光光太郎の趣味部屋

Twitter感覚で趣味や心情、言いたいことをつらつらと。

映画:エスパイ

Amazonプライムで鑑賞。

小松左京原作の同名小説を実写化。超能力スパイ=エスパイ達が、同じ超能者達による秘密結社=逆エスパイの陰謀から世界を守る為に戦うという、血湧き肉踊る活劇を熱血ヒーロー藤岡弘主演で描く。他キャストも草刈正雄加山雄三若山富三郎とかなり豪華。

話はまんま、超能力を持った007。
衣装、特にスーツは本家007に負けず劣らずカッコよくて海外ロケも多いのでリッチな印象があるものの、華やかな街並みというより海外の田舎って趣のロケーションが多いのは何故なのか(笑)。東宝映画ではあるものの主演ロケの雰囲気特撮のテンションお色気色々含めて東映の匂いが濃い(笑)。


藤岡弘、がカッコいいのは勿論なんだが、正直これは草刈正雄の映画だろう。この映画の草刈正雄は抜群にカッコいい。特にスーツの着こなしが抜群でこのまま本家007に出れる程だろう。
逞しくて折れないヒーローである藤岡弘、に対して、線が細く甘いマスクで徐々に成長していく草刈正雄。並び立っても食い合うことなくお互いの魅力を更に引き上げるような両者であり、特撮に負けない「役者」の映画になっていた。


東宝特撮映画DVDコレクションにも収録されている様に本作は超能力特撮映画だ。念動力や透視、テレパシー等の特撮描写が見所で、出来るだけリアリティを感じられる超能力描写が目指されている。
例えば物を動かす念動力ではフワフワしたエフェクト等は一切なく、目への素早いクローズアップから眼球に動かしたい対象が映り、次のカットで物が動いたり人が吹っ飛んだりしている。エスパー能力に集中するあまり眼球そのものに対象物が映ってしまう、様にも見えるバランスだ。劇中で何度もやられるが映像のテンポが良すぎるからか全く飽きない。
この様に「もし本当に超能力があった場合、当人にとってはこういう感覚になるんだろう」というリアリティで描かれており、チープさで冷めるってのは無かった。ラスト手前の藤岡弘、のあれも、評判程悪くはないと思うな(笑)。テンポいいし。
特撮で言えば中盤の山脈を飛び抜ける飛行機シーンも素晴らしかった。ぶつかる!危ない!なんてとこはCG以降で何度も観てるが、それでも手に汗握るミニチュア特撮だった。


藤岡弘、草刈正雄、そして悪の親玉若山富三郎と主役クラスが勢揃いで各々のドラマに結構な尺を割いてる為散漫な印象もあるが、100分ちょいのスパイ活劇としては充分楽しめる。

映画:美しき生首の禍


Amazonプライムで鑑賞。


生体機能交換による不死の研究をしている学者が、交通事故(学者の自業自得)で死にかけた恋人の頭部を地下研究所で蘇生させる。首から下をも生き返らせるため体を探す学者だが、生首だけになった恋人は自分の身を呪い、死にたがっていた…。フランケンシュタイン系のホラーではかなり怖かった。哲学SFでもある。


生首になりながらも機械によって生かされている恋人のビジュアルが強烈。彼女は被害者なんだが生機融合体のような禍々しい姿は結構怖い。生首になっても最初は理性的だった恋人だが、段々と心までもが恐ろしく変化していってしまう。


どんな工夫をして面白くしているのか?拙いとこをどう隠しているのか?この面白さが低予算ホラーSFを見続ける理由だが、今作はそれが分かりやすく上手い。

生首を生かすための機械、それを動かす仕組みに金をつぎ込み舞台を限定させることでチープさはあまり感じなかった。引きで研究所全体も見せるが、生首を寄りで捉えて表情の演技をみせるシーンも多い。また本作を他のホラーと異なる次元へ押し上げているのは彼女の声だろう。 首から上だけで髪の毛もないが、それでも演技に惹き付けられる。もう1人実験の犠牲者がおりビジュアルも怖いのだが、最終的には生首だけの恋人の方が何倍も恐ろしかった。

映画:整形水

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イオンシネマ天童にて。予告のエグさにひかれたのと、ロシャオヘイセンキで始まったアジアアニメを盛り上げる流れに乗っかろうと思って観た。


見た目を自在に変えられる水という飛び道具はあるものの、外見重視社会を終始真面目に描いているサイコスリラーだった。ラストの展開もぶっとんでるようで現実のカリカチュアを遠慮せずやってるとも見える。沢城みゆきを堪能しまくるのにもピッタリ。

