長尺にも関わらず飽きさせない構成の数々、豪華絢爛な美術や衣装等、後世に残すべき文化的遺産が詰まっています。
政治的汚点もある、しかし文化的良点もある。これらを同時に語り娯楽作品として残すことには、歴史的価値が確実にあります。何故なら、今私がそういった考えに至れているのだから…。
■ド根性大河ドラマ
アメリカ南部を舞台に、南北戦争に巻き込まれつつも逞しく生き抜いていく南部貴族の娘スカーレット・オハラの半生を描く…まるでNHKの大河ドラマのよう。時代も明治維新前位なので、ますます大河じみてますね。世界中で大ヒットし「世界中で必ずどこかの町で常に上映されている」との噂まであります。アメリカ史を描いたものが何故世界で受け入れられたのか?それは誰もが共感できる「ド根性精神」があるからではないでしょうか。
冒頭で主人公スカーレットは「全てを持った少女」の様に描かれます(愛だけは満たされないわけですが)。しかし南北戦争によって富を失い精神的支柱も失い、頼るもの全てを無くしてしまう。家族全員路頭に迷っている…明日への希望が何もない状況に追い込まれ、遂にあの高潔なスカーレットがクズ野菜を貪ってしまう…絶望の底に叩き落されたスカーレットは「もう頑張るしかない!!!!!」というド根性を発揮!泥水をすすり地べたを這いつくばってでも、必ず貧乏から脱してみせる!それに、私達にはまだ!この故郷が!タラの大地が残っているじゃないかと!握りこぶし作って立ち上がるわけです。そこで流れる雄大な音楽!赤い夕陽と暗いシルエットの美しい映像!!最高としか言えない。
このド根性節によってエモーショナルが最高潮に高まった時、前編は幕を閉じます。
ここまでの100分は全てこの展開の為の前振り。連続した時間の中での、一瞬の精神的見せ場。これぞ映画という感動を味わいました。
抗えない歴史の波に飲まれつつも適応して生きていく…自由奔放唯我独尊だった人物が利他的行動をするようになる…絶望の底の底に落とされた人が一縷の望みに全てをかけて文字通り立ち上がる…これらはアメリカ人だけが共感できることではありません。全世界の言葉が異なる人でも分かる、人間の精神が最も輝いた瞬間、尊厳ある瞬間なわけです。別に南北戦争時代だから特別なわけじゃないでしょう。日本で言っても、例えば震災後の状況等と非常に近いわけです。今作が日本で公開されたのは1950年代らしいですが、その時期は戦後復興期であり、その当時の日本人達にとっても自分事に感じられる物語だったのではないでしょうか?
堕ちたのであれば、這い上がるしかない!!頑張るしかない!!!川の底からこんにちは!!!!!
しかし、誰もが弱気になり父親が狂ってしまう程の事態に対して、立ち向かえる強さと知恵を持っていたことが、結果的には彼女を苦難の道へと誘ってしまう…。結局の所愛するもの全てを失うのですから、もしかしたら諦めてしまった方がいいんじゃないか…そう思ってしまいます。「誰が悪いわけではない。努力の結果なのよ。」とは劇中の台詞ですが、何たる辛い言葉…。
決してハッピーエンドで終わらず、時の流れと人の業によってこんがらがっていく人間模様というのも、大河ドラマの大きな魅力ですね。
■濃厚な百合
前項では普遍的な面白さについて書きましたが、ここでは今!今観たからこその発見を。
題にもある通り、今作では非常に濃厚な百合…つまり女性同士の強い強い精神的繋がりが描かれているんですよ!主人公スカーレットと、彼女が愛していたアシュレーと結婚したメラニーとの、愛憎入り混じる百合が!!
「風と共に去りぬ」は基本的にスカーレットのアシュレーへの身勝手な愛、そして結果的にアシュレーを奪うこととなったメラニーとの奇妙な共同生活が軸になっています。
スカーレットとメラニーはとにかく正反対で、前者は前述の通り自由奔放で妹の彼氏を当てつけの為に奪い取るような人物であるのに対し、後者は包容力と純真さを持つ聖母の様な人物。スカーレットがメラニーに対して非常に回りくどい嫌がらせをするのだが「スカーレットはそんなことしない」と信じ抜いている。
しかしアシュレーが南北戦争に赴く際、スカーレットは彼からメラニーを支えてくれと頼まれます。気持ちが届かなくとも愛するアシュレーの頼みですから、生活が困窮する状況でもメラニーを守り抜いていきます。もうこの関係性がいい。憎っくき恋敵(しかも相手は無自覚)を、愛する人の願いの為に守らなければならないというジレンマ。しかもメラニーが無償の信頼、愛を向けてくるので、悪い気もしない…。だがアシュレーへの思いも捨てきれず、奴も奴でまんざらでもないので抱き合ったりしてしまう…。じゅるり。
南北戦争中、そしてその後の苦難の道を共に歩み、皆がスカーレットの手段を選ばない姿勢を非難する中でも彼女を支え続けたメラニーだが、最終盤で命を落としてしまう。今際の際、スカーレットへ「息子とアシュレーを頼みます…」と約束を託す…出兵前のアシュレーの様に。もしかしたら、メラニーはスカーレットとアシュレーの関係を分かっていて、それでもなお二人を愛し続けていたのかしれない…。そしてスカーレットは、自分がメラニーを愛していたことに気付く…。
母を失い父が狂ってしまったスカーレットにとって、気高く麗しい精神を持ち決して揺るがなかったメラニーは、精神的支柱になっていたことでしょう。そんな彼女もまた、失ってしまった…。そして夫であるレット(メイン所なのに今初めて名前を出した!)もスカーレットから去ってしまう…。
4時間近い今作のクライマックスにおいて、スカーレットと最も強く結びついていたのがメラニーだったと分かる展開を持ってくる。男女だけでなく女同士でも思い思われの関係性はあるし、なんなら男女間よりも強く強く結びついているのだと。愛の実感、そして喪失をアシュレーからではなくメラニーから受け取ったスカーレットは、レットへの愛を成就させるべくタラへ戻る…ここで今作は終わります。これを百合と言わずに何と言うのか!!!!愛情というものの多様性についても示している映画であると思います。
■〆
またツラツラ長く書いてしまいましたが、ここらで〆。
確かにアメリカの暗部を隠し美化している点は批判されてしかるべきですが、現代の視点で観ても立ち上がる人間の素晴らしさ、思い思われ関係の妙、そして何より歴史の中を逞しく生き抜いた女性の物語として必見だと思います。テンポも良いので4時間全く飽きないし。おススメです!配信サイトでバンバン観れるよ!
映画感想:グリーン・インフェルノ ~意識高い系学生の因果応報~
こんにちは。光光太郎です。
さて今回はお引越し記事のご紹介。前ブログにて好評だった「グリーン・インフェルノ」の感想記事です。R-18なんですが、これが一番アクセス多かったんですよね(笑)。今観ても痛烈な批判精神は見劣りしません。では、また加筆修正殆ど無しでご覧ください…。
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新年明けましておめでとうございます!
光光太郎です。
2015年も終わりを迎え、2016年が始まってから久しい今日ですが、ひとまず新年のご挨拶とさせて頂きます。昨年から始めたこのブログも、引き続き地道に進めていきたいと思います。2016年もどうか、よろしくお願い致します。
さて、それでは新年一発目の記事を書いていきたいと思います。2016年初映画館訪問を飾った作品は
です!R-18映画なんで、それっぽいことも言っていきます!ネタバレアリです!
