光光太郎の趣味部屋

Twitter感覚で趣味や心情、言いたいことをつらつらと。

2019年映画部門賞&ワースト3

こんにちは。

光光太郎です。

 

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さて、先日は2019年の新作映画ベスト10を書いたわけですが

bright-tarou.hatenablog.com

 今回はベスト10外のイチオシ作品、そしてワースト作品を挙げていこうかと思います。

 

それでは早速!!!オチは無い!!

 

 

 

ベスト変身!賞 「シャザム!」

シャザム!(吹替版)

 今年観た映画の中で一番いい「変身!」は「シャザム!」。掛け声と共に変身するのが日本ヒーローっぽくて親しみがあるし、跳んで変身!が何より堪らない。ジョーカー、アクアマン共に、今年のDC映画は当たり年ですよ!

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ベストロボット賞 「バンブルビー

バンブルビー (吹替版)

 ビートルから変形するナイスボーイ、バンブルビーが今年のベスト・ムービー・ロボット。何故ならば、変形ロボット玩具で遊んだ人ならば間違いなくやったであろう「変形を使ったバトル遊び」が満載だからだ。変形という玩具都合を戦術に組み込んだ数々のアクションは観やすいよう設計されているので、ベイ版の様に疲れることはない。実際のオモチャもいいぞ!

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ベストエッチ賞 「海獣の子供

海獣の子供【通常版】Blu-ray

 映画を観る楽しみの一つがエッチさだ。しかし露骨なエッチならFANZAにでも行けばいい。エッチだけどエロではない、そのバランスに挑戦している作品が好きだ。

ではこの「海獣の子供」はエッチに挑戦しているのか?それは否だと思うが、生命力溢れるアニメーションに何故かエッチ味を感じてしまう。煽情的とでもいうのだろうか…命が命であることがエッチさに繋がっているのか…。

 

 

 

 

ベストざまぁ賞 「キャプテン・マーベル

キャプテン・マーベル (吹替版)

 抑圧的なクソ野郎が追い詰められても尚勝手な理屈を押し付けてマウントを取ろうとする…瞬間に理屈を超えてぶっ飛ばす!あんなにも胸のすくシーンがあっただろうか。男だとか女だとか関係なく「ざまぁみろ!!!!!!!!!!!」と思える名シーンだろう。というかフォトンブラスト撃ちまくるキャプテン・マーベルが超カッコいい。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

ベストエンタメ賞 「プロメア」

『プロメア』(完全生産限定版) [Blu-ray]

起承転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転転結の凄みを観よ!アクション!ロボット!メカニック!声!アニメーション!!!キレのいいラスト!

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ベスト怖い賞 「ザ・バニシング -消失-」

ザ・バニシング-消失- [Blu-ray]

今年最も怖かった映画はこれ。新作ではないが映画館で鑑賞した。

 ゴア描写は無い、すごんで脅すシーンも無い。あるのは静かな狂気と「興味関心」という最悪の罠。ホラー映画を観に来た観客に対する「ざまぁ!」でもある。

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さて…

それでは…

ワースト3を書いていこうかと思う…。

 

 

 

 

 

 

ワースト3位 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」

スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム (字幕版)

フィルマークスで書いた感想が全て。

結局のところ、MCUや映画そのものの相対化というギミックの為だけに作られた映画であり、スパイダーマン=ピーター・パーカーの物語は殆ど進んでいないのだと思う。

私は、MCUには、本編よりもクリフハンガーの方が面白いような存在には、なって欲しくなかった…。

エンドゲーム後でもあり、大好きなホームカミングの続編でもありで期待度MAXで観たものの、劇中で示されたピーター・パーカーが乗り越えるべきものがほぼ解決されずになげっぱで終わるのが残念でならなかった。プロットもホームカミングと殆ど同じだし…。しかし何よりも、クリフハンガーが一番面白いと感じてしまったのが、何よりも残念だった…。トム・ホランドとデンゼイアとジェイク・ギレンホールは最高。

www.youtube.com

 

 

 

 

ワースト2位 「メリー・ポピンズ リターンズ」

メリー・ポピンズ リターンズ(オリジナル・サウンドトラック)(デラックス盤)

 楽曲はどれも良いと思うし、日本語で歌いあげられた曲も本当に良かった。レッドレーサーが歌ってるし…。正直途中までであれば名作と言っていたかもしれない。

しかし、ラストにおいて急転直下。メリーポピンズは教育者であり「メリー・ポピンズ」という作品は道徳的な作品でもあったと思うのだが、今作は結局「悪は絶対に救われない」とダメ押描写すらしている。この一点で、原点へのリスペクトに欠ける最悪なリメイクだと言わざるを得ない。

 

 

 

 

ワースト1位 「サムライマラソン

サムライマラソン

無。

オリンピック記念かと思いきや全く一般向けでなく、グロ描写をしたかと思えばギャグで落とす。群像劇であるものの群が交わらないし、役者の演技もかみ合わず好き勝手。マラソンもグダグダでスピード感はない。佐藤健の凄みだけが救い。これと比べれば3位2位はアルティメット大傑作です。

 

ていうかだれか観たのかこれ?????????????

