映画:ブラックパンサー ~悩んで悩んで、変身!~
こんにちは。光光太郎です。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」3回観ましたが、その度に見返したいと思う作品が異なりますね。てなもんで今回は劇場鑑賞時以来の鑑賞となった
の感想をサクッと書きたい。エンドゲームの後にTVで観て、評価がかなり上がった。
※この記事にはエンドゲームのネタバレが含まれているので、未見の人は注意!!!
■感想ツイート
ブラックパンサー吹替で観てるけど、最高だな……エンドゲームを経て評価が爆上がりしている。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
ブラックパンサー、TVで観るとCG感が薄れるな。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
ブラックパンサー、吹替も素晴らしいんだけど、やはり原語で訛りを堪能すべき映画だわな。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
ブラックパンサー吹替、滅茶苦茶面白かった。公開時と比べて「どう見ればいいか?」が分かってたし「ヴィヴラニウム持ちすぎズルくね?」ってやっかみも無くなったし。なによりもインフィニティウォーやエンドゲームへ連なるテーマを素直に受け止められた。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
ブラックパンサー、面白かったんだけどやっぱり韓国編が面白すぎるんだよな……ワカンダ決戦は思想対決であって、アクションでの新鮮な見せ場は意外と少ない。
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
ガジェット紹介の楽しさや「変身!」のカタルシスを上回る感動が、終盤はあまりない。少なくとも、お話と映像がリンクしての見せ場はかなり目減りする。でもテーマは好きだしキルモンガーがカッコよすぎるのでよし!
— 光光太郎 (@bright_tarou) 2019年5月3日
■劇場鑑賞時のツイート
この時は「シェイプオブウォーター」→「ブラックパンサー」→「15時17分、パリ行き」の3本立てだったなぁ…。
「ブラックパンサー」
— 光光太郎 (@bright_tarou) March 1, 2018
頭のいい人が会議室で話し合って作った非常にお行儀のいい映画って印象。
「ブラックパンサー」
— 光光太郎 (@bright_tarou) March 1, 2018
基本的に会話劇や演説劇なので、物語と映像が結び付くカタルシスに乏しい。なのでやはり綺麗事が先行してしまう。これが本当にクリードを撮った人の演出なのか……。
■初の黒人ヒーロー、ブラックパンサー
マーベルコミックにブラックパンサーが登場したのは1966年。公民権運動の高まりに呼応するかの様に現れた、初のアフリカ系、黒人ヒーローだ。ファンタスティック・フォーの面々を1人で圧倒する戦闘力と知略を持つ、伝統と先進技術が融合した国家ワカンダの国王でもある。
彼の人気を皮切りにしてファルコンやルーク・ケイジといった、非白人系ヒーロー達が生まれていく。現マーベルコミックの多種多様な人種構成の発端は、ブラックパンサーであると言える。
ここら辺はHuluの「アメコミヒーロー大全」に詳しいので、是非観て欲しい。ブラックパンサーだけでなく、様々なヒーロー達の誕生と人気の変遷をアメリカ現代史と紐づけて語られていく傑作ドキュメンタリーだ。
黒人の方々を勇気づけてきたヒーロー、ブラックパンサーは昨年MCUに参上した。
しかしそこで描かれたのは差別に立ち向かうヒーローではなく、差別を無視してきた歴史に直面し苦悩する王の物語だった。ここにこそ、今作がブラックスプロイテーション映画を超えて、全世界で指示された要因があると思う。
■自国を守るか?他国を救うか?