■あらすじ
森林伐採の不正を暴くためアマゾンを訪れた環境活動家の学生たち。過激な活動が問題となり強制送還されることになるが、帰りの飛行機にエンジントラブルが起こりジャングルに墜落してしまう。なんとか生き延びたものの、そこで彼らを待ち受けていたのは人間を食べる習慣を持つ食人族だった。学生たちは食人族に捕らえられ、次々と餌食になっていく。(映画.comより引用)
■概要
新年一発目にして、R-18映画初体験でもありました。新年最初の映画館鑑賞がこの作品とは、相当キてますね(笑)。
「グリーン・インフェルノ」は日本公開が11月の作品だったのですが、私の住んでいる地域では封切りが遅れており(というかやること自体不明だったんです)、まさかの新春映画となってしまいました。私が観た時は、温和そうな初老の夫婦や、これまた超温和そうなおばさんが観に来ていましたね。皆さん、劇場出るときニッコニコでした。
この「グリーン・インフェルノ」は「カニバル・ホラー」「食人映画」というジャンルに属した作品で、その名も「食人族」という映画がジャンルの金字塔とされています。「食人族」は「E.T.」公開時、劇場にあぶれた人達が観たことで大ヒットした、ということは有名な話ですね。ほんと俄かには信じられない話ですが…。
食人映画とは、その名の通り「人を喰う」描写で恐怖を描くジャンルです。私は今までこの分野には全く触れていなかったのですが、ホラー映画界の新世代代表イーライ・ロスの監督作であり、話題作でもあったので、今回鑑賞に踏み切ってみました。私はあまりグロ描写が得意では無いので心配でしたが、何とかなりました!というか、とても面白かったです!鑑賞後は顔真っ青でしたが…。
食人映画、超絶グロ描写あり、エクスプロイテーション映画等々、エクストリームな映画なんだろうなと思い鑑賞しましたが、とても真っ当な映画作りがなされた傑作だったという印象です。カニバル・ホラー映画としての恐怖描写、全てが腑に落ちる因果応報劇、痛烈なメッセージ性等、太くしっかりとした芯のある映画でした。
ETみれなかった人がしゃあなく観てヒットしたという「食人族」
■カニバル・ホラー
まずは何と言っても、カニバル・ホラーの圧倒的恐怖描写にやられてしまいました。
ホラー映画というのは、様々な演出で観客の恐怖を煽る映画です。その恐怖には「精神的恐怖」「エンタメ的びっくり恐怖」等多岐に渡るのですが、今回の「グリーン・インフェルノ」では「自分が食料として扱われる恐怖」が描かれていました。この「自分が食料として扱われる恐怖」には、自分が喰われるという心理的恐怖と、人体調理の超絶ゴア描写によるエンタメ的びっくり恐怖という二重の恐怖が含まれていたんですね。
しかし、このカニバル・ホラー演出は全く後味が悪くないんです。恐怖を作る側である食人族に、ホラー映画にありがちな外道的行い、外道的心理というものが皆無だったんですね。彼らはあくまでも文化や生活として食人を行っているので、憎しみや商業的欲望、ドロドロな人間関係から殺人を行っているわけではないんです。食べるために殺す、生活に根付いた宗教行為として殺す等、彼らの行動原理はいたってシンプル。そのシンプルさで嘔吐感を感じるほどの恐怖を感じるんですが、シンプルだからこそ後味はすっきりさっぱりとした印象でした。
またカニバル・ホラー描写ではないのですが、飛行機事故による一連の人死にシーンも痛烈な場面でした。不謹慎ですが、とにかく楽しい場面でしたね~。ホラー映画としてのサービス精神に満ち溢れていたんですよ!流石イーライ・ロス!
飛行機回転中にゲロを吐くデブ、機体後部と共に吹っ飛ぶパツキン、木がぶつかって頭部半分がパックリいくパイロット、ゆっくり回転するプロペラに頭を削がれるウェイ…描写自体はショックシーンですが、心は大爆笑&拍手という感じでした。こういう悪趣味描写は映画的サービスでもあるのですが、事故現場の紛れもない現実を知ることが出来る場面でもありますね。
同監督による、悪趣味映画の決定版!
■真っ当な因果応報
カニバル・ホラー描写で圧倒的恐怖を与えてくれた「グリーン・インフェルノ」なんですが、作劇面演出面共にとても腑に落ちる、因果応報がしっかりとした映画だったんです。ホラー映画に限らないことですが、演出優先でご都合主義ばかりという映画が多くある中でこの映画を観てみると、驚きですよ!イーライ・ロス監督の手腕の高さ、そして実直さを垣間見ました。あんなに悪趣味なのに…。
「グリーン・インフェルノ」では、映画中に起こることには必ず理由や前兆がありました。意識高い系大学生軍団「ACT」は物事の本質を見なかったために喰われる事態になり、処女でありフルートのアクセサリーを持っていたからこそ主人公は助かり、クズであっても「人」を見捨てたからこそ最後の追及がありました。
正しいことをした人も何かしら負の因果応報があり、クズだったとしても正の因果応報がある。この映画では全て平等に結果と原因が用意されているんですね。それは演出面でも同じで、前半に大学講義のシーンがあるんですが、その場面があることで後半のショックシーンの恐怖感が生まれていましたし、主人公の取って付けたような正義感と食人族たちの風習説明にもなっていました。正に全てが腑に落ちる、新設設計な映画でした。
■クソ大学生描写
そして「グリーン・インフェルノ」を話す上で欠かせないのは何と言っても痛烈な「大学生描写」ですね。意識高い系な人全般に向けた痛烈な批判が、この映画にはこめられていました。
「グリーン・インフェルノ」では主人公ジャスティンと意識高い系大学生軍団「ACT」の面々の様子が描かれているのですが、これが「大学生」の嫌な部分を凝縮したような人物達なんですね。これは自分にも多分に当てはまる部分が多く、他人事ではありませんでした…。
嫌な部分を簡単に言うと「おごり」からくる「過信」なんです。主人公もACTの面々も、自分が高尚な知識を勉強しているというおごりを持っています。そのおごりから、何か正しいことをしたい、褒められたいがために、何か絶対的な「悪」を見つけて叩くという行動に向かっていくんですね。彼らのこのあまりにも分かりやすく薄っぺらい欲求は、企業人たちに徹底的に利用されるわけなんですが…。
そして主人公ジャスティンに顕著なのは、自分は、自分だけは正しいことを考え実行しているというおごりでした。これは高圧的な父への反発心からと考えることも出来ますが、限度が過ぎました…。そしてこのおごりは、最後の最後まで続きます。
彼女はとてつもない恐怖を与えられたにも関わらず食人族を守る事を選び、自分以外の面々は事故死し、危機を現地民族に助けられたという嘘をつきました。この嘘=正しい行いによって森林開発はストップし、ACTの面々も英雄的死という扱いになり、全てが丸く収まったかに思えました。しかし彼女が見捨てたアレハンドロの妹から「GPSで兄の姿が確認できる。話がしたい。」という連絡がきます。正しい行いに見えた嘘も見捨てるという行為も、アレハンドロの妹にとっては絶対的な「悪」でしかなかったんですね。
「グリーン・インフェルノ」で描かれている程に極端ではありませんが、これらのおごりや正義感描写は、私自身にも身に覚えのあるものばかりです…。自らの虚無感からありもしない力を理由におごりをおぼえ、その虚無感を埋めるために誰かを叩き自分を正しいと示したい…そう考えることは少なくありません。目立ちたいがために内容の伴わない行動をするというのもあるあるです…。一大学生として思うところの多い映画でした。