 

2019年新作映画ベスト10

こんにちは。

光光太郎です。

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早いもので今年もあと4日、師走も師走でございますので今年観た新作映画のベスト10とワースト3をまとめてみようと思うわけで。

因みに旧作、ネトフリ新作含めての鑑賞回数は44回で昨年から11回減。仕事の激務や転勤も相まってあまり新作を観れなかったなぁ…。建値で観たとしたら81,700円、毎回ポップコーンセット買ったとしても118,800円!!

 

bright-tarou.hatenablog.com

 昨年のベスト10記事。

bright-tarou.hatenablog.com

 テン年代ベストも。

 

それでは早速行くぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

10位 「 HiGH&LOW THE WORST 

【チラシ付き、映画パンフレット】HiGH&LOW THE WORST 鬼邪高校ver.

 

 

田舎映画館でも上映していたハイロー。観たこと無かったのでHuluでドラマや映画を予習してから臨んだら…滅茶苦茶面白かった!!ザム(映画1作目)の段階で凄く出来のいいMOVIE大戦…つまり「キャラの掛け合いの妙」「カッコいい挿入歌+アクション」「いかしたバイクの撮り方」があるのだ。

んでもってこのザワ。キャスティングの段階で

志尊淳(トッキュウ1号)

山田裕貴(ゴーカイブルー)

塩野瑛久(キョウリュウグリーン)

とスーパーヒーロー大戦なわけだが、本家よりも「こちらを立ててあちらも立てる」が上手い。今回はハイロー世界の鬼邪高校とワースト世界の鳳仙高校とがクロスオーバーするわけだが、そのどちらもが噛ませ犬になること無く、またメインキャラ全員に見せ場が用意されているのだ。ラスボス戦があまりにも薄味だが、アイデアとキレが堪らない戦闘シーンと、何よりも「行くぞてめぇら駆けっこ」が最高すぎる!轟最高!!

 

 

9位 「マリッジ・ストーリー」

www.netflix.com

 映画館ではなくTVで鑑賞。小さい画面で、内容もほぼ会話劇で派手な見せ場も皆無なのに、全く目が離せなかった。メインキャストはアダム・ドライヴァースカーレット・ヨハンソンとどちらもブロックバスター映画シリーズに出演しているヒーロー役者だが、今回は肉体アクションではなく口撃アクション演技バトルで役者力を見せる魅せる。

本当に地味な作品なんだが、だからこそ演出や編集、演技の一つ一つの巧みさが分かる。爆発と殺人と殴り合いがなくとも、興味関心を引っ張り続けることは出来るのだ。

面白ポイントを挙げるなら、おもちゃ使いだろうか。エメゴジや遊戯王カードなど一目見るだけで分かるものだけでなく様々なものが出てくるので必見。

 

 

8位 「天気の子」

天気の子 complete version (通常盤)

 

8位は新海誠作品。 「君の名は。」の時は散々悩んだが、今回は「間違ってもいい若者が突っ走る話」「大丈夫と言えるまでの話」として非常に分かりやすかった。私は今をもっても主人公の帆高君が大嫌いなんだが「グランドエスケープ」シーケンスを思い返すと涙が溢れてくる。現実の水害が半端じゃないものになってしまったのでTV放映は難しいかもしれないが、是非やって欲しい。

www.youtube.com

ヒナタカさんと話したぜ!

 

 

7位 「ブラック・クランズマン」

ブラック・クランズマン (字幕版)

 

ここでもアダム・ドライヴァー。黒人警察官がKKKに潜入捜査という、絶対に面白くなる筋書きではあるが(しかも実話!)そこに映画史や役者の熱意、潜入ものエンタメを交えることで、非常に熱い魂が現出している作品となっている。差別問題を意識高い系で捉えるのではなく、自分の魂を見せつけ観客へ人差し指を突きつける…熱いとしか言えない作品だ。

www.tbsradio.jp

激熱な書き起こし。

 

 

 

6位「アクアマン」

アクアマン(字幕版)

平成ライダーの楽しみ方に最も近いかもしれないDCヒーロー映画。とにもかくにもカッコいい見得切りが大量にあるのだから、ヒーロー好きとしては堪らないエンタメだ。アクアマンを演じるジェイソン・モモアの「ワイルドでセクシーで気さくなおっちゃん」というキャラクターは発明かもしれない。原作では見た目が全然違うらしいし…。

 

 

5位「クリード 炎の宿敵」

クリード 炎の宿敵(吹替版)

 

新時代のロッキー作品、クリードの続編。今年一番泣いたかもしれない。人生という戦いはこれからも続くのだ…。

 

 

4位「見えない目撃者」

見えない目撃者 [DVD]

 転勤後、映画館で初めて観た映画であり、久々に号泣した「ヒーロー映画」だ。強力かつ簡単に拡がっていく悪、脆いものの確実に継承されていく正義。良い行いを目指すべき価値が描かれている、正しくヒーローの映画だろう。無茶苦茶カッコいいシーンもあるエンタメ映画でもあるぞ!