結局外見が全てなんだからメスを入れて美しくする…整形を扱ってはいるものの、社会が求める価値を自分は持っていないとコンプレックスを抱えてしまうのって普遍的で誰もが共感しやすい問題だと思う。

整形でコンプレックス改善するならやった方がいいと思ってたけど、むしろ自分を確立していないと改善は難しいんだなと気付いたよ。自分の評価を社会へ丸投げしていた場合満足は出来ないし、何よりも搾取構造に組み込まれてしまう危険がある。このカリカチュアが今作は抜群に上手くグロテスクだ。

見た目にコンプレックスを抱えた主人公だが心は優しい、なんてことはない。外見重視社会を妬み人生に絶望して親の脛を齧りまくり、コンビニで買った酒とお菓子を貪りながら誹謗中傷コメントを書きまくる主人公を好きになれるか?悲しい被害者ってだけにしないのにフェアさを感じる。

そう言えば親も脛を噛ってたし、エグすぎる脛を噛る描写もあったねぇ……一事が万事こんな風に、例えや風刺をそのまんま映像にした面白さが詰まってるね。

ルッキズム問題も勿論あるけど、社会や他者からの評価こそが自分の幸せであると思っている人の悲劇としてズシンときたね。他人事とは思えない。主人公は外見重視社会を叩き付けられ評価されないと思い込んでから努力を辞めてしまったが、自分もいつそうなるか分からない。いや、なってるかもしれない。

どんな小さなことでも、自分で自分を誉められる何かを見つけている人は強いよ。そもそも他者からの評価を幸せに結び付けていない人も強い。もし評価=幸せになってしまったら、評価を握る奴ら、評価アップの手段を握る奴らに人生捕らわれてしまうからね、、、

映画:BITE

BITE、観た!超絶大傑作!!

モンスター映画を傑作にする手段に「ジャンルにモンスターを加える」がある。痴話喧嘩のディセントが好例だが、今作も「神経症スリラー➕モンスター」として大成功。デルトロ並みに凝ったSFXも凄いが、真っ当なスリラーを手堅く構築しているからこそモンスターが活きる。

主人公のケイシーは結婚を控え、友人と独身最後の旅行へ赴くが「BITE」されてしまう(ここでタイトル出るのが最高)。帰国後結婚への不安から酷く落ち込むが、噛まれた傷口から変化が始まっていて…というあらすじ。ケイシーはモンスターへと変貌するが、それは追い込まれた精神の表出に見える。

モンスターが何かの比喩であることは恐怖表現に物語的な意味を持たせることになるので、驚かしのシーンだとしてもストーリー進行は止まらない。荒唐無稽展開になっても、切実な背景を持つ神経症スリラーであることは変わらないのだ。今作はモンスターでストーリーをテリング出来ている。

主人公が何故結婚に向けて悩んでいるのかの根本的な原因は分からないものの、要因は多数あるしそのどれもが共感しやすいから感情移入はそがれない。姑も無神経な彼氏もトコトン彼女を追い詰めていくし、友人の思わぬトラップが発覚したらもう止まらない(冒頭のビデオがいい伏線に)。

神経症スリラーを成立させる手順を手堅く抑えて、構成で面白がらせる工夫もある。撮影も安っぽくないし冒頭以外は殆どアパートだけで進行するのに画で退屈させない…。モンスター映画だからといい加減に撮るんじゃなく、映画で物語を語るのに必要なことを一つ一つ丁寧にやってるから、面白いんだ。

とここまでお膳立てしても肝心のモンスターや恐怖表現がダメじゃいかんのだが、これがデルトロ映画並みにディティールに拘ったもんで見応え抜群。ここまで「汚さ」に特化したのは「マンホール」位しか思い付かないが、あれよりもバイオよりの汚さというか、虫とか爬虫類の住処の汚さというか、、

モンスターも勿論凄いが(主人公役の人が特殊メイクで演じてるらしい。ガッツ。)何よりもあの部屋と卵よ。照明も相まって素晴らしい異空間に仕上がっていた。徹底的な汚し美術。VFXではなくSFXであることも好きだ。多分CGじゃないと思うんだけど、、生理的嫌悪感を煽りまくる。

白眉なのは主人公が怪物へと心理的に「変身」する瞬間だろう。ワンカットで、ただ振り向くという演技だけで、特殊メイクもほぼなしで見事に表現していた。ああいうのを見れるだけで特撮ものってのはいいんですよ~。(思い出したのは狂い咲きサンダーロードだけど)