カニバル・ホラーとしての圧倒的恐怖描写を打ち出しつつ、因果応報がしっかりした堅実な映画作りを行い、痛烈なメッセージを打ち出す…。娯楽映画として不満足が全くない、とても見やすく楽しみやすい映画でした。R-18描写も中盤のやたらと長い人体調理シーンがゴアのピークで、それ以降は割と安心して観ることが出来たのも嬉しかったですね。調理シーンでは本当に退席しようと思ったので…。胃の中にポップコーンしか入れなかったのは正解でしたよ…。
違った意味でクソ大学生描写を見せつけられる一本
■個人的感想
面白いと思った点は次の3点です。
①食人族の生活風景
②ピンポイントで終わるショックシーン
③俗っぽい演出多数
①食人族の生活風景
前述した通り「グリーン・インフェルノ」では食人はあくまでも文化として扱われています。なので食人族は気の狂った殺人鬼としてではなく、掟と習慣に従って(彼らとして)真っ当に生きる集団として描かれていくんですね。あまりにもショッキングな人体調理シーンも、どこか宗教的な目と舌の調理が終わった後、バッサバッサと手際よく調理していきます。そして肉に塩を揉みこみ、燻製させてから皮をはいで食べていました。正に料理という文化。その食人描写以外にも、宗教的なものを感じる装飾や日々の仕事の様子などが丁寧に描かれていました。実際に現地の方に演じてもらったというだけあって、その生活や反応は自然そのもの。食人族という存在がいる!あの場に生きている!と感じることが出来ましたね。しかし、漏らすことはやっぱり恥ずかしい事なんですね(笑)。
最近分かったんですが、私は言語だったり生活だったり何かしら独特な文化描写があるものが好きなのかもしれません。
②ピンポイントで終わるショックシーン
私は行き過ぎたグロ描写は得意ではないのでとても心配だったのですが、前述した通り極端なゴア描写は中盤以降無いので安心して観ることが出来ました。まぁ、ものすごく痛そうなシーンはいっぱいあるんですけどね(笑)!
③俗っぽい演出多数
正に俗物映画というか、普通の映画では観れない聞けないものがてんこ盛りでした。差別的な発言や下ネタ、モザイク無しの下ネタ(爆笑)、排泄物ネタ、薬物ネタ等、これでもかと世俗的な要素が盛り込まれていました。こういうものは日本ではあまりみられないので、とても新鮮でしたね。
続いて残念だった点について書いていきます
①脱出シーンがさっぱり
②アレハンドロの下半身真っ黒案件
③ネタバレしまくってしまった…
①脱出シーンがさっぱり
最後に主人公は食人族から脱出&彼らを守ることになるんですが、その場面がかなり淡泊というか、さらりと進んでいくんですね。逃がしてくれた子供とのやり取りは良かったのですが、脱出から保護までの流れはもうちょっと盛り上がってもいいのかな…と。まぁしかしこれはネタバレを見まくって臨んだ自分に大きな原因がありますね…。
②アレハンドロの下半身真っ黒案件
最終盤に生き残ったアレハンドロが映っている衛星画像が映るのですが、そこで何故かアレハンドロの首から下が真っ黒なんですね。あれはなんだったんでしょうか…。まさか、狂ってしまって自分のアレを…?どうにも気になってしまうところです。
③ネタバレしまくってしまった…
これは「ヴィジット」の時にもやってしまったのですが、こちらの地域でやらないものと思ってしまい、事前にとことんネタバレを見てしまっていたんです…。だって公式サイトにも載ってないんですよ!?やらないと思うじゃないですか!
ネタバレを見てしまったので、答え合わせの様に見てしまったんですね…。これに懲りて本当に観たい映画はネタバレを絶対に見ず、こちらの地域でやると信じて待つことにします…。
■〆
いや~、凄惨なショックシーンあり、堅実な物語あり、痛烈なメッセージあり、下世話さもありと、今まで観たことないものが観れた、とてもいい映画体験でした。自転車で往復100分漕いで観に行ったかいは十二分にありましたね。強烈な映画で始まった2016年ですが、今年もなんとか色々観ていきたいと思います!
(因みに、この映画館では3月にウルトラマンを観る予定です)
映画:「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」についてヒナタカさんと話したよ+補足
グァァァァアアアアアアオオオオオオオオウウウウウウウウッッッ!!!!!!!!
光光太郎です。
ブログでもゴジラ記事を書き、
HuluやAmazonプライムでゴジラ映画を観まくり、
映画秘宝読んだり怪獣黙示録読んだりしてゴジラ熱を高めに高めて!!!遂に!!!!
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
を観てきましたよ!!!
ってなわけで、今回は自ら「話しませんか?」と脅しをかけ、ヒナタカさんと今作について話し合いましたよ!前説で20分!合計1時間越え!!!深夜テンション!!!!!!
■ヒナタカさんとゴジラトーク
■鑑賞後ツイート
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」観た!!!!!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月31日
いや……これは凄すぎる……オタク映画だよ…………究極のオタク映画や…………。
キング・オブ・モンスターズ、VSシリーズをビデオで観て、機龍やファイナルウォーズを劇場で観て胸踊らせた俺にとってはもう史上最高の瞬間が何度もあったね。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月31日
キング・オブ・モンスターズ、余りにも凄すぎて意識を失いかけたシーンがありすぎる。最後まで油断できん。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月31日
キング・オブ・モンスターズ、やはりドハティ監督らしい、伝説に敬意を払え映画でしたね。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月31日
キング・オブ・モンスターズ、久しぶりに一切時計見ずに終わった映画だった。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月31日
もう生まれた時からゴジラを観ている(詳しいとは言ってない)身としては、もうエンドゲーム級の感動があったんすよね、キング・オブ・モンスターズは。DNAに刻まれたものを、鼓動を呼び覚まされるんすよ。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年6月1日
そしてちょろちょろと補足をば。
■小ネタの数々
・ゴジラの泳ぎ方➡ミレニアムシリーズ
・世界各国で出現する怪獣達➡怪獣総進撃、FW
・音波で怪獣を操る➡怪獣大戦争、怪獣総進撃、超ゴジラ(ゲーム)
・人を喰う怪獣➡サンダ対ガイラ
・ギドラの呼称がモンスターゼロ➡怪獣総進撃
・ゴジラを目覚めさせるんだよ!➡FW、VSギドラ
・人間が病原菌➡機動武闘伝Gガンダム
・外来種により侵食される生態系➡ガメラ2 レギオン襲来
・人間と怪獣の共闘➡VSスペゴジ、ガメラ2 レギオン襲来
・マグマの中から登場するラドン➡空の大怪獣ラドンにおけるラストの反転
・戦闘機パイロットを正面から捉えたショット➡空の大怪獣ラドン
・裏切りまくるラドン➡スタースクリーム
・瞳の表現➡VSシリーズ、FW
・海底古代都市&怪獣と共生➡対メガロのアトランティス?
・ギドラの引力光線➡飯塚定雄さんの光線まんま!
・ゴジラに力を分け与えるモスラ➡VSメカゴジラ、GMK
・怪獣を操るキングギドラ➡X星人、キラアク星人
・クモンガ!!