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 感想も書いたぜ!

 

 

3位「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(字幕版)

 最高最強最凶のオタク映画。ハリウッド大作で、怪獣バトルをやって、あの音楽が流れる!ゴジラファン、特に平成ゴジラを観続けてきた身としては本当に卒倒しかける様なシーンが目白押しだった…。人間側のどうでもいいストーリーはともかく、怪獣達の驚天動地のバトルを、伏して拝むのだ!!!!!

bright-tarou.hatenablog.com

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2位「スパイダーマン:スパイダーバース」

スパイダーマン:スパイダーバース (吹替版)

ゴジラも好きだが、スパイダーマンも大好きだ。

 映画においてスパイダーマンの物語が語られるのは何度目だろうか。しかしこれはピーター・パーカーではなくマイルズ・モラレス。新時代のスパイダーマンの物語だ。スパイダーマンとはなんなのか?特殊能力を持つ人か?責任に立ち向かえる人か?いや、悲しみに共感でき、悲しみから立ち上がれる人がスパイダーマンなのだ。

お話だけでなく、アニメーションもとんでもない。字幕で観ると間違いなく疲れるので、最初は吹替をお勧めしたい。

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1位「アベンジャーズ/エンドゲーム」

アベンジャーズ/エンドゲーム(吹替版)

 

特別枠にしようとも思ったが、質でも思い入れも映画館体験としてもぶっちぎりなので、やはり今年の1位は「アベンジャーズ/エンドゲーム」だ。

公開初日初回の仙台TOHO、満員。公開初日最後の仙台TOHO、満員。恐らく東北中のMCUファンが集まったのだろう。ロビーでの熱気、上映中の反応、上映後の語らい…あんなにも「好き」が集まった空間があっただろうか…。

公開初日、早朝上映終わりにヒナタカさんと語り、レイトショー終わりに友人と一緒に語り…その後も何回か観に行ったが、やはりいつ観ても劇場の空気は熱かったし、追悼シーンでは嗚咽が漏れていた。

アイアンマンから数えて足かけ10年以上、世界と共に、ファンの人生と共に歩んできたMCUがひとまず完結。これに立ち会えたことが、今年何よりも嬉しいことだったと思う。1位!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

bright-tarou.hatenablog.com

 

 

さてそれでは順位の振り返り。

  1. アベンジャーズ/エンドゲーム
  2. スパイダーマン:スパイダーバース
  3. ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
  4. 見えない目撃者
  5. クリード 炎の宿敵
  6. アクアマン
  7. ブラック・クランズマン
  8. 天気の子
  9. マリッジ・ストーリー
  10. HiGH&LOW THE WORST

 

邦画3つ洋画7つ。

シリーズもの6つ。

アニメが2つ。

 

今年は映画界が滅茶苦茶盛り上がる機会が何度もあったし、マジョリティ層に受ける作品も多かった1年だった。来年も趣味を楽しんでいきたいですな!!

映画:フラッシュダンス ~自分らしくあること~

こんにちは。

光光太郎です。

 

今回は1983年の青春映画「フラッシュダンス」の感想。

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Netflixで見かけ何の気なしに再生し、作業しながら観ていた。メジャーすぎる曲の連続で半笑いを浮かべていたが、最後には号泣してしまった…。なんたって、ダンス版さわやか版青春版の「ロッキー」なのだから。

主人公は、ダンサーになる夢を抱き努力をしつつも前に踏み出せない女性アレックス。そんな彼女が友人達の夢や挫折を目撃し、真に自分らしくある為にオーディションへ挑戦する…というのが大体のあらすじ。

 

 

とにもかくにも打ちのめされたのは「思いの発露」の場面だ。

自分を抑えまくっている生活を続けていると、抑え付けても溢れてしまう感情を精いっぱい表現するシーンにはどうしたって心動かされてしまう。今作のダンスシーンは正にこれなのだ。

冒頭、TVに映るバレェを観ていたアレックスは、思わず踊りをマネしてしまう。憧れを目撃し、心躍れば練習せずにはいられない…体を通して自分を表現せずにはいられない。ここで流れるのが「マニアック」!

