映画:ロボコップ
最大の見所はED209が階段を降りれずあたふたして転がり落ちる場面だ。プログラムに沿って動くロボットとして、そしてキャラクターのロボットとしての可愛さがつまっている。ストップモーションアニメ特有のカクツキで更に愛嬌アップ。バイオレンスな本編の少ない癒しだ。手掛けたのはスター・ウォーズでも手腕を発揮したフィル・ティペット。
狭いなこりゃ、肩を内に入れてよっこいせと。よっしゃロボコップやったるぜおらぁ!!ん?足場がない?どれどれ、ほんとだないわ。うーんうーん探り探り、片足バランスで探り探り、、よっしゃーーついた!ついたぜ!おあああああ!!!!!起き上がれない!起き上がれない!バタバタバタバタ!!!(デカイ方のED209は日本公開時に来日したらしい)
ホントに何度観ても愛らしいシーンなんだけど、どんな場所でも移動でき犯人を逮捕出来るロボコップと、使い処が局所過ぎる上に殺すことしか出来ないED209の比較がさりげなく示されているんだよな。殺人ロボットED209は最後まで良いところなく、不憫さと可愛さを振り撒いてスクラップになった。合掌。
ロボコップ自体も魅力的なロボットだ。ほぼ全シーンでロボット的な動き、つまりここの関節が動いた後にここが動いて連動して更にここが動くという、動作の連続性を忠実に守っているので「こいつはロボットなんだ」と動き一発で分かる。
デザイン参考元が宇宙刑事ギャバンなのは有名だ。許諾をデザイナーの村上克司本人にとったなんて話もある。近未来の技術を用いたメタリックなスーツに身を包みどんな悪にも立ち向かうハードなヒーロー…これをビジュアル一発で理解させたのがギャバンの革新であり、これをロボコップも受け継いでいる。
書籍、超合金の男より宇宙刑事ギャバン
ロボットとして甦ったマーフィーが人間性を取り戻していく描写はほんと丁寧だ。銃弾の中無反応で突き進んでいた序盤とは対照的に後半では銃撃や打撃に痛がっているしね。
これ以外にも反復演出がてんこ盛りである。ドライバーでカメラを調整されたら同じくドライバーでマスクを外すし、記録されるんだから口滑らすなと言った本人が滑らせる。ロボコップがマーフィーであると分かる描写もガンプレイや車の運転、台詞等多様だ。最初と最後の死人も見事な対比。上手すぎる。
バイオレンスの見せ方もしっかり前振りとタメがあるから怖いし面白い。マーフィーが蜂の巣にされるのは単体でも恐ろしいしグロいが、この前にED209のやり過ぎな誤射があるので今作でのグロの基準が事前に刷り込まれているからこそ、突入からのシーンに緊張感が生まれ包囲されてから一気に怖くなる。
SFとして規模感を出すために使われているのがマットペインティング、つまり絵を合成することで実写だけでは表現出来ないスケールを作る方法だ。近未来の企業オムニ社の外観も、社内のエレベーターを映すシーンも、デトロイトの高層ビルもこの手法で描かれていたはず。
古本マーケットがあれば行ってみよう。古い映画のパンフレットが山ほどあったりするからね。