光光太郎の趣味部屋

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大映特撮の夏!映画:大魔神逆襲

大魔神シリーズ3作目にして最終作。強制労働させられている父親を救うため幼子たちが危険な魔神のお山を抜ける旅へ出る…というのがあらすじで、圧政に虐げられる場面は少なく悪役達の印象も薄いので古典的時代劇だったこれまでと比べ異色だ。「はじめてのおつかい」のように子供達の危なっかしい旅と泣かせる奮闘ぶりを応援するように観る感じか。そしてそれは、お山の魔神、大魔神の視点でもある。


今回の大魔神は1作目同様お山の魔神であるが、冒頭で起こした天変地異からも今回は山そのものが大魔神であるような演出が多いため、実質子供達と大魔神はずっと一緒にいるようなものだ。厳しい自然や悪人に襲われながらも健気に進む姿を見て、純粋な祈りを捧げられたら、それは立たなきゃ神様が廃ると。ほんとそんな感じに見える。シリーズで唯一自分に害が加えられていないにも関わらず動き出すしね。鷹は殺されてるけど、、


そんな親戚のおじちゃん、近所の気のいいおっさんみたいなムーブをかます大魔神だが、残酷さは1作目へ立ち返ってしまった。踏み潰す押し潰すといった直接的な殺しをバンバンした挙げ句、これまで抜かなかった剣を用いて刺し殺すまでする。襲うのは悪人のみではあるが、いかんせん悪描写が足りないし虐げも弱いので今回は特に悪人たちへ同情してしまう。


もうほんと大魔神版「はじめてのおつかい」以上に表現出来ない。これで観たい!と思ったのなら満足できるはず。そうでなくとも、山でのロケ撮影の美しさ、雪をまとい、風を纏って雪を吹き飛ばす大魔神の神々しさなど映像の見応えは充分だ。