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「踊らずにはいられない!」アレックスが自分へ正直になりとことん自己表現するこのシーンにもうやられてしまった。決してお尻にやられたわけではない。

学校教育にダンスが導入されて久しいが、自己表現としてのダンスを体験できるのは素晴らしい経験だと思う。是非授業前には今作や「グレイテストショーマン」を観て欲しい。

dews365.com

 

しかし、どんな時も自分らしくいるのは難しい。

アレックスは踊りまくって上がったテンションそのままにバレェ団のオーディションを受けに行くものの、周囲とのあまりの違いに怖気づき受付もせずに帰ってしまう。途中で恋人に指摘されるが、彼女は結局言い訳をして挑戦しないだけなのだ。年の離れた友人も、職場の先輩も、誰もが彼女に「それは言い訳だ」と言い放つ。何故なら、彼らは決定的な挫折をしてしまい、今や夢を抱くことしか出来ないからだ。それもまた「自分らしくあること」かもしれないが、アレックスは「自分らしくあること」と「夢の実現」をクロスさせるチャンスを目前にしながらも踏み出さないでいる上にあまつさえ責任転嫁しムダにしようとしている。そんな姿を目にしたら、言葉をかけずにはいられないではないか…。

 

努力し挑戦するも挫折するしかなかった友人たちの人生を受け、彼女は遂にオーディションへ挑戦する…ここでかかるのが「What A Feeling」!!ここまでのドラマが全て集約する!!!

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ダンスは自己表現…彼女は自分の全てを出し切る創作ダンスを見せる。

バレェへの憧れを胸に培ってきたしなやかなダンスだけでなく、ナイトステージで磨き上げたアップテンポのフットワークやストリートで目撃した所作やブレイクダンスなど、これまでのドラマが全て集約されたダンスになっている。何よりも伝わるのは、踊っているこの瞬間が何よりも楽しい!という気持ちだろう。

自分を抑えた生活が続く中でこんなの見せられたら、泣くしかない。自分が自分らしくあれる喜びが溢れまくっているシーンなのだから…。

 

 

振り返ってみてもやはり「ロッキー」の影響は無視できない。ロッキー達に比べれば100倍さわやかな登場人物達だしどん詰まり感も無いが、挫折とチャンスに纏わる話であること、基本の人間ドラマをしっかり描きそれを終盤の体技に集約させることなど、似ている面は多い。ただストップモーションで終わるのまで一緒なのはやりすぎな気がする(笑)。

 

色々書いてきたが、ダンスシーンは見ごたえあるし音楽はどれも最高だししずる感が溢れ陰影ばっちり決まった映像はカッコいいし尺も短いしで、気軽に楽しむにはもってこいの一作だ。吹替もいいよ!!

 

www.youtube.com

 

おしまい。

光光太郎の映画テン年代ベストテン

こんにちは。

光光太郎です。

 

先日Twitterを眺めていると尊敬するブロガーの方がこんな記事を書かれていた。

www.jigowatt121.com

2010年代があと1ヶ月ちょいで終わる…2000年代の終わりには思いを馳せなかったが流石にこの10年は、中学から就職までは濃密だった。人生が形成された時期と言っても過言ではない。そして、映画を趣味にしたのもこの10年である。

つまり「映画テン年代ベストテン」を考えるのは自分の実人生と趣味人生を考えるのと同義なのでは…なんて重さは抜きにして、この企画に乗ってみるっきゃないでしょと!

 

そんなわけで、ワッシュさん発案のベストテン企画、やってみるぜ!

washburn1975.hatenablog.com

 

 

第10位「仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!」(2012年日、坂本浩一監督)

仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!

 

高校3年の夏に地元の映画館で観て「泣く」初体験をした作品だ。

仮面ライダーの夏映画は本編の総決算的な内容が多い。今作は正に、仮面ライダーフォーゼが1年間何をしてきたのか?を示し切っているだろう。ダチはダチを呼ぶ、ヒーローはヒーローを作る。恩返し構造は前作の「運命のガイアメモリ」でもあったし映画館でも観たが、私は今作の徹底ぶりにこそ初めて涙を流した。というか神保悟志の「分かった」というセリフで号泣した。これ以降涙もろくなったなぁ…。

 

 

第9位「スポットライト 世紀のスクープ」(2015年米、トム・マッカーシー監督)

スポットライト 世紀のスクープ (字幕版)

 

何度も観返してるわけじゃないのだが、挫けそうな時はいつも今作を思い出す。正しいことをする難しさ、それでも貫くべき意義。それを実話ベースでじっくりと、それでいてエンタメ性たっぷりに描く。

 ただ面白く正しく勇気を与えるだけでなく「ちゃんと情報を受け取れよ」という鋭い指摘もしてくる。やはり、どうしても忘れられない映画だ。

 

 

第8位「パシフィック・リム」 (2013年米、ギレルモ・デル・トロ監督)

パシフィック・リム(吹替版)

 