・臥して拝む怪獣達➡アニゴジ(笑)
・溶ける鉄塔➡初代
・怪獣DNA密売組織➡VSビオランテ
・チャンツィー姉妹➡小美人&三枝みきポジション
・どうみてもマーティンスコセッシな人いたね?
・南極での対立構図➡VSキングギドラ
・バーニングゴジラ➡VSデストロイア
・タッグ戦➡対ガイガン、FW
・科学者達が主役➡本多猪四郎イズム
■ゴング
今回は遂に「ゴジラのテーマ」が流れます。あれが初めて流れた瞬間意識が飛びかけましたが、更に素晴らしかったのがギドラとゴジラが対面してバトルに入る時にかかるシーン!ゴジラのテーマは怪獣プロレスのゴングであるのは勿論、人間が怪獣に立ち向かう時の音楽でもあるわけです。
モナークの戦闘機がギドラに攻撃をしかけ、ゴジラへと視点が移っていくのをワンカットで見せるあのシーンに乗せられたゴジラのテーマ…これに上がらないわけがない!!モンスターバース前作の「キングコング 髑髏島の巨神」でも怪獣と人間の共同戦線が大きな見せ場になっていましたが、それを最高の形で踏襲していましたね。
次回作「ゴジラVSコング」では是非に、キングコングを讃えるあの音楽を流してほしいね!
■ドハティ監督の作家性
今作の監督はマイケル・ドハティ。インタビュー等を読むと生粋のゴジラオタク…いやゴジラ教の信者としか思えない偏愛ぶりが垣間見えます。
こちらの記事から少し引用すると、
何にだって、どんな映画にだって、ゴジラを加えればより良くなると僕は思っている。想像してごらんよ、「スター・ウォーズ」にゴジラを足したら、やばいだろ? 「七人の侍」だってさらに良くなる。54年版の「ゴジラ」にゴジラを足したら、ゴジラがダブルで登場してさらにやばい。
映画人というのはやはりぶっ飛んでいますな(笑)。
そして、彼の作家性を如実に表すようなことも答えています。
――ゴジラの持つ“役割”は、各作品によって異なるように思えます。今回、どのような役割をゴジラに与えましたか。
ゴジラは、人類ではなく自然に対する守護者だ。人類が自然のルールに沿って生きている限りは、人類の味方になるだろう。一方で自然に敵対すれば、彼(ゴジラ)は自然の守護者であるため、人類とも敵対する。「ゴジラの役割が作品によって変化する」のではなく、人類の行動によって彼の行動が変わるのだと僕は考えている。そしてキングギドラが自然を脅かすのであれば、当然戦うことになるんだ。
ドハティ監督は今作以前の作品達でも似たようなテーマ「伝説には敬意を払え」ということをずっと貫いているように思えます。監督脚本を務めた前作「クランプス 魔物の儀式」ではクリスマスの伝統を蔑ろにした子供が一家まとめて酷い目に合う話でした。
クリーチャーデザインとオチが秀逸!
同じく監督脚本を務めた「トリック・オア・トリート」は、ハロウィーンの伝統を重んじない奴らが酷い目に合うオムニバス形式の映画。両作とも共通しているのは「伝説を馬鹿にすると痛い目に合う」「伝説を象徴する怪物が、罪を犯した者を罰する」という展開ですね。ここら辺はそのまんまキング・オブ・モンスターズの「地球を守護する怪獣達による文明破壊」に当てはめることが出来ます。
オムニバスです!という前提で観ような
監督ではありませんが「ルール」は都市伝説もの、「スーパーマンリターンズ」もスーパーマンという「軽視されつつある伝説」が再び威光を取り戻すような展開でしたので、やはり「伝説と人間の関係性」はドハティ監督ならではの要素と言えるでしょう。
こんなにモンスターバースにぴったりな方が他にいるでしょうか??これまでは割と低予算かつティーン向けの作品が多かったですが、ハリウッドの巨大マネー&本家本元の東宝と協力することによってそのイマジネーションとオタク・スピリットとやる気が大爆発した結果が「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」なんですねぇ。
■温故知新のゴジラ像
ゴジラというのは非常に多面的なキャラクターであり、時代や作り手の変化によって様々な存在へと変貌していきました。それらすべてを受け止め納得させるだけの存在感、許容性があるからこそ、今日までゴジラは世界中の人々に愛され(あるいは憎まれ)ています。
ならば今回のゴジラはどうなのか?ギャレゴジで示された「地球の守護神」「環境のバランサー」の路線を更に突き詰めたことで、まるで地球がそのまま怪獣化したような、「地球を守る怪獣王」となっています。これは「ゴジラ対ヘドラ」での環境破壊に怒りを燃やすゴジラや「ファイナルウォーズ」での「俺のシマを荒らす奴は許せねぇ!!」というゴジラに近いですね。(今作はやたらとヤンキーの抗争の様に見える場面が多い)
更に言えば、平成ガメラの立ち位置に非常に近い。特に「ガメラ2 レギオン襲来」とは「地球の生態系を破壊する外来種と戦う地球の守護神」というプロット含めてそっくりです。人を喰う怪獣達、主役怪獣により家族を殺された主役という面でも、やはり平成ガメラの影響を感じます。
つまりモンスターバースにおけるゴジラは過去の特撮作品で散々使われてきた要素の集まりであって、正直新鮮味は薄い。しかし、焦点を「実在した伝説=地球と人間の関係性」のみに絞り、歴史や伝承の構築によってリアリティを高め、ハリウッドのド迫力映像で魅せることによって、今まで誰も観たことがないゴジラ像を作り上げているわけです。(環境破壊によって目覚めた古の存在…正に初代ゴジラですね)
3作目にしてコメディ要素が強いキンゴジ。まぁ東宝特撮としてはここまでにかなりの作品を手掛けているので、シリアス一辺倒もどうなの?というテンションだったのかもしれんが。
■それでいいのか!人類よ!
散々絶賛してきましたが、ツッコみどころやおざなりな箇所も非常に多い映画です。むしろ、そうしてでも怪獣達をドンドン出してバンバン戦わせるという方向性に振り切っていると言えるのですが…。とにかく、楽観的で雑な展開が多い!
まずは誰もがツッコむであろう、オキシジェンデストロイヤー!初代ゴジラを倒した超兵器であり、悲劇の天才科学者芹沢博士が作り上げた「原水爆以上の脅威」である兵器と同じ名前だが、何の前振りもなく登場する!!3km圏内の生物を死滅させると説明されるが、どんな理屈なのかは全く分からない!キノコ雲っぽいのが上がるので爆弾やミサイルの類かと思われるが、何故か魚たちがプカプカ上がってくる…というかモナークの人達には何の影響もないのか!!!
個人的には単なる名前ネタで使うのは全然アリだが、それにしても捻りも何もないので面白くはない。アニゴジ前日談の小説「プロジェクトメカゴジラ」におけるオキシジェンデストロイヤーの扱いが非常に見事だったこともあり、今回の扱われ方には正直ガッカリだ。
次に放射能の問題。元々ゴジラは水爆大怪獣、歩く原子力発電所なので、ただ町を通り過ぎるだけでも大量の放射能をまき散らす。モンスターバースのゴジラもこれを踏襲しているはずだし台詞でも放射能について語られるのだが、あの世界では「被ばく」が無いとしか思えない程描写が緩い。
特に顕著なのは最終決戦で、ゴジラがとんでもない量の放射能をまき散らしている!というセリフの後に防護服も何も無しで地上へ降りていくモナークの面々。正気か!!!!