ワカンダは地球最強の鉱石ヴィヴラニウムの鉱脈を有した超技術大国となっているが、他者による力の悪用を恐れて技術を秘匿し、対外的には農耕国家として振舞っている。ティチャラもまた国を守るため伝統に倣って秘匿主義を貫き、ワカンダの力を他国や難民の為に、他者の為に使おうとはしていません。
そこに異を唱えるのが、今作のヴィランであるキルモンガー。彼はアフリカ系や移民たち、今現在虐げられている人々を救うための侵略戦争にこそワカンダの力を使うべきだと主張する。侵略という手段を取っているのは全く賛同できませんが「他者を救う力があるのなら行使すべき」という主張には頷けます。また、彼の父親はワカンダの秘密を守るための犠牲として殺されていましたが、ワカンダへの復讐よりも「自分と同じ境遇にある者を救う」ことを選択をしています。キルモンガーは単に国を乗っ取る悪役ではなく、王としてティチャラと相対するヴィランなわけです。
伝統によって虐げられた存在、ワカンダが犯してきた罪の権化であるキルモンガー。彼は最終的にティチャラに敗れますが、その精神性は引き継がれ、ワカンダは国粋主義を辞めて国際社会に貢献することを決めます。
見て見ぬふりを辞め、他国と協調し貢献していく…インフィニティウォーの前作がブラックパンサーである理由がよく分かりますね。行き過ぎたナショナリズムを今のアメリカで描くという意義も凄いし、それを黒人国家で表現するのもチャレンジング。肌の色も人種も関係なく、思想による分断を行わず、力を提供し合って協力していく…エンドゲームを経たからこそ、このテーマの力強さが分かる様になりました。
ワカンダの協力がなければインフィニティウォーでの抵抗も出来なかった…
■面白さの7割を担う韓国シーケンス
まぁ難しい話はともかく、韓国までのシーン!韓国までのシーンが最高に面白いんですよ!ぶっちゃけここ以降、映像的に感動した場面はない!!(ツイートでも言った通り、思想対決になるので…それでも映像と思想とをリンクさせてほしかった…)
まずは準備。新スーツのお披露目が素晴らしいのは勿論のこと、あのナノテクスニーカーのセンスオブワンダーよ!ナノテクによる3D通信にもワクワク。ブラックパンサーは本当にガジェット周りが魅力的です。
んで、韓国でのチェイスシーン。正しく「変身!」というに相応しい、走りながらのスーツ装着からのバク転&着地のカッコよさ!!ここはストーリーも映像も動き始める場面なので、映画的高揚感も堪らないのです。また、妹であるシュリが遠隔操縦するレクサス(車もカッコよければ遠隔操縦装置も最高)の上に着地するので、まるでサイドキックとの共闘の様に見えるのも熱い。もうこのシーンを観れただけでもブラックパンサーは最高なのです。
そこからのカーチェイスシーンは韓国の夜景の美しさと車の美しさが相まって、思わず見惚れてしまう。ドレスを傍目かせて槍を構えるオコエに惚れろ!
サントラもいいねぇ
■不満点
基本的に楽しく観れた再鑑賞だったが、やはり劇場鑑賞時から抱いていた不満点は拭えない。
まずはテーマ的な部分。ワカンダは最後開国を選んだわけだが、正直あのヴィヴラニウム技術を他国へ提供するヴィジョンが全く分からなかった。SFレベルの超技術を際限なく提供してはそれこそ戦争の火種になるし、そもそも交渉時のパワーバランスも圧倒的にワカンダが上である以上、結局の所ワカンダの決定1つで地球の情勢が左右されてしまうことになるのではないか?「俺たちは超国家なんだぜ?」みたいなドヤ顔で終わるのではなく、技術提供の結果を1つでも見せて欲しかった。ここはインフィニティウォーを経ても解消されなかったな…。
次は映像面。前述した通り後半に行くにつれて映像的な見せ場は減っていく。キルモンガーとの決戦も暗くて見辛い鉱内が舞台だし、そもそもキルモンガースーツとブラックパンサースーツが非常に似ている(もともとどちらもティチャラ用に作られていた)ので肉弾戦をしていると更に分かりづらい。韓国では夜のシーンでも非常に見やすく作られていたのでより残念さが際立つ。
でもまぁ…変身!シーンが超カッコいいのでOK!!!!!!!!
■〆
そろそろ〆だ。
エンドゲーム以降もMCUの中核を担っていくであろうブラックパンサー。今後はワカンダと他国との交流、世界の問題に対してワカンダやブラックパンサーがどう向き合っていくかを観てみたい。MCUの中でも国家そのものを扱える物語なのだから。ソーはどっか行っちゃたからね(笑)。