やはりテン年代でパシリムは外せない。

今でこそ怪獣やロボットが大スクリーンで大手を振るって登場するが、それはパシリムがあってこそだ。巨大(ここ重要)ロボットが巨大怪獣と接近戦をする!地に足付けて雨の中殴り合う!これを最大限盛り上げるための数々の「タメ」演出。更に地盤を固める分かりすぎた美術デザインの数々。海外監督の計算高さと熱い思いにうたれ最強の吹替陣を用意した日本ワーナー。そしてそれに応えまくったファン達…パシリム以降「ファンが作品を支える」流れが一気に活発化したと思う。

4DX初体験は今作だったか…大学の教授が何人か観に来ていたのを覚えている。大学のスクリーン使って上映会もしたなぁ…。

テン年代とは、巨大特撮の氷河期が全世界規模で終結した年代であり、その口火を開いたのが「パシフィック・リム」なのだ。どう考えても、そうなのだ。だろう?

 

 

第7位「アメイジングスパイダーマン2」(2014年米、マーク・ウェブ監督)

アメイジング・スパイダーマン2 (字幕版)

 

初鑑賞時に怒り狂ったのを覚えている。こんな詐欺宣伝があるかと!全然3人ヴィランじゃねぇじゃん!!!!とね。駄作だと思った。元々「アメイジングスパイダーマン」も好きじゃなかったし…。

しかし大学の先輩からBlu-rayを借りて観なおしたら冒頭から号泣してしまい、それ以降何度も観返している、大傑作だ。この間その先輩と一緒に友人宅へ泊った時には「ちょっとだけだから…」と言いつつ2時間30分近くある今作を全部観ていた。

何故こんな手のひら返しをしたかというと、アメスパ1、2を通しての「因果応報」と「ままならなさ」そして「ヒーローの意義」というテーマに、ラストに流れるあの音楽に心底胸を打たれたから。今では「スパイダーマン2」と同じくらい好き。

これ以降ずっとアンドリュー・ガーフィールドを応援してます。「ハクソー・リッジ」もいいよ!

 

 

第6位「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年米、ライアン・クーグラー監督)

クリード/チャンプを継ぐ男 (吹替版)

 

これも思い出深い作品だ。

幼い頃から父親にロッキーシリーズやランボーシリーズを観させられてきたが、 良さが分かったのは大学に入ってから。「ロッキー・ザ・ファイナル」でロッキーが息子に語る言葉に泣いた。父母の前でね。

そして映画館で今作を観て、Blu-ray発売されてから父と一緒に観た。前述したように父はロッキーに思い入れが滅茶苦茶あるし、近年のリメイクや続編にはあまり関心がないので正直不安だったが、観終わった後に「いい映画だったな」と一言。嬉しかった。「クリード 炎の宿敵」を一緒に観た時も同じことを言っていた。

bright-tarou11253350.amebaownd.com

前のブログで書いた感想。いつか引っ越しさせよう!

 

 

第5位「君の名は。」(2016年日、新海誠監督)

君の名は。

間違いなく内容について一番考えた作品だ。

初見では全く意味が分からなかったし震災後にこの内容はどうなんだと憤りもあったが、何故か嫌いになれなかった。その後2か月に渡って「何故この映画はこういう内容なのか?」を考え、再鑑賞した際には泣いてしまった。それ以来劇場でも何度も観て、Blu-rayでもずっと観ている。作品として面白いのは勿論だが「映画を考える」ことの面白さ満足度がずば抜けて高かった。

あと、今作の楽曲や感想を共通言語として、映画をあまり観ない色んな人とコミュニケーションとれたのも思い出深い。映画はコミュニケーションツールになる!映画を趣味にして本当に良かった。

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第4位「若おかみは小学生!」(2018年日、高坂希太郎監督)

若おかみは小学生!

 

人生で初めて「布教用」としてBlu-rayを買った作品。

当初は絶対に観ないと思っていたがあまりの評判故に観てみたらやられた、というオーソドックスな体験をした。公開終了直前に観て、親子連れのお母さんが鼻をすすっていたのをよく覚えている。私も子供が頑張る系の話には弱い。トッキュウジャーのOP聴くと今も泣く。

今作は、考え方一つで人は前を向ける、という話だと思う。映画や本、アニメ、特撮ドラマは様々な「考え方」を提示する…子供達に向けた作品ならば猶更だ。作り話が存在する意義を描いた映画とも言えるかも。思えばテン年代は「フィクション」と向かい合い続けてきた10年間だった…。

 

 

第3位「映画 HUGっと!プリキュアふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」(2018年日、 宮本浩史監督)

映画HUGっと! プリキュア?ふたりはプリキュア~オールスターズメモリーズ~Blu-ray

 