まぁ…日本のゴジラ作品においても放射能の危険性について言及し続けるのは「シン・ゴジラ」位なので、描写の緩さを責めるのはお門違いなのかもしれんが…。
楽観性が極まるのはエンドクレジット。ソイヤ!ソイヤ!と非常にノリのいいお祭り音楽が流れる中、怪獣が本格的に活動を始めたことで地球環境が回復してます!エネルギー問題も解決の見込み!!というニュース文言が次々と流される!
いや…今回の騒動で多分1000万人以上の人が死傷してるはずだし、そもそも怪獣は動くだけで被害をもたらす自然災害なので明るいニュースの裏でとんでもない数の人が死にインフラが崩壊しているはずなのに、そこを一切言わない!劇中で怪獣に襲われる直接的な恐怖等は何度も強調されていたが、それをぶっ飛ばすほどの怪獣崇拝ぶりだ。それでいいのか!人類よ!!
■〆
こんなに長い補足があるか(笑)?とにかく、日本が生んだ恐怖の象徴、多様性の象徴、人間の過ちの象徴…様々な姿を見せてきたゴジラの新時代が幕を開けたことは揺るがせない事実。このお祭りを是非映画館で体感して欲しい!!!!!!是非に!!!!!!
映画:ザ・バニシング -消失- ~君が選んだことだろ?~
こんにちは。光光太郎です。
厭な話、後味が悪い話ってのは非常に需要があるもので。私もかなり好きで色々観るし読むんですが、そんな思考を逆手に取られた、恐い恐い映画を観てきました。
というわけで今回は、1988年作品ながら今年日本初公開の
ザ・バニシング -消失-
の感想を書いていきたいと思います。ネタバレしまくるから注意だ!!!!!
■鑑賞後ツイート
「バニシング 消失」を観た…。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月22日
面白い……けど重い…。ジャンルとしては失踪ものなんだが、エンタメはほぼなしでじっくりと、とある思いに囚われた二人の男の物語を交互に描いていく。見た目は地味だが画面内情報量は盛りだくさんで、これぞ映画だなと。あとあの劇盤ね!
「バニシング 消失」
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月22日
なんの楽器を使っているのか分からない、何を奏でているのかが分からない、ただひたすらに不快な劇盤が堪らない。しかもここぞという時にしか流れない。
■失踪もの
今作はいわゆる「失踪もの」で、旅行中突然いなくなってしまった恋人サスキアを探すレックスと、彼女を連れ去ったと思われる男レイモンの両者の視点が交互に描かれていく構成になっています。
人がいなくなる映画は洋邦問わず多くあります。失踪の理由を追ったり、誘拐犯との交渉を見せ場にしたりと、焦点を変えることで様々なエンタメを生み出してきたジャンルです。
私の年代で失踪ものと言えばコレ!
では今作における「失踪もの」としての面白みは何か?
それは好奇心を逆手に取った構成でしょう。何故サスキアは誘拐されねばならなかったのか?どんな目にあったのか?よく言われることですが、謎を主眼に置く失踪ものはタネを明かされると途端に物語のテンションが落ちてしまいます。
これを見事に克服し、恐ろしくも熱い展開へと昇華させたのは「バニーレークは行方不明」「ゴーン・ガール」位だと思っていましたが、今作はこの2作とは全く異なる方策「ラスト数分前まで被害加害者共に『失踪』へ好奇心を持ち続ける」という大胆すぎる方法で、恐ろしいほど綺麗に物語を集約させます。失踪ものが全部こんなのばっかりだと辛いけども!!!
名作失踪サイコサスペンスミステリー
■強制的な感情移入
ちょっと目を離した隙に子供がいなくなっている、いつまで経ってもトイレから戻ってこない……先ほどまで一緒にいた人が突然いなくなってしまい慌てるというのは、誰もが幾度も経験したことがあるでしょう。この「いなくなった……?いない!やばい!」が序盤のクライマックスになるんですが、この描き方が非常に上手い。リアルすぎる。
例えば、買い物から帰ってこないサスキアを心配するレックスは一度彼女を探しに行こうとします。しかし離れている間に戻るかもしれない…どうしよう…よし、メモ書きを残せば安全だ!となり、メモをワイパーに挟んで探しに行く…。この心理、絶対誰もが経験あるはず。登場人物の心情を観客側が自らくみ取りにいくよう仕向けられているわけです。
ここまでくればもう、完全にレックスに感情移入してしまいます。サスキアが向かった店内へ行き聞きこみするも有力な情報は得られず、あまつさえ邪険に扱われる、「それがどうした?」位にしか対応されない。張り裂けそうなほど心配しているのに、夫婦喧嘩の延長としか見られない…事の重大さを他者と共有できない状況になっています。これも大なり小なり経験がありますね。しかもここでは音楽が流れず、周囲の雑踏が聞こえるのみ…ますます焦ります。
「失踪もの」序盤の醍醐味は、何が起こっているのか分からずただひたすら心配することだと思いますが、これを忠実に行っているわけです。そしてこれは、前述した通り観客の感情移入を容易にし映画へのめり込ませるためのテクニックでもあると。
しかしこの映画はレックス視点のみでいくというぬるま湯に浸らせてはくれません。なんとサスキアを誘拐したであろう犯人、レイモン視点の話が始まります。謎が明かされても更なる謎に引き込まれる、正にサイコパート。
何度観ても面白い、サイコサスペンスの決定版!
■犯罪者=探究者の心理
劇中でレイモンが犯人だと明確に告げられるのは後半だが、初見で犯人がレイモンであることは誰しもが分かるだろう。つまり今作は「誰が犯人か?」で引っ張る話ではないのだ。何故彼が「誘拐」という悪事を決行しようとしたのか?という理由を、時制を遡って探っていくのがレイモンパートだ。
前述(何回使ってんだ)の通り、彼には強い好奇心がある。実行する度胸、準備を重ねる慎重さ、努力を惜しまない姿勢…何よりも全てを楽しそうに行っているからこその愛嬌…こう言うと面白いキャラクターの様だが、その通り非常に魅力的な人物だ。良き家庭人として家族を支えているし、大学教諭としての職にも就いている。その好奇心が「究極の悪とは何か?」に向けられなければ、こんなことにはならなかったろう。
余談だが、人生最初に震え上がった「悪」は「ダークナイト」のジョーカー
感情移入を重視したレックスパートとは異なり、レイモンパートでは彼の心情に同調できる箇所はほぼ無い。しかしながら、その行為は実に魅力的に映る。トライ&エラーを重ね誘拐計画をブラッシュアップしているというのに。観客はレイモンという人間にどうしようもなく好奇心をそそられてしまうのだ。感情の赴くままに遊ぶ子供の様にも映るので、庇護欲をそそられもするだろう。一切感情を吐露させることなく、行動の積み重ねだけでここまで魅せる手腕に脱帽。
興味だけで人を殺すクソ野郎を魅力的に映してしまう…先ほどまでは被害者であるレックスに共感していたはずなのに…この感情のグラつきに気付いた時、もうこの映画が恐ろしくて面白くて仕方なった。感情移入をコントロールされる、これぞ映画だと。
というかね、何度も何度も繰り返される「ナンパシーン」がコミカルすぎるんだよ!!!笑うけど怖いわ!!!!!ジャケットのボタンを閉めるな!!!!!!
