光光太郎の趣味部屋

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映画:カサブランカ

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第2次世界大戦にアメリカが参戦する直前の作品。ヨーロッパからアメリカへ亡命するために訪れるのがカサブランカ。主人公リックは中立地帯としてのバーを経営している。そこへリックの昔の恋人であり一方的な別れを告げた彼女が旦那と共にやってくる。2人は亡命の手助けをリックへ求めるのだが……。ロシアによるウクライナ侵略が進む今観るのはタイムリー過ぎて辛かった。

当時の世界情勢が色濃く反映された作品であり、各国の思惑が中立地帯であるカサブランカ及びリックの店で様々に交錯していく。ここら辺はWikipediaにも詳しく載ってるし感想探せばいくらでも掘れるだろう。リアルタイムな政治ドラマとして面白いのは勿論だが、本作の最も面白いとこは至るところに込められた「粋」な台詞の数々だ。

ハンフリー・ボガート演じるリックは「粋」の第一人者であり、粋すぎてキザになるギリギリ手前を歩んでる。素直に感情や意見を言うのではなく、豊富な語彙力を用いて絶妙にはぐらかした表現で話すので全部の言葉に含みが出てしまっており、それを「粋」と感じてしまうのだ。そんな昔のことは覚えちゃいないな、そんな先のことは分からんよ、、なんて実際言われたら怒り心頭だが「孤立主義を気取って自分以外関心無いように振る舞っている」というリックのキャラクター表現にもなっている。

ただリック以外の登場人物達もストレートに感情を出すことは少ない。意図を見せつつも表現を変え巧みに懐へ迫り目的を達成しようとする…カサブランカでは素直さは命取りになるってのは、スリやボッタクリのとこでもよく分かる。だからこそ、ふとした箇所で噴出するストレートな表現に心うたれてしまうのだ。特にバーでの歌合戦は白眉だろう。金色のガッシュ!ファウード編序盤を思い出して笑ってしまったのは内緒。


特撮ホラー周りで嬉しい配役なのはリックの友人?である警察署長を演じるクロード・レインズだ。ユニバーサルの「透明人間」や「オペラ座の怪人」で主演をはっていた俳優で、本作でも抜群の存在感。彼とリックの軽妙なやり取りで事が始まり、そして終わる。ハンフリー・ボガート共々「粋」を見せ付けてくれる〆方が最高。