今を生きる子供達に、プリキュアをかつて観ていた人たちへのメッセージに一分の隙も無い、本当に優しい映画だ。

テン年代SNSの発達により実に様々な意見が世に出るようになったし、社会の暗部も目立つようになった。家族形態も特殊化した。色んな問題が常に身の回りに表示され続けるようになり、自己肯定感が低くならざるを得ない状況にあると思う。

そんな中で「思い出は力になる」「どうあっても自分は自分」「未来は白紙だからいくらでも良く出来る」という、過去と現在と未来の全てを肯定するメッセージを巧みな構成で見せた今作は、前述した通り優しい映画だ。

自分がテン年代の中で培ってきた「結局今踏ん張るしかない」というモットーにもドスンとハマるテーマだったので、観てからしばらくは思い返し泣きが止まらなかった。仕事中も何度も泣いたな…。

 

 

第2位「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年米、 アンソニー・ルッソジョー・ルッソ監督)

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (字幕版)

 

MCUの中で選ぶなら、一番好きなこれ。MCUを本格的に追う切っ掛けであり、映画にのめり込んでいく切っ掛けでもある。エンドゲーム劇場鑑賞時のあの感動も、今作を観ないと得られなかった。

キャップのカッコよさ、サスペンスフルな展開、超人過ぎないが故にスリリングなバトル、ユーモアのセンス、超カッコいいモダンなエンドクレジット…何もかもが完璧な作品だが「支配された安全と困難な自由」という鋭すぎるテーマを突きつけてもいる。会社におんぶに抱っこでいる現状はヒドラに支配されているのと変わりないのではないか?と自問自答する機会も増えた…。それでもやはり、踏ん張るしかないんだろう。

 

 

第1位「シン・ゴジラ」(2016年日、庵野秀明総監督、樋口真嗣監督)

シン・ゴジラ

面白さ、人生、趣味…全てにおいて自分のテン年代トップに立つのは「シン・ゴジラ」以外ありえない。

面白すぎて衝動的に続けて2回目を観たのは今作だけだし、人生においても絶対に欠かせない作品だし、映画や特撮やTwitterといった自分を取り巻く趣味の盛り上がりにおいてもテン年代でトップクラスだった。今となっては結構しんどい記憶も付いて回るのだが…(笑)。

 

初めてやったアルバイトで貯めた金をシン・ゴジラ周りのグッズにつぎ込んだ。友達と一緒に何度も観た。初IMAX体験は今作だった。頑張って書いたブログ記事が大勢の方に読まれた。本当に、映画単体以上の存在になっている。 

まぁ何よりも、テン年代でぶっちぎりに面白い邦画でもあるってことですよ。

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bright-tarou.hatenablog.com

bright-tarou11253350.amebaownd.com

 

 

さて、それでは順位を振り返ってみる。

  1. シン・ゴジラ(2016年日、庵野秀明総監督、樋口真嗣監督)
  2. キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014年米、 アンソニー・ルッソジョー・ルッソ監督)
  3. 映画 HUGっと!プリキュアふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ(2018年日、 宮本浩史監督)
  4. 若おかみは小学生!(2018年日、高坂希太郎監督)
  5. 君の名は。(2016年日、新海誠監督)
  6. クリード チャンプを継ぐ男(2015年米、ライアン・クーグラー監督)
  7. アメイジングスパイダーマン2(2014年米、マーク・ウェブ監督)
  8. パシフィック・リム(2013年米、ギレルモ・デル・トロ監督)
  9. スポットライト 世紀のスクープ(2015年米、トム・マッカーシー監督)
  10. 仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!(2012年日、坂本浩一監督)

 

高校時代1本、大学時代7本、社会人時代2本と、大多数が大学生の頃に観た作品となった。人格形成においても趣味においてもやっぱり大学時代が一番影響が強いなぁと。邦画と洋画は丁度半々。まぁ邦画は殆どアニメだけど(笑)。

10本の共通点を探すと、やはり「ヒーロー」や「正しさ」「今」なのだと思う。これらを考え続け、支えにして、色んな場面を乗り越えてきた10年間だった。乗り越えるだけで目指すべきものが中々見えないが、まぁ「いい人」になる為に次の10年も頑張ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、シリーズでいえば間違いなく「MCU」が映画テン年代を代表することになるでしょうね!!!!!!!!