■欲望の結果を突きつける〆
綺麗に3分割された今作。失踪が起こるレックス視点、犯罪者の心理に迫るレイモン視点、そして2人が交差し対峙するラストパートだ。ここに至って観客は、自分の好奇心=こういう映画が観たい!という心理を逆手に取られ、2人の探究者の心情と完全にリンクする。彼らの破滅的行為、残虐行為の片棒を、観客は背負わされることになる。
だって、結末知りたいから!!この面白い映画のラストを観たいからさ!!!!だから、レックスには「コーヒー」を飲んでもらわないと「困る」んだよ!!!!!!!!
そして結末…敢えて詳細は書きませんが、サスキアとレックスに起こった事態に関してはあっさり風味。しかしその意味を考えると、彼らがどこにいるのか、レイモンの表情の意図を考えると…レイモンが導き出した「究極の悪」とは、家族を愛する自分自身を傷つけ続けることだったのかもしれません。
人間の業というものをシンプルにシンプルに突き詰めて描き切った、もうここまで来たら人間賛歌とも思えるような、奇怪な失踪ミステリでしたよ。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」公開前に、ゴジラの思い出を振り返る
こんにちは。光光太郎です。
5月31日に「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」が公開されます。
2014年のレジェンダリー版、ギャレス・エドワード監督「GODZILLA」の続編にして、モンスターユニバースの最新作。
アニゴジがありシンゴジがありレジェゴジがありと、ここ数年でゴジラ最新作が立て続けに発表されていますが、2014年以前は全く考えられなかった事態です。そもそも「巨大特撮」というジャンル自体が風前の灯火でした。いや〜本当に、本当にいい時代が来てくれた…!!生まれた時からゴジラを浴びてきた身としては、感無量ですよ。
いや、別にゴジラシリーズが最高絶対の映画シリーズである!とまで思っていません。ドラマが冗長だったり怪獣バトルが地味だったり過去映像使いまくりだったりと、色々タルい所も多い。しかし、ゴジラシリーズや東宝特撮映画にしかない魅力は確実に存在し、だからこそ20年以上も惹かれ続け観続けているんです。
という訳で今回は、私がゴジラ・コンテンツとどう関わってきたか?を綴っていければなと。回顧録。
- ◼幼少期 〜VSシリーズ〜
- ◼小学生低学年 〜白目からFWまで〜
- ◼中学から高校 〜昭和シリーズ掘る〜
- ◼大学 〜パシフィック・リム、そしてギャレゴジ〜
- ◼大学 〜シン・ゴジラという現象〜
- ◼社会人 〜アニゴジ戦争勃発〜
- ◼現在 〜新たなるゴジラへ〜
◼幼少期 〜VSシリーズ〜
父がゴジラシリーズを始めとした特撮作品好きで、幼稚園時代から色々見せてもらっていました。この時期に観たのは「ゴジラ(1954)」「ゴジラ対メカゴジラ」「ゴジラVSメカゴジラ」かな?これらか「ロッキー」か「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」が映画初体験だったはず。
この正方形のDVDだった!
まぁまだ昭和ゴジラによく出てくるガキよりもずっと年下だった私ですから、ゴジラを見せられても全く分からないわけです。父が隣で「核の脅威が…オキシジェンデストロイヤーが…怖いゴジラが…」と説明してたらしいんですが、幼稚園児が分かるわけない。
話のスピードが早い上に登場人物も台詞も多く(よく聞こえないし)、大胆な省略カットも多用されているので映像を追いかけるだけで精いっぱい。映画として真面目に、しっかりと観れるようになれたのは大学入ってからだったな…。
しかし、人間が全く太刀打ち出来ない存在であること、海の中で神秘的に科学的に死んでいくゴジラの姿は痛烈で、その不可思議さ、理解できなさがあるからこそ、当時にウルトラマンガイアやギンガマンを観ても初代ゴジラの印象が全く弱体化しなかったのだなと。
これはレーザーディスクですが、VHSも似たようなパッケージだったはず
何回も繰り返し観ていたのはVSメカゴジラ。レンタル落ちじゃないビデオがあったので、そりゃもう毎日の様にビデオデッキを回してましたよ。この頃は「ロボット、怪獣、ヒーローが出ないモノはクソ」というとんでもない偏屈野郎で。「怪獣と合体ロボが戦う」話はドストライク。家にメカゴジラのフィギュアがあったこともあり、メカゴジラVSタイムロボαとかを妄想しながら遊んでましたね。よく覚えているのは、無音で引きの画で演出されるラドンの登場シーンと、調査隊が岸壁にいる中で海から現れるゴジラのシーン。すげぇ怖い!!!!
「ゴジラ対メカゴジラ」は…とにかく首折りシーンばかり観てましたね(笑)。父が幾度も巻き戻して観てました。メカゴジラへの変身シーンも巻き戻してたかな?
こういった歪んだ英才教育を受けながら自分でもテレビマガジンの特集や図鑑等で自習を進め、小学校入学前には一端のゴジラ少年へ。ウルトラ怪獣やガメラ等についても勉強しましたが、やはり「怪獣王ゴジラ」は別格として認識してました。ヒーローかヒールか?には無頓着でしたかね。
あと特筆したいのはヘドラ。映像は観てなかったんですが、父から「最強の怪獣」として紹介され、どんな怪獣なんだ?どんな戦いなんだ?と必死になって調べてました。実際観てみたらとんでもない映画だったわけですが(笑)。
◼小学生低学年 〜白目からFWまで〜
知識を得れば、映画館で観てみたいと思うのがオタクの常。 2000ミレニアム、メガギラスに行きたい!と懇願するも叶わず。やっと行けたのは小学1年生になってから。2001年冬のこと。そう、「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」。
同時上映は「劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険」。ゴジハム君持ってたね。
このGMKは、初の1人映画体験でもありました。よりにもよってこれが初(笑)。
とにかく映画館で観たくて、母と妹が別な映画観てる間に私一人だけゴジラ。やたらリアリティーある映画が始まって戸惑う…というか、必死に食らいついて観てた気が。唯一覚えているのは、最後ゴジラの体をぶち破って潜航艇さつまが出てくるシーン。強烈なあおりで海から出てくるゴジラが非常に印象的でしたよ。
パンフレット買ってもらったんですが、怪獣解説よりもメイキング重視の内容で、なんでキングギドラに人が入ってるんだ?とか思いながら、不思議な本だなと思いながら読んでましたねぇ。
そして機龍2部作。これは父と一緒に行きました。ハム太郎では寝てましたね(笑)。
とんでもなくカッコいいポスター。メカゴジハム君。
「ゴジラ×メカゴジラ」、もう機龍にやられてしまいました。こんなにカッコいいロボット怪獣がいるのかと。間違いなく怪獣なんだけど、外部武装によって醸し出されるミリタリ感が最高なんですよ。あのケーブルとかね!武装一つ一つに漢字の武器名が振られてるのにも燃えた。
何より感動したのは病院を襲うゴジラを超スピードのタックルで吹っ飛ばすシーン!あの一瞬が今作の白眉だと思いますね。スピーディーかつ柔軟な戦闘を行う機龍とゴジラもカッコよい。
これには父も感動したらしく、えらくデカいフィギュアを買って飾ってましたね。
