光光太郎の趣味部屋

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映画:ライトハウス

新作ですがネタバレしてます。ご注意。あと今作のパンフは文章ぎっちりなので読み応えたっぷりですよ。




ライトハウス、観た。
いやーー、まさか、鳥だったとは……ニューロティックホラーであり、怪奇映画であり……面白かった。監督の前作にしてデビュー作「ウィッチ」から更に削って削って本質だけをさらけ出したみたいな、、。ウィッチよりも前に温めていた企画だからかしら?どんな場所でもいかなるジャンル映画でも作れるという気合いを感じた。


孤島に二人だけの灯台守がじょじょに狂っていく話なんだけど序盤に人魚が出てきて、え!?そういう映画なの!?とビビったんだが、光輝く灯台や手入れされてる貯水槽の撮し方もどこかファンタジーより、なんならSFよりでワクワクを引っ張ってくれる。まぁ狂気で上塗りされていくけど。面白いのは、ウィンズローが狂っていく原因が人間関係なのか、超越的な存在なのか、アルコールなのかがハッキリしない、、むしろ全てが原因なんじゃないかと思えるところだ。


白黒とほぼ正方形(1.19:1)の画面サイズのせいで切り取られた異界という感じ。舞台は宿舎と灯台、狭い島の周囲だけなのに魅力的な画が100分続く。たまに入る海中や灯りの中がこれまた異界…禍々しい空間にちゃんと見える。だから、怪奇映画なんだよな。サイコホラーでもあるけどやはり伝統的な怪奇映画らしさがある。白黒、画面サイズ、そして古びた塔が舞台なら尚更だ。


なんと言っても灯台。なんであそこまで禍々しく、人知を越えた物のように撮せるのかね…特殊効果とか全く使ってないのに、人を惑わす幻惑の光にしか見えない。若干のちゃちさ含めた灯りのルックも、怪奇映画と呼びたい理由だ。


若造はロバート・パティンソンだったのか!全く気づかなかった!TENETでのセクシーさ若々しさカッコ良さはなく、弱々しげで情けないおっさんにしか見えない。あでもつなぎ姿のダンディさや寝巻き姿での色気はあったな。彼だと分かった上でもう一回観たいぜ!

対するウィレム・デフォーも素晴らしい。アクアマンの時の頼りがいある老人ではなくボリス・カーロフが魔の家で見せたような、怪奇映画の老人だ。長台詞を捲し上げるところも強権的な態度も、弱々しい見た目のじいさんとは思えないド迫力。多分実年齢と同じ位の役だろうに、90歳程に見える。


いやまさかヒッチコックの鳥っぽくなるとは……一羽だけのカモメがあんなに恐ろしく見えるとはね。カモメ達はCGじゃなく訓練された子達を使ってるらしい。恐ろしいシーンは色々ある。それこそカモメがドアップで鳴くとこも怖いんだが、最も恐ろしかったのは人魚の絶叫だ。モンスターとして描いた人魚があんなに怖いなんて…。