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おわり。

映画:見えない目撃者 ~善と悪の継承~

こんにちは。

光光太郎です。

 

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引っ越して間もない頃、近場の映画館で観た1作の邦画。久しぶりの映画館での鑑賞だった。「サバイバル・ファミリー」の時もそうだが、久々に映画館へ行くと心に響く作品と出会うことがある。

 

「見えない目撃者」もそうだった。まさか「魂の継承」の話、もっと言えば「ヒーローについての物語」だとは思わなかったので、号泣してしまった…。

というわけで今回は「見えない目撃者」の感想をさらりと書きたい。物凄く観念的な話になる気がする。

 

視覚障碍者の元刑事、なつめは誘拐事件の「目撃者」となる。しかし目が見えない彼女の証言を警察はなかなか信じない。なつめは事件現場にいたもう一人の目撃者、春馬と共に事件解決の為に奔走するが…。というのがあらすじである。

 

 

■鑑賞後ツイート

 

視覚障碍者が殺人事件を調査する、あまつさえ犯人と対決する…というとジャンル映画的な面白さを期待してしまう。勿論その面もしっかりあるが、何よりも素晴らしかったのは前述した通り「魂の継承」だ。正義の継承と、悪の継承である。主役の吉岡里穂=なつめはあくまでも伝える側であり、真の主役は受け手である高杉真宙=春馬だろう。

 

悪はたやすく伝播する。思いは関係なくただ悪を目撃するだけで、凶行へのロマンは継承されてしまい、その犠牲者はドンドン増える。気に入らない世界に対する独りよがりの反抗という非日常に浸るのは、確かに心地いいだろう。

見るだけ、ひとりだけ、誰かを傷つけるだけ…簡単だからこそ悪は継承されていく。

 

対して、正義の継承は難しい。そもそも現状では、正しさが望まれることは少ないのかもしれない。いや、大人が子供に正しさを示す機会が無いのかもしれない。なつめと共に嫌々ながら事件を追うことになる春馬は、親にネグレクトされ教師からは見放され、社会に絶望しきっている。将来の道も見えない。また、事件に関わった刑事の吉野と木村も、やっかいな事件故になかなか調査に積極的にならないでいる。

しかし、なつめは「人助け」という、絶対に正しい行いを春馬と刑事に行動で示し続ける。本当に事件があるかどうかは分からないが、そこに向ける正義の魂にどうしようもなく心が動くのだ。なつめ自身も、何もゆるぎない心を持っているわけではない。彼女自身もまた、再び燃え上がった心火へ必死にすがり、なんとか自分を保とうとしているだけだ。そのもがきを見た人もまた、心が静かに燃える。

助けを求める人がいる、自分にも何か、何か出来ることがあるはずだ…春馬と刑事達にも徐々に正義が伝播していく過程は、ヒーローを目撃した人もまたヒーローになるという「ヒーローについての物語」であり「スパイダーマン2」なのだ。信じたい綺麗事の寓話である。泣くしかない。

 

正しいことを行うのは難しい。強力な悪によって傷つけられ倒れていく人もいる。しかし、その戦いを目撃して正義を目指す人も確かにいる。倒れた人たちの魂は、確かに継承されたのだ。最後に春馬が言うセリフ、号泣です。

 

仮面ライダー 1971-1973

継承される正義の話、いやさ「ヒーロー」の物語としての決定版です。今作を観て真っ先に連想したのがこれ。

映画:恋は雨上がりのように ~今、ここから走り出す~

こんにちは。

光光太郎です。

 

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人におススメしやすい映画を挙げるのは結構難しい。どんな好みを持つどの年齢層の誰に対して何をススメるべきなのか…パッと出ないものだ。

しかし、同年代の、あまり映画を観ない人に対しては「勝手にふるえてろ」「ちはやふる」「恋は雨上がりのように」をススメている。どれも近作で有名芸能人が出ているので名前だけ知ってる、という場合が多いので取っつきやすいし、何よりも爽やかに面白いのでおススメしやすいと思う。

 

そして、本日Netflixをぼんやり観ていると来週配信予定作品に「恋は雨上がりのように」があった!!!!昨年の傑作邦画、漫画実写化作品だったのでてっきり感想書いたと思っていたがブログにしていなかったので、忘備録としてまとめてみる。

 

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公開当時、ライターのヒナタカさんにお声がけ頂き、語り合ったラジオ。本当に「雨上がりのように爽やかな映画」ですよね…!!

 

■ざっくり感想

 ※ワンショットで繋ぐファミレス仕事シーンも最高。

 

小松菜奈

 変態ツイートしかしてないが、今作で一気に彼女のファンになった。すらりと伸びた手足、切れ長の目…まるで本当にあきらのようだ。激似。「来る」の小松菜奈も良かった!