東京SOSの思い出はあんまり無いな…(笑)。アブソリュート・ゼロの代わりに三連メーサーが搭載された、って設定には熱くなりましたが。
SOS版の機龍はバックパック等の紺色がないのでヒロイックさに欠けるのよね
ここら辺で確かスカパーにてゴジラ特集が組まれ、過去のゴジラ作品(エメリッヒ版含め)をバンバン放映していたんですよ。そのCMにて初めて対ヘドラの映像を観た…衝撃でしたね。
落とし穴でヘドロを流し込まれてもがくゴジラ…最強怪獣であるはずのゴジラが蹂躙されるのは、自分の価値観や理想、夢等を全部ぶち壊された様なショックでした。映画を観たら更にショック、というよりわけが分からなかった(笑)。これも高校か大学辺りでようやっと理解できるようになりましたよ。
2004年、ゴジラ最終作と銘打たれた「ゴジラ ファイナルウォーズ」も勿論劇場に観に行きました。この映画が評判悪いってことはTwitterやるまで知りませんでしたよ(笑)。ゴジラ怪獣大集結!大興奮で行きました。CMで観たクモンガ・ジャイアントスイングが好きで好きで、よくマネしてました。
このポスターにワクワクしないわけがない
冒頭で語られる怪獣対人類の歴史、怪獣が世界各地に現れることを報告していく通信士、各都市を蹂躙する怪獣たち、満を持して登場する最強最速の怪獣ゴジラ!!非常に燃えるシーンの連続に手に汗握ってねぇ…。「怪獣総進撃」という前例があるものの、当時は観てなかったし、恐らく観ていたとしても、今作の方が面白い!と言ったでしょうね。
ファイナルウォーズはプロレス的な、ゴジラとあの怪獣が戦ったらどうなる?を短いスパンでドンドン見せていくわけですが、これに小学生の妄想脳は大変影響を受けまして。もう観た後は「俺が考えたファイナルウォーズ」を空想しまくりました。劇中でゴジラは南極から東京を目指すわけですが、北極からは地球の切り札として機龍が出撃し、各怪獣達と戦いながら東京へ突き進む…戦うのはビオランテ、スペースゴジラ、オルガ、メガギラス等、ゴジラと関りがある怪獣達。ジェットジャガーも一緒に戦うとかも考えてたかな(笑)。
ファイナルウォーズ以降、ゴジラ映画はギャレゴジまで作られず…。更に言えばウルトラマンシリーズもメビウスで終わり…怪獣コンテンツ冬の時代がやってくるわけです。巨大特撮はスーパー戦隊のみ…私も特撮よりかはロボットアニメ畑に移行していきました。
◼中学から高校 〜昭和シリーズ掘る〜
この時期ではもう殆どゴジラを観なくなっていて、年1、冬に行事として観る位でした。たまにスカパーでゴジラシリーズがやれば観る、父がDVD引っ張り出して来たら観る…それくらいでした。
その中でも、観ていなかった昭和シリーズをちょいちょい観ていましたね。ぼんやりと…。ここら辺は幼少期よりも記憶がないんですよ(笑)。本当にゴジラ冬の時代だった…。
いや、確かファイナルウォーズの前後辺りに、地元の美術館でゴジラ展がやってたな。劇中使用された模型やスーツが展示されてて、父と一緒に行った思い出があります。
◼大学 〜パシフィック・リム、そしてギャレゴジ〜
大学1年生、2013年。あの、映画史としても、特撮史としてもエポックメーキングとなる映画「パシフィック・リム」が公開されました。勿論劇場で鑑賞。冒頭の出撃シーンで涙を流し、香港決戦では興奮しすぎて死にそうになるなど、それはもう楽しみました。Twitter始めたのもここらからで、特撮史やデルトロを絡めた様々な感想、評論を漁りに漁ってましたなぁ…。
そして、ハリウッド版ゴジラ、ギャレス版ゴジラが公開されたのが2014年。ファイナルウォーズから10年。まさか、またゴジラを映画館で観ることが出来るとは!!人間を皆殺しにする怪獣王ゴジラを楽しみにしていた身としては、あの絶望的な予告に心底ワクワクしましたよ。
「ゴジラ(2014)」、色々言いたいことはあるけど、握りこぶしを作り目をひんむきながら観るという体験をさせてくれたので、自分の中では傑作でした。
— 光光太郎 (@bright_tarou) July 25, 2014
当時こんなこと言ってるけど、相当嬉しかったですよ。観てみたらVSものだったし、ゴジラは結局人間の味方っぽいし、想像とは全然違いましたけど。「タメにタメての熱線」やられたら、そりゃ燃えるに決まってる!!!!!!
7位『GODZILLA』
— 光光太郎 (@bright_tarou) December 28, 2014
ポイント「タメと熱線」
「我らがゴジラの大復活!!」より「ゴジラ対米国大怪獣!!」という文句がしっくりくる1本。巨大特撮独特の「タメ」演出が素晴らしく、特に放射熱線は心が震えた。日米共に新作が楽しみ!! pic.twitter.com/mzxuhKqIqF
この頃はシリーズ化が明言されていただろうか?モンスターユニバースやキングコング映画が発表されていただろうか?覚えていないが、間違いなく巨大特撮界隈は大いに盛り上がっていた。ウルトラマンギンガも始まったしね。
◼大学 〜シン・ゴジラという現象〜
そして2015年。満を持して 、日本でゴジラを作るぞ!という知らせがやってくる。
マジか!!!!!!!!!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) March 31, 2015
"@eigacom: [映画ニュース] 庵野秀明総監督×樋口真嗣監督で「ゴジラ」!強力タッグが実現、過去最大の体長を予定 http://t.co/MeTs0WUkEG #映画 #eiga pic.twitter.com/wJQ0cqYlww"
エヴァ×ゴジラ×進撃の巨人…凄まじいテロップだ…!ワクワクが止まらない!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) March 31, 2015
"@Legion_1996: 早速めざましテレビでゴジラ! pic.twitter.com/9NqpEYRUKx"
シン・ゴジラ凄いな…。エンターテイメント映画に徹していない感じが伝わってくるぞ…!
— 光光太郎 (@bright_tarou) December 9, 2015
この時期の特報を真面目に観るのは映画オタクか特撮オタクしかいないだろうし、この特報の路線はその筋にドンピシャだろうから、いいんじゃないかな…。
ゴジラってなんだ?怪獣ってなんだ?
— 光光太郎 (@bright_tarou) December 9, 2015
を、最強のオタク達が考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えぬいて産み出した、根源は共通だが全く新しいゴジラ像、ゴジラ映画が観られる予感…!
ここら辺で長めの予告が投下された。
シン・ゴジラ、ここ最近の「邦画クソ」というクソつまらない論争にNOを叩きつけたな。怪獣映画である以上に、一本の「日本の映画」としての豪華さを持っているし、これなら色んな客層を呼べそうだ!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) April 13, 2016
シン・ゴジラ、一番嬉しかったのはやっぱり「豪華キャストの超絶的な数」だなぁ。幕の内弁当レベル100みたいな豪華さと量のキャストが集結するぞ!ってことで、怪獣特撮ファンじゃない人を呼び込めるよ!!!