人間がモンスターへと変貌するモノで最も抑えるべき、いやさ、何か決定的に変わってしまうという物語全般において、心が変わる瞬間てのはいっちゃん大切なんですよ。そこを分かってんだよこの監督は!素晴らしいぜ。

映画:死霊のえじき

U-NEXTにて吹替でみた。これだけレンタル屋になくて観てなかったんだよな。

ロメロゾンビ三部作の最終作だけど繋がりはほぼない。が、三作全てで「ゾンビ」というモンスターへのアプローチが異なるので続けてみると面白いだろう。今回はゾンビ達からある程度隔離されており襲われる危険性は前作よりも少ないものの、内輪揉めがパワーアップ。

学者、技術者、軍人と明確に組分けがされ、彼ら各々が自分優先の行動を取るので揉める揉める。でも殺しあっても現状を打開出来ないのは全員知ってるから膠着状態が続くが、そんなことお構い無しなマッドサイエンティストやメンタル不安定な人が引っ掻き回したりして、、これで1時間弱保つのが凄いぜ。

軍人は一番体を張り犠牲にもなるから命を守るのを最優先にする余り暴力的になる。技術者は絶対に必要であり殺されないことが分かってるので少し余裕があり立ち回るが、それ故に周りをイラつかせることもある。学者は合理的判断を下せるが、それを強く主張するので一番のストレスにもなってると。

学者のサラはメンタル強いし正論言うけど協調性があるとは言えない。軍人のローズ大尉は暴力統率者だが彼の怒りには納得できる理由があるし、何より弱さを感じるから(髪型のせいか?)悪人には見えない。ヘリパイロットのジョンは大人な立ち回りをするがトンデモ思想をかましたりする。肩入れ出来ない。

前作ゾンビでの暴走族は完全に悪玉として描かれてたけど、今回の3組は1作目の「全員正しくて間違ってる」の完成形に思える。全員にある程度正当性がある、つまりバランスが少しでも崩れれば破滅するので揉め事が続いても緊張感が阻害されないと。

唯一狂人なのはゾンビを家畜化する実験に取り組むローガン博士。人権全無視なマッドサイエンティストなんだけど、彼とバブの関係、及び実験結果は三部作通じて最も希望的な場面だったりもする。面白いバランスだわ、、

ただ、このバランスを崩すのがマッドサイエンティストではなく、メンタルやられた病人のちょっとしたミスってのはどうなんだろうな……今なら間違いなく問題になる要素だ。

映画:JUKAI 樹海

Amazonプライムにて。日本の青木ヶ原で行方不明になった妹を探しにいくという、外国映画とは思えない驚きのあらすじ。しかもゲリラ撮影なのかなんなのか、日本の街中を歩いているシーンもある。

タクシーの窓にいきなり張り付いてきた!怖!と思ったらホームレス風のおっちゃんだったり、暗闇から老婆が!と思ったら認知症気味のおばあちゃんだったり、、、絶妙な外しがいちいち日本ぽくていいな。

少なくとも退屈だとか観てて辛い箇所はない、紳士な神経症ホラーだったよ。日本描写もトンチキじゃなく、むしろ日本映画ですよ!と言っても通るくらい自然。オチはよく分かんないし幽霊とゴーストの違い云々は有耶無耶だけど、いいよ!

映画:クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦

ネトフリで鑑賞。

2時間ちかくある尺にビビったが、ガンアクションに怪獣映画に超人バトルとてんこ盛りなエンタメに全く飽きない。ゴジラ丹波哲郎まわりは子供には分からんだろ(笑)!

力入ってる作画はガンアクションと爆発。銃は造形も薬莢も凝ってるしマシンガン撃った後にハンドガン構えるとこまでしっかりやる。爆発はまるでスローモーションで捉えたかのようなヌルヌル作画で、あまり観たことないアニメーションだった。

あとビークルね。温泉Gメンが使うハマーも自衛隊の戦車も細部までデザインされていてアニメ用にデフォルメしてるようには全く見えない。ロボットも古きよき寸胴体型なものの近くに寄ったときは装甲の繋ぎ目等でびっしりとディテールが描き込まれてる。

しんちゃん映画初期シリーズ、日本でもディテールに拘った本格アクション映画をつくったるぜ!!!という気合いをビンビンに感じるな。あと洋画オマージュの数々。最近の路線とは全然違うから続けて観ても飽きずに楽しめる。