 

■大人感が増した店長を演じる大泉洋

 

■自ら足を止めていた人達が、もう一度走り出すまでのドラマ

 

■原作、映画のラスト解釈

ふせったーより引用

恋は雨上がりのように」原作のオチでは店長とあきらは今後全く交流を持たないように見える。映画版では良き友人として支え合うようになる。決定的な違い。だのに、どちらも清々しく、納得のいく終わりに見える。

 

映画版のラストは原作と異なり二人は友達として連絡先を交換して終わる。これ原作のオチが示す意味とまるっきり違うやんと思ってたけど、もしかしたらあきら側から決定的な断絶を申し入れるシーンになってるのかも。


あきらは店長から背中を押され再び陸上を始めたけれど、確か面と向かって自分から断絶について持ちかける場面は、原作映画ともになかった気がする。

 

だとすれば、あの「友達として」発言は、自分で自分の恋心に決着をつけたということを、店長に伝えているシーンだったのではないだろうか。原作でもこの連絡先交換シーンはあるが、上手く文脈を変えて入れ込んだなと思う。

 

真っ正面から店長に恋の別れを告げたあの瞬間、彼女は雨宿りを辞めたのかもしれない。

 

■魅力的なキャラクター造形

 

■原作、アニメ共に全部観た

ふせったーより引用。

 

アニメ版恋は雨上がりのようにのラスト、店長の小説タイトルが「恋は雨上がりのように」だったのってアニメ版だけか?

 

■「フロントメモリー」最高。100回は聴いた。

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抜群な掴み、清涼感溢れる演出の数々、さりげなく仕込む人間ドラマ、今ここから立ち上がるお話…「ロッキー」好きなオッサンにも、大泉洋大好きな若い子にも、アラン様推しの仮面ライダーオタクにもおススメしたい、大傑作邦画!!!ネットフリックスで観よう!!待ちきれないなら、レンタルだ!!!!

 

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映画:ジョーカー ~俺の主観が最強よ~

こんにちは。

光光太郎です。

 

Joker (Original Motion Picture Soundtrack)

遅ればせながら「ジョーカー」を観てきた。時期的にもう観れないだろうな、と思っていたので散々ネタバレを踏んでいたが、まぁなんとか観れた。

 

これは「主観」についての映画だと思った。「気の持ちよう」でもいいかもしれない。

 

ホアキン・フェニックス演じるアーサーは最初、自分を弱者だと認識していただろう。病気持ちだし(恐らく)薄給だし頭もいいわけでなく字も汚いし喧嘩も弱い。だからこそ、助けてくれるはずのカウンセラーから軽く扱われても、ゴッサムスラムのガキからリンチされても、上司から理不尽に怒られても無抵抗だった。自分は弱者で何も出来ないのだからと。

 

序盤、彼は銃を手に入れる。肌身離さず「力」を持ち歩く。そして偶然、インテリチンピラを射殺してから、加速度的に彼の自己認識は変化していく。自分には力があるし、世間も自分を認識し始めた…自分への「主観」が変わった、自信を持ち始めたのだ。そこから彼はどんどん「カッコよく」なってゆく。コメディアンとして初めてショーに出ることにも挑戦した。

 

テンション昇り調子のアーサーだが、出生や母を巡る問題、そして憧れのコメディアンから馬鹿にされたことで、信じていた夢が瓦解してしまう。今まで彼を支えていた「主観」は一気に逆転し、憎しみの「主観」へと変貌するのだ。

 

そしてジョーカーへと変身する。信じたいものを信じ、やりたいことをやる。病気の笑いでなく、心から笑うためのことをするのだと。弱者を指差し笑いものにすることを「上品な笑い」と宣う奴を撃ち殺す。

 

アーサーは「主観」を転換させることで、自分が幸せになれる道を歩み始めたのだろう。社会道徳に照らし合わせればその行為は全く許されないが、クソの役にも立たず見向きもしない「客観」よりも「主観」なのだと。ある意味理想的な生き方だ。

 

 

「主観」は正しさとは別だ。アーサーの最初の殺人に意味を勝手に見出してピエロをシンボル化するのはマスコミや群衆の「主観」であり、アーサーの意図とは全く異なる。マレーの正しさは、一定の客層に支持される笑いを提供すること。アーサーの母親にも、トーマス・ウェインにも、ブルース・ウェインにも、彼ら自身の正しさの基盤となる「主観」がある。そしてそれは、他者の「主観」と相容れるとは限らない。

 

そもそもこの映画で語られていること自体、アーサーの妄想に過ぎないかもしれない。いや、誰が個人の「主観」を妄想であると断言できるのか?劇中、アーサーの憧れは絶望と憎悪へ変化したというのに…。

 

ジョーカーはバットマンヴィランであるので、今作はヒーロー映画に対してヴィラン映画と言えるかもしれない。そして、私はヒーローに纏わる物語は全て教育物語、教訓を伝える物語であると思っている。では「ジョーカー」は反教育的な物語なのかと言えば、そうではない。むしろ生きる上での知恵を教えてくれている。

 

 

誰が何を考えているかなんて分からないんだから、信じたことを真実と思うしかない。

そして真実の対象にされた人は、その人にとってのヒーローやヴィランになる。

 んでもって「真実」は変わりやすい。

 

 

これは日本の特撮ヒーローものでも散々テーマにしてきたことでもある。

さて、明日も空元気の「真実」を持って、仕事に行きますかね…。


『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