— 光光太郎 (@bright_tarou) April 13, 2016
好き者同士の馴れ合いでなく、圧倒的な力でねじ伏せる傑作を作るんだという意気込み。
とまぁ初報からのツイートを色々漁ったわけですが、実の所ここまで期待一辺倒でない空気もありました。正直手放しでほめられるゴジラ映画って殆どないし…手掛けるのがアルティメットオタクな庵野監督と樋口監督というのもあり、マニア向けで終わるのでは…?との心配も…。
シン・ゴジラ、例え内容が薄っぺらで抽象的だったとしても、大画面で怪獣が観れるだけでもお金を払う価値はありますよ。もしかしたら仮面ライダーとかの予告が観れるかもしれないしね。
— 光光太郎 (@bright_tarou) July 28, 2016
いやぁ不安がってますね…。そして、遂に公開。
「シン・ゴジラ」を観た。
— 光光太郎 (@bright_tarou) July 29, 2016
日本でしか作れない、最高の日本映画としての、最高のゴジラ映画。
シン・ゴジラ、怪獣映画という枠に、日本映画に、日本に、役者に甘えず、それらを信じきって作られた、滅茶苦茶誠実な映画だと思う。
— 光光太郎 (@bright_tarou) July 29, 2016
あまりの面白さ、その衝撃。今ゴジラ映画を作った意義。初回終わった後すぐに次の回のチケットを買ってました。その後は色んな友達と観まくり、1人でも観て、再上映でも観て…合計で8回位は観てるはず。それでも全く飽きないのは、映画鑑賞体験のデザインが余りにも見事だからでしょう。
ゴジラ映画が内容も批評もオタク受けもよかった。何よりも日本のマジョリティの興味を引き面白がらせることが出来た。SNSだけでなくマスコミでも取り上げられ、興行収入が80億円を超え(HEROや海猿よりも上)、日本アカデミー賞では10冠達成。
TVではウルトラマンも列伝枠から外れて単独作のオーブが作られたし、怪獣コンテンツは完全に蘇ったのだ!!!
前ブログで書いたシン・ゴジラ感想記事。長いよ!!
bright-tarou11253350.amebaownd.com
同じく前ブログで書いた、福島での展示会レポート。今では全国巡業してるとか。
◼社会人 〜アニゴジ戦争勃発〜
さて、シン・ゴジラ公開後、今度はゴジラをゴリゴリのSFとして、アニメでやるとの発表が。しかも脚本はあの虚淵玄。まどマギ、鎧武、サイコパス、楽園追放の虚淵玄となれば期待も一入ですよ。
虚淵玄は様々な作品において、ジャンル的お約束事に論理的視点を盛り込んできました。なので虚淵ゴジラは、ゴジラという存在を問い直し再定義化する作品になると予想していましたが、これはほぼその通りだったかと。
アニゴジ、もとい「GODZILLA 怪獣惑星」を観たのは社会人1年目の頃。
「GODZILLA 怪獣惑星」観た!
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 17, 2017
ゴジラとは何なのか?ゴジラを倒すにはどうすればいいのか?そもそもゴジラと戦うとはどういうことなのか?といった思考実験として超面白いけど映画として退屈だなぁ………と思っていたら!思っていたらですよ!!いやぁウロブチやりやがったな!最高です!
「GODZILLA 怪獣惑星」映画としては問題大アリだけど、小説含めてああいった世界観を描いてくれたことを評価しませんか……?
— 光光太郎 (@bright_tarou) November 19, 2017
本当にね…思考実験としてはとてつもない面白さなんですよ。数々の怪獣が出現した怪獣東宝特撮世界を、リアルな視点で語りなおしたらどうなるか?ゴジラや怪獣に負け続けた人類はどうなるのか?何故ゴジラは無敵なのか?正に虚淵節と言える、理屈積み重ね台詞のカタルシスに飲まれる、あの感覚。しかし、映像面でお遊びや革新性がほぼ無いってのが痛すぎるんですよね…。
この後、アニゴジは続編が発表され最終的には三部作となりました。え!?続編あるの!!??ってのをとんでもないネタバレフライヤーで知った方も多いのではないでしょうか。
2作目の決戦機動増殖都市、メカゴジラ編はアニゴジで一番好き。
決戦機動増殖都市、前作より断然好きですね。確かにダサいところもつまんねぇところも依然多いけど、怪獣を扱ったSFとして抜群に面白かった。今作のゴジラを経てのメカゴジラの解釈も素晴らしい。
— 光光太郎 (@bright_tarou) May 18, 2018
前作ではゴジラ抹殺=人の尊厳を奪い返すことだったが、今作ではこの構図が壊され、人であることを捨ててでもゴジラを殺すのか?と問われる。生態系を支配(生物が模倣、順応した?)して地球そのものと化したゴジラを倒すために自己進化を重ね、原形を留めない都市型へと変貌したメカゴジラもまた、その是非を問うている。
シン・ゴジラや東宝特撮の過去作品が「怪獣出現という事象にどう対応するか?」という問題解決型だったのに対し、アニゴジは「怪獣出現によるイデオロギーの変化」を扱っているのだろう。
3作目、最終章でキングギドラ。星を喰うもの。
いやこれは全然ダメですね…。1、2作目の悪点だった「つまらない会話シーン映像」が滅茶苦茶増えた上に「変化に乏しい戦闘シーン」も激増。論理的を超えて観念的になった問答の数々…全く擁護できませんね。明確な良点を挙げるならば、キングギドラの初登場シーンでしょうか。キングギドラが常識外の存在であることをこれ以上ないほどの論理的台詞の応酬と迫りくる「首」で示す…ここはアニゴジでも屈指の名シーンでしょう。あ、あとセックスの直喩もありましたね。最高!
そして当然と言うべきか、興行面では鳴かず飛ばず…。こちらのサイトのデータでは、2作目を合わせても興行収入が5億以下…。元々Netflix資本のアニメ作品として企画されていたものを劇場用にしたらしいので痛手はないのかもしれませんが…。
色々と文句を言ってきましたが、怪獣を巡る思考実験として無類の面白さがあるのは間違いありません。ゴジラ、メカゴジラ、キングギドラそれぞれが「何故強いのか?」という説明も過去作オマージュがふんだんに込められていますしね。
まぁでも前日談小説2冊の方が圧倒的に面白いけどね!!!!!!!
両作ともAmazonレビュー平均点が4.5!!!
東宝特撮映画ユニバース新解釈として、SF短編として、何よりも最強怪獣小説として、無類に面白い!!!!ここで描かれるゴジラはアニゴジ時のゴジラよりかなり小型のはずだが、間違いなく過去最強最悪のゴジラだ。世界各地で怪獣が出現する、ゴジラが神の如く強いなど、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の小説版と言っても過言ではない!!!
◼現在 〜新たなるゴジラへ〜
さて、長々と振り返ってきましたが、ここで〆にしましょう。
5月31日には「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」が公開。そして2020年には「ゴジラVSコング(仮)」が、2021年以降には日本産ゴジラ作品の公開も仄めかされています。
神格化された初代ゴジラ、キャラクターとしてエンタメに特化していった昭和ゴジラ、進化した特撮技術の粋を見せつけデザインの完成形を示したVSゴジラ、ifを見せていったミレニアムシリーズ、そして新時代を切り開いたハリウッドゴジラ、シンゴジ、アニゴジ。
キャラクター力の高さにより存在や解釈が多様化してきたゴジラは一種のメディアと化していると思います。ゴジラを用いて何を語るか?どんなエンタメを魅せるか?幅があるからこそハリウッドと被ることなく日本独自の色が出せる。ハリウッドがプロレスなら、日本はアニメでイデオロギーだ!残虐だ!絵本だ!小説だ!!
社会人として真っ当に金を貢げるようになった今、ゴジラが復活してくれるのは心の底から嬉しいですよ…!ゴジラの為に金をためろ!残業をしろ!出世しろ!そして湯水の様に金を出せ!!!!!
寛容になれ!!!!!!!!!!!!!!!!